吉田猫次郎ブログ

事業再生、倒産回避、資金繰り改善、連帯保証人問題、借金自殺防止 ・・・などが専門ですが、ここはブログなので、もっと気楽にいろいろ書きます。

 

倒産寸前の「症状」「原因」「治療法」


Category: 企業再生・事業再生関連   Tags: ---
もう何年も前から勉強会で解説していることですが、改めて図にします。

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一口に倒産といっても、倒産状態と倒産手続きは、イコールではありません。
たとえ資金がショートしても、不渡りを出しても、差押を受けても、それはただの「状態」、病気に例えれば「症状」にすぎません。
倒産の手続きに入らない限り、会社は、まだ生きています。
登記上も消滅していないはずです。

生命を維持している限り、まだまだ生き残り策はあります。

例えば、

・資金ショート - 前金で資金調達、資産処分で資金調達、金融で資金調達、交渉で支払延期、などなど
・延滞 - ゴメンナサイする、別な形で信用挽回する、ペナルティを甘んじて受ける、資金調達する、などなど
・一括請求 - 交渉の余地はまだある。あるいは交渉がダメでも、次の段階で打開策はある。
・代位弁済 - 過去にメルマガやホームページや本や勉強会でさんざん解説した通り。大丈夫。生き残れる。
・債権譲渡 - 同上
・担保権実行(競売) - 同上
・法的手続き - 勝訴・敗訴・和解という3択だけでなく、「負けるが勝ち」という道もある。
・差押 - 差押を未然に防ぐ方法も(合法的な範囲でまだまだ沢山)あるし、あるいは差押を潔く受け入れてしまって、不良債権処理の方向へ向かうのも悪くない。
・不渡り - 1回目の不渡りは「片目」。2回目の不渡りは銀行取引停止処分。但し銀行取引停止といっても普通預金口座は普通に開設・使用できる。借入金は一括請求されるし、手形小切手も使えなくなるが、知恵と工夫、気合と根性で、不渡りを出しても生き延びた会社が実際ある。

最悪、これらの「症状」が一度に起きても、倒産ではありません。
その症状に押し潰されて、事業継続を断念してはじめて倒産なのです。
押し潰されず、意地でも事業を継続すれば、倒産ではありません。
(そんな事例も数多く見てきました。)

こうして、倒産を阻止することは、実は誰にでもできます。
そう難しくありません。

ただ、それだけで良いわけがありません。
傷だらけのゾンビ企業のままになってしまいますから。

どうせ生き残るなら、症状にばかりとらわれず、「原因」にまで遡り、抜本的な「解決方法」を見出して欲しいものです。

そこで、図の右側のほうへ進みます。

図の左側が「対症療法」「応急処置」だとしたら、
図の真ん中は「精密検査」で、
図の右側は「原因療法」といったところでしょうか。

さて、「原因」です。

倒産の原因を会計的にみると、

PL上の問題 - 赤字体質の原因がどこかにある。(売上?売上原価?販管費?支払利息?)
BS上の問題 - 債務超過である、流動と固定のバランスが悪い、など
CF上の問題 - キャッシュフローのどこかに問題がある(営業CF?投資CF?財務CF?)

大きく分けて、この3要因のどこに問題があるのかを究明することが大事です。
3つとも問題があるかもしれませんし、1つだけかもしれません。
いずれにしても、最も問題のあるところにメスを入れます。

(例) こんな相談がありました。
  「うちの会社は資産は5000万円相当あります。負債は2500万円しかありません。このうち2000万円は銀行からの借金です。事業のほうは売上7000万円、営業利益350万、経常利益300万円と黒字です。だけど資金がありません。このままでは来月には不渡りを出してしまいます。もう夜も眠れません。破産しかないでしょうか?」

(答え)
  「BSは債務超過ではない。それどころか自己資本比率50%と良好である。但し流動と固定、運転資本などは要精査。
PLも経常黒字体質のようなので問題なさそう。
借金も、有利子負債2000万と経常利益300万を見比べると、債務償還年数は6.66年くらいと問題ないレベルにある。(厳密には減価償却費や税引後利益、フリーキャッシュフローなどを精査すべきだが、まあアバウトに見て)
 問題があるとすればキャッシュフローだ。ここにメスを入れれば、この会社は必ず再建できるはず。
 一例をあげれば、ひとくちに資産が5000万円あるといっても、固定資産や在庫のようなすぐに現金化できない資産ばかりだと資金繰りは厳しいはずだから、流動比率や固定長期適合率などを精査して、固定資産を処分して現金化する。あるいは固定資産はそのままでいいから、売掛金・買掛金のサイトを見直したり、在庫の回転日数を見直したりして、運転資本・CCCの最適化に努め、運転資金のかからない体質にする。あるいはそれでも足りなければ、もっと借金してもいいかもしれない。あと1000万円くらい借金を増やしても、有利子負債CF倍率は10年に収まりそうだから、特に問題ないレベルである。)


最後に、表の右側にある「治療法」ですが、これは皆さんが思う以上にたくさんあります。
症状の軽い順に、

・リストラ型
・リスケジュール型
・私的整理型
・その他、やれるだけのことをやり尽くして
・最後に法的整理・清算
(&それぞれの過程でM&A型などを組み合わせることもできる)

というのが、私がよく人にお勧めする道筋です。

この「過程」が大切です。
結果よりも、プロセスのほうが大事かもしれません。
これらの過程で、得るものが非常に多いからです。
経営者として。

死に物狂いで倒産寸前の「症状」と闘った。
次に、頭をフル回転して「原因」を究明した。
最後に、リストラ型⇒リスケ型⇒私的整理型⇒法的整理型、あるいはM&A型など、数ある治療法の全てを、じっくり検討し、やれるだけのことはやった。

これはもう、ドラマではありませんか!
経営者なら、ぜひ体験して欲しいものです。
死に物狂いの会社復活劇を。

ハッピーエンドでなくても、必ず、金に代えられない「何か」が得られるはずです。

・・・だから私は、慌てて自己破産してほしくないのです。
ちょっと資金ショートになったくらいで、原因究明や解決の道筋をショートカットして、いきなり自己破産してしまうのは、あまりにももったいないと思うのです。
それでは何も得るものがないと思うのです。

そんな話を、勉強会でいつもしています。


ご挨拶が遅れましたが、これが今年最初のブログ更新になります。
皆様あけましておめでとうございます。

今年もこのように、いろんな角度から、深く、中小企業の倒産回避&事業再生をサポートしていきたいと思います。
どうぞよろしくお願い致します。


吉田猫次郎

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プロフィール

吉田猫次郎

Author:吉田猫次郎
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。認定事業再生士(CTP)。経営革新等認定支援機関(株)NEKO-KEN代表取締役。
本名はホームページや書籍に記載。
著書多数。講演・メディア出演多数。
1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。

20代の商社マン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利の連帯保証人、ヤミ金の怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はしなかった)。

趣味は釣り、アウトドア全般、ほか。

最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)でトライアスロンのオリンピックディスタンスに初挑戦&完走。2014年(45歳)でフルマラソン初挑戦&完走。2015年(46歳)にはトライアスロンのアイアンマン70.3に初挑戦&完走。2016年も完走。徐々にメタボ解消。だがすぐにリバウンド。

嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。

 
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