
早いところでは2月頃から全行員マスク着用を徹底しだしていました。
3月からはバンクミーティング(リスケ等の際の債権者会議のようなもの)が省略されるところも出てきました。
3月下旬には、毎年必ずあるはずの人事異動が見送られたところもかなりあったようです。
信用保証協会も人事異動がほとんどなかったようです。
融資の申込も、郵送でいいというケースが増えてきました。
4月上旬になると、日本政策金融公庫がインターネットによる融資申込を開始しました。
最近では、こちらから銀行へ出向こうとしても、「来ないでください」的な対応をされることも少なくありません。
私たち中小企業の経営者にとって、銀行は「債権者様」ですので、
何かにつけて、出向く習慣がついています。
しかし、今のこの様子では、出向くことがかえって迷惑になることも考えられます。
出向く際には必ずアポイントメントを取っておいたほうがいいでしょう。
出向かないで済みそうな場合は、できるだけそうしましょう。
ただ、一点だけ困ることがあります。
銀行さんは、いまだに「メール」を嫌がるところが多いのです。
例えば、経営改善計画書をExcelで作成した場合などにおいて、
添付ファイルで送信したほうがお互い効率いいのに、
「郵送かFAXでお願いします」と言われることが多々あります。驚きです。
猫

中小企業、零細企業、自営業の方は必読です。
・経済産業省の支援策 新型コロナウイルス感染症関連
https://www.meti.go.jp/covid-19/index.html
・上記をもっと簡単にしたパンフレット
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
いずれも3月上旬から4-5日おきに更新されています。
大変な更新頻度です。
猫

この間、やはり予想通り感染者数が世界的に急増し、私たち中小零細自営業を取り巻く環境も大変なことになっています。
政府の施策もどんどん増えており、それはそれで大いに利用すべきですが、
たぶん、それだけでは足りません。
生き残るためには、あらゆる知恵をふり絞る必要があります。
金融機関からの借入や、雇用調整助成金などは、その一手段にすぎません。
リスケジュールや支払停止なども、その一手段にすぎません。
そういった「守り」のための策だけでなく、こんなときだからこそ「攻め」、いや、「方向転換」も考えなければなりません。
需要と供給。
コロナで世の中があっという間に激変しました。
それに伴い、需要も激変しつつあります。
不要不急の商品が売れなくなったかと思えば、思いがけない物がバカ売れしています。
そういった変化をにらんで需要に応えるのがビジネスです。
あるいは、あえて変化せず、頑なに同じビジネスモデルを続けて(必要なときは一時停止するものの、収束したらすぐ再開できるようスタンバイして)、しばらくお休みしながらも生き残りのチャンスを窺うのもいいかもしれません。
生物の進化のようですね。
環境に適応した生物は生き残り、進化する。
環境に適応できなかった生物は淘汰される。
どちらが上か、どちらが下かではない。
絶滅した巨大恐竜もいた。
進化して繁栄した鳥や小動物もいた。
あるいは進化しないまま、ひっそりと耐え抜いたシーラカンスのような生き物もいた。
あなたはどのタイプですか?
恐竜タイプ?小動物タイプ?それともシーラカンスタイプ?
私の好きな言葉に、 「絶望的な状況でこそ、生物は進化する」 というのがあります。
誰が言いだしたか憶えていません。私だったかもしれません。
もう20年以上も前から、ピンチになると、この言葉を念仏のように唱えていました。
猫

本当に大変なことになってきました。
1.イベント会社。2-3ヶ月先までのイベントの大部分がキャンセル。売上激減。
2.都内の居酒屋。団体さんの予約が半分以上キャンセル。
3.関東近県の飲食店。2月の売上は前年同月比3割ダウン。
4.金属加工業。国内に工場あり。中国があんなことになっているので、急に問い合わせが増えてきた。だが、中国と同じ値段を求めてくるので値段が合わない。商談がなかなか成立しない。
5.旅行代理店。電話がかかってきても、そのほとんどがキャンセルの電話。
6.内装業。水回りと空調設備が入手困難。このため工事完了が遅れ、入金も遅れ・・・
7.ホテル業。団体さんのほとんどがキャンセル。家族やカップルのお客様はいるが、明らかに減少した。
8.整体師。売上半減。
9.演奏家。コンサート中止に次ぐ中止で収入減。
10.セミナー講師。セミナー中止が相次ぎ、2月の収入が激減。
11.石材販売。中国からの輸入が大半を占めていたが、納期が遅れており機会損失。


1.「お金を借りたい」とき
- 取引銀行に相談する
- 日本政策金融公庫に相談する
- 地元の商工会議所や商工会に相談する
- よろず支援拠点やミラサポに相談する
- 資金調達に強い民間コンサルに相談する
2.「雇用調整助成金」などを申請したいとき
- ハローワーク
- 社労士さん
- 地元の商工会議所や商工会
- ミラサポや、よろず支援拠点
3.リスケジュール(金融機関へ返済猶予のお願い)を考えているとき
- 取引銀行に直談判
- 認定支援機関
- 事業再生系のコンサル
- 顧問税理士さん
- 中小企業再生支援協議会
4.廃業を決心したとき
- 弁護士
5.廃業したくないけど、借入金が重すぎて何らかの対策を講じなければならないとき
- 弁護士
- 中小企業再生支援協議会
- 事業再生コンサル
6.税金の相談
- 税理士
7.ものづくり補助金
- 認定支援機関
- 事務局
8.小規模事業者持続化補助金
- 商工会、商工会議所
以上が一般的でしょう。
猫

国内に約380万社あるうち、既に金融機関に返済猶予をお願いしている会社の数が、推定で40-50万社あるそうです。(同業者のセミナーで何度か耳にしました)
長期延滞して、信用保証協会に代位弁済されたり、サービサーに債権譲渡されたことのある会社も、万単位で存在します。
こういった会社は、たとえセーフティ―ネットでも借入できないと思ったほうがいいでしょう。
また、税金を滞納している会社も、基本的に借入できません。
(融資審査時に税金の滞納がないことの証明書を求められる)
借入できない会社は、その現実を受け入れて、
「借入に頼らない生き残り策」 を考えなければなりません。
例えば、症状の軽い順に羅列すると、
・リストラで生き残る
・リスケジュールで生き残る
・私的整理で生き残る
・法的整理(再生型)で生き残る
他にも、「M&Aで生き残る」という道もあるでしょう。
尚、リスケジュールについては、3月6日の東京商工リサーチの記事に、
≪金融庁、中小企業金融円滑化法の枠組みを事実上復活へ≫ というのがありました。
『3月6日、金融庁は新型コロナウイルス感染拡大による企業への資金繰りを支援するため、麻生太郎・金融担当大臣の談話を公表した。この談話の中で、「既往債務の元本・金利を含めた返済猶予等の条件変更について、迅速かつ柔軟に対応すること」とした。これにより2013年3月に終了した中小企業金融円滑化法(以下、金融円滑化法)の枠組みが事実上復活することになる。同時に、金融円滑化法の終了後も金融機関から任意報告を求め、2019年3月期で休止した「貸付条件の変更実施状況の報告」(リスケ報告)を復活させる。リスケの申込や実行、謝絶件数を金融機関に報告させ、取りまとめ結果を公表し、各金融機関の取り組み状況を確認していく。』 と書かれていました。
リスケ申請は、従前よりやりやすくなりそうですね。
ただ、リスケの多くは 「元本返済を1-3年間猶予。その間、利息だけ払う」 のがいわゆるひとつの落としどころですが、中には売上が激減して、利息さえも払えない会社や、リスケ解消の目途がもはや立ちそうにない会社も出てくると思います。そのような会社は、リスケに固執せず、私的整理型や法的整理型、あるいはM&A型を模索するのがセオリーです。それはそれで、選択肢がいろいろあるものです。絶望視しないように。
そういえば、東日本大震災のときは、東北~北関東で甚大な被害を受けた中小企業を救済するために、
「東日本大震災事業者再生支援機構」 という公的機関が発足しました。その機能は素晴らしく、あるときは返済困難になった銀行の債権を買い取ってくれて、その債権を放棄してくれたり(銀行が直接放棄するのはいろいろ難しいので、機構が一旦買い取ったうえで放棄してくれた)、またあるときは倒壊した工場の復旧のための資金を銀行から借りる際に、機構が保証人代わりになってくれたり、またあるときはその両方だったり、被災した企業にとって救世主のような存在でした。
今回の新型コロナウイルスは、東日本大震災よりも中小企業へのインパクトが大きくなる恐れがあります。
そうなれば、国の支援策も必然的に、「融資」や「助成金」ばかりでなく、「リスケ」や「放棄」のようなメニューも出てきてもおかしくないでしょうね。
猫

新型コロナウイルス対策の融資として、利用者が多そうなのは、
・セーフティーネット4号 (突発的災害を受けて売上ダウンした中小企業が主な対象)
・セーフティーネット5号 (業況の悪化している中小企業が対象)
・・・以上は信用保証協会つきの融資です。保証協会は融資額の100%を保証してくれるので、金融機関としてはノーリスクに等しい状態で貸出できます。
・経営環境変化対応資金、新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変特別貸付など
・・・こちらは日本政策金融公庫の融資です。
いずれも売上ダウンした会社が主な対象で、審査も比較的ゆるいのではないかと思います。
しかし、「借入金」である以上、返済義務が伴うので、先の見えない会社さんは、借りることに大きな抵抗があることでしょう。
当然ですね。
普通は、返済の目途があるから借りるわけで・・・
コロナがいつ収束するかわからない現状においては、「借りても返せないかも・・・」と心配になるのは当然のことだと思います。
悩ましいですね。
ただ、金融機関も同じようなことを考えているのではないでしょうか。
いくら審査が通常より緩めだといっても、「この会社は返済の目途が立ちそうにないから、融資できないな・・・」 と判断するかもしれません。融資に審査はつきものです。
なので、私の個人的意見ですが、借りるべきかどうか悩ましい場合には、金融機関に直接相談するのがいいと思います。
「無理です、ご融資できません」 と言われたら、借入以外の生き残り策(リスケなど)を再考すればいい。
「ご融資できます」という返事がきたら、その話に乗って、有効活用すればいい。
借りた後で想定外の事態が生じたら(考えたくないけどパンデミックとか医療崩壊とか大恐慌とか・・・)、そのときはそのときで、別のプランに切り替えればいい。
猫

この予想が外れてくれればいいのですが、どうも外れる気がしません。
理由は幾つもあります。
1.感染が全世界に及んでいる。
2.特効薬が現在のところ、ない。
3.感染率が高い。
4.死亡率も比較的高い。
5.個人消費が激しく低迷しはじめている。
6.我が国のGDPのおよそ6割は消費なので、このままだとGDPも大きく下落する。
7.モノの供給が止まる。(たとえばこれを書いている3月9日現在、住宅関連業界ではトイレやキッチンの納品の目途が立っておらず、工事完了できないという問題が頻発しておりテレビでも大きく取り上げられた。また、運送業界等で感染者が増加すると、物流が止まるのではないかとの懸念もある。)
8.自粛モードが2月から始まり、日増しに強まっている。
9.国際関係の変化。渡航制限、為替変動など。
10.2月末の学校一斉休校要請と、確定申告1ヶ月延長と、車検有効期限延長。いまだかつてこんな事があったか?東日本大震災の時でさえも無かった。これはもはや、「国難」レベルである。
11.既に売上激減している会社が多い。旅行会社、ホテル、旅館、イベント会社、住宅関連、飲食業、鉄道会社、観光バス、他。
・・・で、問題はここからですが、
コロナウイルスによる経済的被害を悲観視しつつも、
私たち中小企業経営者は、生き残らなければなりません。
とことん追い込まれたら倒産・廃業もひとつの選択肢でしょうが、
倒産・廃業だけが追い込まれたときの唯一の選択肢ではありません。
縮小して生き残るとか、合併して力を合わせて生き残るとか、リスケや私的整理等で生き残るとか、公的支援をとことん使いこなして生き残るとか、あるいはビジネスモデルを変革して勝ち残るとか、一時的に休眠するとか、とにかく前進、後退、ニュートラル、いろいろな道があります。
大事なのは、「思考停止」にならないことです。
猫

信用保証協会つきのセーフティーネット4号融資、5号融資の範囲拡大、日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変特別貸付、経営環境変化対応資金、雇用調整助成金の特例措置、小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援、テレワーク導入支援、などなど。
これらは情報源がバラバラで、入手しようとする側にとっては情報収集しにくいかのように思われていますが、そうでもありません。
こういった行政系の支援策をまとめたURLやパンフレットが、いくつか存在します。たとえば、
経済産業省パンフレット「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
ミラサポ(3月末から大きく変わるみたいです)
https://www.mirasapo.jp/
中小企業基盤整備機構 J-NET21 「新型コロナウィルス関連情報」
https://j-net21.smrj.go.jp/support/corona.html?fbclid=IwAR0ul-9kIWytTnYEmlcKm5TeQe8idgBDTkQNaM3E2XVCkMLCpdmYSj4G8us
とにかく、これから続々と出てきそうです。
猫