吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員のブログ

中小企業再生や敗者復活に関する投稿が主ですが、ホームページとブログを区別し、ここでは幾分ユルめの内容になっています。

 

「債権者本位」から「自分本位」へ


Category: 企業再生・事業再生関連   Tags: ---
身勝手なのはダメですが、きちんと筋道立てて、合理的な理由を説明することができれば、
債権者交渉は「債権者本位」から「自分本位」に進めることができます。

① 例えば、銀行への毎月の返済額。

 銀行さんとしては、「契約通りの期日に、契約通りの元金と利息を、キチンと返してくれよ!」 と当然のごとく考えますね。
これを無断で怠ると、契約不履行になり、それ相応のペナルティを受けます。
当たり前です。

 しかし、長く商売を営んでいれば、計画通りに事が進まないことが多々あります。
アテにしていた売掛金の入金が遅れているとか、急にクレームが発生したとか、原材料の原価が高騰したとか、急な人員不足とか、自然災害とか・・・。
 そしてその結果、銀行さんへ 「約束通りの期日に、約束通りの元金と利息を、キチンと返すこと」 ができなくなったとしたら、これはもう、銀行さんに猶予などのお願いをするしかありません。
そのお願いの内容は、「自分本位」にならざるを得ません。
自分本位な要求を銀行にお願いするなら、冒頭で述べたとおり、 きちんと筋道立てて、合理的な理由を説明することから始めなければなりません。

 「震災が原因で、3月から4月まで従業員の半数以上が出勤できなくなり、また原材料の供給も一部STOPしてしまった為、春の生産量が半分以下に落ちてしまいました。この間にライバル会社にシェアを奪われ、これに風評被害も加わり、夏以降の受注も激減してしまいました。これが窮境原因です。」
 「それでも震災から3年ほどは、自社の内部留保(自己資本比率62%、現預金残高は月商の5ヶ月分相当)を切り崩しながら、きちんと借入金返済を続けて参りました。」
 「しかし、もはや限界です。現在は現預金残高が月商の1ヶ月分を大きく割り、すぐに資金ショートしそうな状況です。また、この3年間赤字が続き、自己資本比率も5%を割り、いや、実質的には債務超過状態に転落してしまいました。」
 「理論上は、もう元本の返済ができなない状態にあります。」
 「つきましては、どうか、借入金返済の猶予をお願いします。こちらの希望は、さしあたって2年間、いえ、最低でも1年間は元本返済ゼロ、利息のみの支払いとさせて頂きたく、何卒お願いします。」
 「黒字化の目途はあります。震災後にシェアを奪われたものの、その後のたゆまぬ商品開発により、最近では当社の製品が再評価されつつあります。次の決算では4年ぶりに経常黒字化できそうです。契約どおりの元本返済の再開は、来年になるか再来年になるか、正直なところ、わかりませんが、できるかぎり早く元本返済を再開できるよう、綿密な経営改善計画を立て、実行します。」

 といったように。


② 債務免除(債権放棄)の現場においても、「債権者本位」ではなく「自分本位」の内容が認められやすくなりつつあります。サービサー交渉でも、弁護士さんおよび特定調停を使った公的金融機関の免除交渉でも。

 これもまた、「きちんと筋道立てて、合理的な理由を説明する」 必要があります。

 例えば先日、ある弁護士さんから、某公的金融機関(滅多に債権放棄してくれないことで有名なところ)の債務免除の事例を聞きました。
残元金3000万円、損害金6000万円、あわせて9000万円ほどの残債務から、
8千万円ほどを免除してもらい(特定調停で)、
差額の1千万円だけを、5年かけて、第二会社のほうで返済し続けるというスキームが認められたとのことでした。

 そのときの計算根拠は、次のとおりでした。

・もはや返済できる状態ではない。資産:負債のバランスで見たら、重度の債務超過なので破産しか考えられない。
・連帯保証している社長個人についても同様である。 破産したら、配当はゼロである。
・しかし、黒字化にこぎつけた新事業がある。
・かくなる上は、第二会社方式(事業譲渡)で、事業の継続を図りたい。
・ざっと試算して、事業譲渡した場合の新事業のCF(当期利益+減価償却費)は、年間200万円強である。
・計算上、200万x5年= 5年で1000万円以上を生み出す価値がある。
・これを計算根拠に、事業を1000ウン万円で新会社へ売却する。旧会社は1000万円ウン百万円の対価を得る。
 そこから税金など諸費用を引くと、ちょうど1000万円になる。これを全額借金返済に充てるから、残りの8000万円を放棄して欲しい。
・これなら、某公的金融機関にとっても(破産されるよりは)メリットがあるだろうし、債務者にとっても、破産せず再起できるからいろいろメリットが多い。


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プロフィール

吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員

Author:吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員
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【NEKO-KEN】
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。東京都中野区。
経営革新等認定支援機関(認定支援機関)。
末期症状の会社の倒産回避(生き残りのための応急処置)から、原因究明、デューデリジェンス、再生スキーム策定、金融機関向け経営改善計画策定支援、資金繰り改善、PL改善(黒字化)、実行支援、最後の出口へのお手伝いに至るまで、事業再生コンサルタントとしては一通りの経験と実績があります。
ミッションは「ヒト・モノ・カネの再生」。


【吉田猫次郎】
(株)NEKO-KEN代表取締役。
本名よしかわひろふみ。1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。
著書12冊。講演300回以上。テレビ出演15回くらい。
20代のサラリーマン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利、多重、ヤミ金、怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はせず)。その体験記を、2001年に猫次郎と名乗ってホームページに公開したところ、思いがけずヒットしてしまい、2003年に書籍化。以後、事業再生コンサルタントに転身し現在に至る。
最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)から現在までにトライアスロンに8回出場、全て完走。フルマラソンも2回出場、2回完走。
嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。

【相談員】
須田幸雄: CTP認定事業再生士。資金繰り改善、財務体質改善、労務、管理等に強い。

廣田守伸: CTP認定事業再生士。関西地区担当。事業再生コンサルタント歴16年以上の大ベテラン。

金久保 健: 中小企業診断士歴20数年。マーケティング、事業性評価、PL改善に強いが、事業再生コンサルタントとしても10年近い実績がある。

 
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