吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員のブログ

中小企業再生や敗者復活に関する投稿が主ですが、ホームページとブログを区別し、ここでは幾分ユルめの内容になっています。

 

難しそうで簡単な相談


Category: 企業再生・事業再生関連   Tags: ---
これはわたしが講演でよく話す、「倒産回避の方法はいくらでもある!~その例題集」の一部である。自作のレジュメから抜粋。



≪例題5≫
 住宅リフォーム業の会社を営んでいます。年商4000万円。業績は横ばい~やや下降傾向。事業は何とか続けたいのですが、借金が重くて、金策で仕事になりません。10年ほど前に突発的な赤字があって、そのときに銀行への返済を守るために個人名義で消費者金融にも手を出してしまいました。これが当初は300万円だったのですが金利がかさんで現在は500万円になり、経営難の最大の原因になっています。どうすればいいでしょうか?借入先は次のとおりです。もう自力でマトモに返せる状態ではありません。死にたいほど苦しいです。毎月自力で返済可能な金額は30万円程度です。自宅も事務所も賃貸で、これといった資産はありません。

① A銀行  無担保 保証人つき            残2500万円 月返済23万円
② 国民生活金融公庫  無担保 保証人つき     残800万円 月返済14万円
③ 消費者金融7社 10年ほど前から 金利28%前後 計500万円 月返済20万円
-------------------------------------------------------------
計                                3800万円 月返済57万円





さて、答えは???



皆さんも自分のことだと思って一緒に考えてみてほしい。


下にヒントと回答例を書いたが、その前に、問題を熟読して、あなたならどう解決するか、多方面から考えてみてほしい。




<ヒント1> 
額面どおりに見たら破綻状態に見えるが、注意深く分析するとそうでもない。難しそうに見えて、実はカンタンに解決できる事例のまさに典型ともいえる。キーワードは「グレーゾーン金利」。あと、「金策で仕事になりません」という部分も大ヒント。




<ヒント2> 
この手の相談を受けた場合、専門家によっては、いまだに 
「消費者金融は、おまとめローンで一本化しましょう。銀行はリスケジュールで対応しましょう。これで月々の返済額は、一時的とはいえ、30万円の予算内におさまるでしょう!」
などとアドバイスする人がいる。これは間違いだ。おそらくこんなアドバイスをする先生は、グレーゾーン金利について無知で消費者金融の借金は減らせないと思っているか、あるいはブラックリストについて無知でグレーゾーン金利引きなおしで減額を図ったりしたら信用に傷がつき二度と社会復帰できないなどと思い込んでいるか、どちらかなのだろう。いずれも間違いだ。



<ヒント3> 
また、額面だけ見て、あっさりと、
「うーん、こりゃ自己破産でリセットしたほうがいいですね。資産がないのに負債は3800万円もあるんでしょ?業績も横ばいか下火なんでしょ?だったら、中途半端に今の仕事にしがみついたり信用を守ろうとしたりせず、潔く自己破産してゼロから再出発したほうがいいですよ。自己破産はそういう人のための救済制度としてあるんだから、利用しない手はないですよ!」 
とアドバイスする先生も少なからずいるだろう。 これはある意味、正解であろう。少なくとも、先ほど書いた「おまとめローン」を助言した先生と比べればはるかにマシであり、良心的ですらある。でも、これも唯一無二の正解ではないし、ベストな選択肢とも限らない。
なにより、①のA銀行と②の国金には連帯保証人がついているので、ご本人は破産で借金チャラになっても、その分連帯保証人に請求が行くことは避けられないのだから、そのことも慎重に考えなくてはならない。
そんなこともあって、わたしだったら、自己破産は最初から結論づけるのではなく、最後の最後に結論づける。ほかに何かもっと良い方法はないかと。



さてさて?正解は?




<答え>

 唯一無二の正解ではないのだろうが、私なら、こう答える。

 まず、最大のネックである③の消費者金融を整理する。10年間、28%前後で総額500万円も借り続けているとしたら、利息制限法引き直しで、過払い利息の累計も500万円を超す可能性が十分あり、差し引きゼロ、いやそれどころか、500万の借金がゼロになりさらにけっこうな額の過払い金が戻ってくる可能性すらある。代償としては、全情連とCICとCCBの事故情報に載るだろが(俗にいうブラックリスト)、これらは完済後1年~登録後5年で消えるので、さほど気にする必要はない。気にしたってどうせ今の経営状態のままではどこも貸してくれないのだから同じである。信用情報機関の事故情報は商売の取引先にはまず知られないのでその点は心配無用。

 利息制限法引き直しの具体的方法としては、弁護士か認定司法書士に「任意整理」という形で依頼するのが、ここではベストである。特定調停や本人訴訟という選択肢もあり、それでも良いのだが、10年も借りていると過払いが戻ってくる可能性が高いし、債務ゼロだけで満足せず過払い返還まで求めるなら自分で特定調停をやるよろりも法律家を代理人に立てて任意整理したほうが確実性が高いから。報酬も心配無用。最近は小額の着手金で成功報酬制で受任してくれる良心的な先生が飛躍的に増えた。 また、代理人に依頼することによって、その分時間と労力を削減し安心感も得られるようになるから、本業に専念しやすくなるというメリットも忘れてはならない。
 例題の相談者は住宅リフォーム業だが、この人は「金策で仕事になりません」と言っている。確かに自転車操業体質であることが窺えるが、逆にいえば、「金策がなければ仕事は上向くチャンスがある」とも解することもできる。
 任意整理で消費者金融の煩わしい借金がなくなれば、残る借金は①のA銀行と②の国金だけになる。この2つだけなら毎月の返済額は37万円で済むではないか。いっぽう、相談者は「自力で返済可能な金額は毎月30万円程度です」と言っている。あと7万円の差。もう一息ではないか。しかもいまどき、年商4000万(月商400万以下)で売上原価と販管費と税金を引いて返済原資として毎月30万円もコンスタントに出せているとしたら、けっして悪い数字ではない。攻め&守り双方のいくらかの改善だけで、じゅうぶん安泰な会社に再生させることができるだろう。
 話を「あと7万円の差」に戻すが、これは①A銀行と②国金の両方に、1年間だけの期間限定で、元金棚上げ・金利のみ支払いとさせてもらう「リスケジュール」をお願いするのが良いと思う。そこまでする必要はないのかもしれないが、私はしたほうが良いと思う。というのは、③消費者金融が消えて、①②も1年間金利支払いのみにさせてもらえれば、少なくとも1年間は、毎月の返済(正確にいえば支払利息)が30万どころか7-8万円以下におさまる可能性が高いからだ。そうなれば、計算上は、毎月22万円程度の金を「蓄え」に回すことができる。1年間で250万円以上たまる計算だ。それだけ内部留保が貯まれば、借入に頼らなくても運転資金のやりくりができる。もう金策でかけずり回る必要もなくなり、自転車操業体質ともオサラバでき、ひいては営業に専念する時間も増える。必要な広告宣伝費も捻出することができる。悪循環から好循環に変わり、おのずと業績アップのチャンスが増える。
 あとは健康管理に注意を払って、ほどよく休みをとって、「いい仕事」を心掛けることだ。「いい仕事」を続けていれば、お客さんがお客さんを呼んでくれる。いいことづくめだ。
 1年後、リスケジュールが終わって元の約定返済に戻る頃には、もう自己資金で滞りなく返せるようになっているだろう。信用もいずれ回復し、ブラックが消える5年後よりも早い時期に、銀行のほうから「保証協会つきでもっと借りませんか?」と誘ってくるほどに回復するかもしれない。(注:保証協会の審査は事業そのものに重点が置かれていて、個人の信用情報はあまり重視しない。個人がブラックでも、それ自体が否決の原因にはならない。)

 自己破産で短期間のうちにリセットしてゼロから再出発するのも悪くないが、わたしなら上記のような部分改善的な方法をまず最初におすすめする。個人差や価値観の差などもあるが、「経済合理性」よりも「やりがい」を重んじるようなタイプの人には、特におすすめだ。


<最後に>

 冒頭で 「一見難しそうで、実はカンタンな問題だ」 と書いたが、読んでおわかりのとおり、これは、相談を受けた専門家の得意分野によって、その感じ方は大きく異なるだろう。簡単だと思う先生もいるだろうし、こりゃ難しい、やっぱり破産しかないんじゃないかと思う先生がいても不思議ではない。それはその先生の「優劣」ではない。有名で立派な先生でも、こういう問題に関する知識がないことは多いのだ。

 よって、これを読んでいる読者の皆さん(=多くは債務者側の人ですね)は、この手の問題に直面したら、まず専門家に相談しに行くのはもちろん必要だが、最初からひとりの専門家の助言を過信しすぎないほうがいいだろう。相談は相談。時間の切り売り。ガッチリした堅苦しい契約とは違うのだから、ただ相談するだけなら、複数あちこち回ったっていいじゃないかと思う。セカンドオピニオン、サードオピニオンを求めたっていいじゃないかと思う。自分の問題なのだから、最低限そのくらいの主導権と主体性は放棄してはならない。


 ・・・と、今回は講演で話していることの「ほんの一部」を取り上げてみた。
(本当に「ほんの一部」です。)


 おかげさまで最近は好評で、つい最近も、1月下旬開催予定の某商工会議所の講演が、定員70名のところ既に110名を超す応募があり、急遽広い部屋を取りましたとの連絡が主催者からあったばかりだ。ちょっと嬉しい。

 さて、来週からいよいよ今年最初の講演巡業が始まる。


 猫
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Comments

よくわからないのですが・・・ 
10年もサラ金で借りている場合、差し引きゼロ、あるいは過払いになるって・・・
残額返済するときに、サラ金の支店に行って、今日で全額返済しますっていって、言われた(書面に書かれた)金額を払いましたが・・・それって違うのですか?ってもういまさら払ってしまいましたから遅いですが・・


 
 
みみさま

そ、それはたぶん・・・、たぶんですが、相手の思うツボであり、利息制限法には引き直されていない可能性が高いと思います。

そういうこともあるから、やっぱり、こういう問題は、専門家に相談すべきなんですよ。思い込みや先入観を抱えたまま突っ走ると、知らず知らずのうちに大損したり遠回りしたりしていることもありますから。

それと、「いまさら遅いですが・・」というのも思い込みです。もし(もしですが)あなたが消費者金融から10年も借りたり返したりを繰り返していた過去があり、それを相手の言うままに「完済」していたとしたら、それは後からでも「過払い」を請求できます。それも、結構な額の過払い金が戻ってくる可能性があります。過払いにも時効がありますが、判例では、完済してから10年以内なら大丈夫だと思われます。(但し途中経過にもよる)
これもまた、思い込みや先入観を捨てて、専門家に相談して判断すべきです。利息制限法云々の話は、法律的な話ですので、相談相手としてはやはり法律家である弁護士か認定司法書士がベストチョイスです。一度あたってみてください。
 
そうなんですか・・・ 
正確に言うと10年という期間より短いと思いますが・・・
夫の借金なのですか、相談に行く場合、私が行ったらだめなのでしょうか・・払ってしまった領収書を持って行った方がいいのでしょうか・・
相談する場合、費用はいくらぐらいかかるのでしょうか。
 
何度もすみません 
司法書士と認定司法書士は違うのですか?
それはどうやって調べればいいのでしょうか・・
 
 
繰り返しますが、思い込みは捨ててください。10年より短くても、7-8年も借りていれば過払いの可能性はあります。ましてや、完済済みなら、極端な話、1-2年でも過払いが発生している可能性があります。

司法書士と認定司法書士は違います。認定がつくと、簡裁民事レベルの交渉ごと(要するにクレジットサラ金問題)で代理権があります。代理権があるとないとでは大違いです。弁護士なら問題なしですが、司法書士に相談に行かれる際は認定司法書士を絶対おすすめします。探し方は、弁護士にも司法書士にも各都道府県に「会」がありますので、ご自身で調べてみてください。あと、私のホームページ(ブログではない)にも、簡単な探し方が書いてあります。

ご本人(=ご主人)が行ったほうがいいです。ご主人が身体が不自由だとか何か特殊な事情があるのなら別ですが、健康な大人なのだとしたら、ご本人名義のお金の問題なのですからご本人が自分の足で行くのが筋ではないですか。但しそうは言っても世の男たちはこういう問題に信じられないほど弱い人が多いのが現実なので、弁護士さんも認定司法書士さんもそのへんはよくわかっています。どうしてもご主人の代わりに奥さんが行かねばならないとしたら、その旨伝えればいいでしょう。

費用は自由化されていますのでご自身で問い合わせてみてください。無料から30分5250円までさまざまです。報酬も同様です。

危機を乗り越えるためには、ある程度「自分で調べる」ことも重要です。わたしのホームページの中にもヒントがごっそり書いてありますので、これを機に、いちど熟読してみてください。

 
管理人のみ閲覧できます 
このコメントは管理人のみ閲覧できます
 
 
「管理人のみ閲覧」で投稿された方へ。

お答えします。それは「相場」よりは結構安いほうだと思いますよ。報酬面だけ見た限りでは、かなり良心的に思われます。
 
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プロフィール

吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員

Author:吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員
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【NEKO-KEN】
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。東京都中野区。
経営革新等認定支援機関(認定支援機関)。
末期症状の会社の倒産回避(生き残りのための応急処置)から、原因究明、デューデリジェンス、再生スキーム策定、金融機関向け経営改善計画策定支援、資金繰り改善、PL改善(黒字化)、実行支援、最後の出口へのお手伝いに至るまで、事業再生コンサルタントとしては一通りの経験と実績があります。
ミッションは「ヒト・モノ・カネの再生」。


【吉田猫次郎】
(株)NEKO-KEN代表取締役。
本名よしかわひろふみ。1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。
著書12冊。講演300回以上。テレビ出演15回くらい。
20代のサラリーマン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利、多重、ヤミ金、怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はせず)。その体験記を、2001年に猫次郎と名乗ってホームページに公開したところ、思いがけずヒットしてしまい、2003年に書籍化。以後、事業再生コンサルタントに転身し現在に至る。
最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)から現在までにトライアスロンに8回出場、全て完走。フルマラソンも2回出場、2回完走。
嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。

【相談員】
須田幸雄: CTP認定事業再生士。資金繰り改善、財務体質改善、労務、管理等に強い。

廣田守伸: CTP認定事業再生士。関西地区担当。事業再生コンサルタント歴16年以上の大ベテラン。

金久保 健: 中小企業診断士歴20数年。マーケティング、事業性評価、PL改善に強いが、事業再生コンサルタントとしても10年近い実績がある。

 
★ 「相談」をご希望の方は、ホームページのほうに申込方法等を記載していますのでご覧下さい。有料と無料があります。 → 吉田猫次郎ホームページ

★ 取材、講演、執筆依頼は、直接メールまたは電話またはFAX下さい。 ooneko@nekojiro.net TEL(03)5342-9488 FAX (03)3229-8329

★ このブログは長い間、吉田猫次郎ひとりで書いておりましたが、2017年8月より、3名の相談員と共同作業で投稿していきます。お楽しみに。

 
 
 
 
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