吉田猫次郎ブログ

事業再生、倒産回避、資金繰り改善、連帯保証人問題、借金自殺防止 ・・・などが専門ですが、ここはブログなので、もっと気楽にいろいろ書きます。

 

「ノルマ」と「コンプライアンス」は相反する!?


Category: 企業再生・事業再生関連   Tags: ---
ある大手商工ローンがあります。
仮にその社名をSFとしましょう。
SF社は一部上場企業で、株価も高く(最近は急降下中ですが)、社名も現代的で、会社案内を読むと中小企業のとっても心強い味方みたいなことが書かれていて、何も知らない人が見ればなんだかすごく良さそうな会社です。
採用説明会も豪華ホテルでかっこよく行われるそうです。

SF社は、毎年数百名もの新卒・中途社員を採用してきました。
最も業績が伸び盛りだった1998年ごろには、600人とも1000人ともいわれる人数を採用しました。
(ちょうどその頃わたしも同社から借りたことがあるのですが、当時の担当者いわく、自分は山一證券から最近転職してきたばかりの中途組で、同じ年に新卒だけで900人採用されたと言っていました・・・)

しかし、SF社の離職率は、上場企業「ワースト1」とも言われています。
あまりの過酷で不条理な職場環境に耐えられず、採用した人の半数以上が1年足らずのうちに辞めてしまうらしいのです。

一体どういうところが過酷で不条理なのでしょうか?

いくつか例をあげましょう。

まず、残業が多いことで有名です。8時出社で連続23時過ぎまで働くことはザラだそうです。終電で帰れないことも珍しくないとか。
にもかかわらず、残業代はなかなか出ないそうです。

給料は、ノルマを果たせば人並みに出ますが、果たせないとひどい罵声を浴びるだけでなく、「人頭税」と称して、減給の対象になり、人並みの給料が確保できなくなるそうです。

また、SF社は、採用時に身元保証人を取ることでも有名で、しかも、身元保証人だけならまだ良いのですが、ご丁寧に公証人役場で「公正証書」まで作らされるそうです。もちろん強制執行承諾文つきの公正証書を、です。
公正証書が作られるということは、もし万一その従業員がSF社に損害をもたらしたりして何らかの「債務」を負ったりすると、SF社はその従業員と保証人に対して、すみやかに強制執行することができます。

驚くべきことに、SF社から強制執行された従業員が現実にいるそうです。
さらに、従業員さんの保証人の家まで競売にかけられたケースもあるそうです。
(参考: 金融庁 資料6-1-3 PDFファイル http://www.fsa.go.jp/news/newsj/17/kinyu/f-20050729-1/03.pdf 最後のほう参照。こりゃひどい・・・)

信じられないですね。

商工ローンだから、顧客(借主)に対して差押をすることはよくあっても不思議ではありませんが、まさか従業員やその保証人までが 「ノルマを達成できなかった=会社に損失を与えた」などの理由で差押されるとは・・・。

このように、従業員はがんじがらめにされていますので、必然的に、毎日厳しいノルマと戦いながらがむしゃらに働くことになります。
末端の社員のみならず、管理職の人たちも同様に厳しいノルマを課せられ保証人を取られているようですので、おのずと、支店長は支店のノルマを達成するために部下にあらゆ難題をつきつけることになります。
テレアポ一日300件とか、明らかに回収できない顧客から強引に回収せいとか・・・。
それができないと、上から課せられた数字が達成できないので、減給されてしまうし、減給されると生活に支障をきたすので、必然、部下を怒鳴り散らしたりすることになります。
もう、最悪の職場環境ですね。

また、数字の改ざんに近いギリギリのことも、現場では行われたことがあるかもしれません。
あたかもノルマを達成したかのように見せるため、たとえば顧客に一度「完済」させて、すぐに「再契約」して、新規顧客獲得件数の数字を多く見せたり。明らかに破綻が懸念される危険度の高い自営業者に過剰与信で貸し付けたり・・・。

回収ノルマはそれ以上にきついでしょう。
特に今年の9月以降は、どうやらSF社の業績が相当悪いらしく、特に資金調達の道が狭まってキャッシュフロー面で深刻な状態らしいので、回収ノルマが今まで以上にきつくなっていると聞きます。
わずかでも延滞や担保割れがある顧客には、ほとんど難癖としか思えない些細な理由で、期限の利益喪失→一括請求をして、一日も早く、一円でも多く回収しようとしているそうです。
もう末期症状ですね。
手段を選ばず現金を集める必要があるようです。
しかし支店長や従業員さんたちは、それに従わないと、怒鳴り散らされてしまうし、給料は減ってしまうし、最悪の場合は保証人に迷惑をかけてしまいかねないので、どんなにそれが不条理な命令でも従わなければなりません。
違法スレスレな取立てをせざるを得ない場合もあるでしょう。

(以上、「WORK@SFCG」というサイトを参考にさせて頂きました。)


こんな職場環境ですので、コンプライアンス(法令遵守)などできるわけがありません。
労働基準法違反、貸金業法違反、などなど・・・。
事実、SF社は過去に、金融庁から業務停止処分を受けたことも何度かありますし、顧客から提訴された訴訟案件が常時2000件あるとも3000件あるとも言われています。2000年頃にはSF社の社長が国会で証人喚問されたこともあります。

どうやら、SFのケースを見る限りでは、
「ノルマ強化」と「コンプライアンス強化」は、相反するようですね。

これを読んでいる経営者の皆さんも気をつけて下さい。


・・・それにしても、SF社の従業員の皆さん、かわいそうですね。
一部上場企業の華やかな採用説明会につられて入社してみたら、配属場所は各地に散らばる別法人の子会社(仮にアッセトファイナンスと呼びましょう)、つまり中小企業だわ、入社時に保証人は取られるわ、残業代は出ないわ、労働時間は長いわ、転勤は多いわ、社内の雰囲気はぎすぎすしているわ、給料は安いわ、違法スレスレ・社会通念に反することをしなければノルマは達成できないわで、本当に同情します。 




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Comments

私も2ちゃんねるから来ました 
こんにちは、初めまして
猫好きと申します
私にも2つ前の日記のコメントの方が言われている書類が来ました
まず私より先に保証人の方がAセットに電話をし、こんな無茶はありえない、遅延していない(これは向こうも認めています)のに一括なんて馬鹿げた話はないし払えるわけもない、今まで通りの支払いしかしません!と一喝されました
向こうの対応はしどろもどろ、質問をしてもあさってな返事ととりあえず半分とか幾らかでも払ってくれないかの一点張り
結局気が強く私より知識のある(私は情けないことに無知です)保証人が今まで通りの返済という風にあちらさんをまるめこんだ形になりました
それでも何を言ってくるかわからない会社なので色々調べていてこちらのブログに行き着いたのです
大変勉強になりましたし、これだけ知識と経験のある方がいらっしゃる事を尊敬いたします
さて、社員に公正証書ですか!聞いたことないですね、身元保証人はまだわかりますが
私の始めの担当さん(3年半で5人くらい、しかもこちらになんの連絡もなく担当が変わっています)の様子を見ていて、物凄く大変そうだったので、なんで辞めないのかなと思っていたのです
月末は1日10数回、出るまで携帯にかけて
 
最後が切れてしまいました↓ 
(続きです)きて、出たら増額してくれないかというお願いです。
要らないし返せなかったらいけないからいつもお断りしていましたが……
電話の声が本当に辛そうでした
 
猫好きさま 
コメントありがとうございます。
(2ちゃんねるから辿り着いた方が、こうして好意的なコメントを下さると、なんだかホッとしますね。)


さて、SF社の件ですが、

ほかにもまだまだ、ここに書けないようなきわどい話も含めて、いろいろな情報が入って来ています。

ここでひとつヒントですが、SF社のオオシマケソシソ社長は、放漫経営で会社を潰すような人物ではありません。彼は慶応大学を主席で卒業し、M井物産という大商社でインドネシアのエネルギー関連の仕事を若いうちから相当バリバリこなし、その後独立し、商工ローンという新たなビジネスモデルを開拓していき、ここまで育て上げた人です。一種の天才、あるいは秀才です。努力もしています。情に流されず、鬼になれる人です。侮ってはいけません。

ですから、ここまで経営不振に陥ることはだいぶ前から予想していたと思われます。

いま考えれば、1年前にアッセトファイナンスに貸金業をやらせてSF本社は貸金業登録を止めたという奇策に出たのは、そのためかも・・・?

いわば、トカゲがしっぽを切るように・・・?


 

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プロフィール

吉田猫次郎

Author:吉田猫次郎
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。認定事業再生士(CTP)。経営革新等認定支援機関(株)NEKO-KEN代表取締役。
本名はホームページや書籍に記載。
著書多数。講演・メディア出演多数。
1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。

20代の商社マン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利の連帯保証人、ヤミ金の怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はしなかった)。

趣味は釣り、アウトドア全般、ほか。

最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)でトライアスロンのオリンピックディスタンスに初挑戦&完走。2014年(45歳)でフルマラソン初挑戦&完走。2015年(46歳)にはトライアスロンのアイアンマン70.3に初挑戦&完走。2016年も完走。徐々にメタボ解消。だがすぐにリバウンド。

嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。

 
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