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吉田猫次郎のブログ(2005年~2020年分)

事業再生コンサルタント・吉田猫次郎の旧ブログです。恥ずかしいけど残しておきます。2021年からは別の場所に移転しました。

 

ちょっと変わったブラックリスト (CIC、成約残し)


Category: ブラックリストは怖くない   Tags: ---
ちょっと変わったブラックリストをお見せしましょう。

俗にいうブラックリストとは、信用情報機関に長期延滞、債務整理、破産などの情報(異動情報などという)
が登録されていることを指しますが、ここで紹介する事例は、どこを見ても「延滞」とも「破産」とも「異動」とも書かれていません。
でもこれ、実質的にはバリバリのブラックなのです。
しかも、「5年間」という期限が定められておらず、このままでは半永久的に残ってしまう、ある意味、最悪のブラックともいえるかもしれません。
これが残ったままだと、たとえ他の信用情報(携帯の割賦の引き落とし状況など)がいくら綺麗でも、
おそらく、クレジットカードは〇天カードかA〇〇Xカードしか作れないでしょう。
住宅ローンはまず不可能です。
自動車ローンは成功率半々かそれ以下だと思います。

こういうのを、俗に「成約残し」 と言われています。

cicseiyakunokosi20161214

以下解説。

【ページ解説】
・ 借入先は、某消費者金融。平成12年に499,499円借りた。
・ 右上の「保有期限」が普通は書かれているが、ここには書かれていない。
・ 左下の「契約内容」その隣の「お支払いの状況」も普通は書かれているが、ここでは空白になっている。
・ 一番下の「入金状況」も、毎月、空白になっている。
・ 右側の「終了状況」も、空白になっている。
・ あちこち空白だが、ページ右側の「残高」を見ると、72,797円残っているのがわかる。
・ 「延滞有無」のところには、元本利息とだけ書かれていて詳細はわからない。

では一体なぜ、こんな中途半端な情報が残ったままなのでしょうか?

【事情解説】
 実はこの人、平成14年頃に某消費者金融から裁判を起こされ、敗訴が確定し (これを「債務名義」という。「債務名義」とは「強制執行する権利」という意味に近い)、平成15年頃に預金口座を差し押さえられ、その後しばらく頑張って分割で返していましたが、16年に残元金が72,797円まで減ったところでいろいろあって力尽き、以後、1円も返済できずにいました。
 その後、平成17年、18年、19年、20年、21年と年月が過ぎていきました。
某消費者金融からの催促は、差押を機にあまり来なくなり、せいぜい、ハガキ程度でした。
2度目の差押もありませんでした。
 この某消費者金融は、CICとJICC(旧・全情連)の2機関に加盟していたので、平成14年から16年頃までは、かなりマメに信用情報(異動情報・事故情報)が更新されていましたが、数年が経過した18年頃になると、めっきり更新頻度が減っていきました。
 ここで、過去のCICの基準だったら、「最後に登録されてから5年」で情報が消え、平成18年頃から起算して5年後、つまり平成23年頃にはページごと綺麗に消えていたかもしれません。
 しかし、平成22年に貸金業法が改正し、CICとJICCの2機関が「指定信用情報機関」になり、より正確な情報を維持することが義務付けられました。その結果、まだ残債務が残っているのに信用情報が自然消滅するようなことがなくなり、「登録されてから5年(で消える)」という基準から、「契約が完了してから5年」という基準に変わったのです。

 要するに、年月を経て平成22-23年頃にいちど消えかかっていたブラックな情報が、登録基準が変わり、消えなくなってしまったのです。いちど消えかかっていた古い情報なので「入金記録」「入金状況」などタイムリーなものは空白になっています。ですが、「氏名」「生年月日」「勤務先」「住所」そして「残高」「延滞有無」などは残っています。また、保有期限は空白になっています。契約が完了していないので、保有期限はさしずめ「無期限」といったところでしょうか。

 もし、この人がクレジットカードを作ろうとしたら、普通は否決されてしまいます。(例外もありますが)
審査する側(多くはコンピューター審査)がCICに照会してこのページを見たら、「某消費者金融に残高がある。異動情報はないが残高以外の項目が空白になっていて怪しいし、45番の「延滞有無」の項にも「元本利息」とあるので、これは借金を返さないまま放置しているな・・・。これは危ない。カードは発行できない」 と判断するでしょう。

 以上、「成約残し」 についての解説でした。

 ちなみに、この「成約残し」が多いのは、
(1)過去10年くらい借金を返さず(返せず?)放置状態になっている人と、
(2)まれに自己破産して5年以上経ってもクレジット系の信用がなかなか回復しない人の2タイプがあります。 


 話を続けます。

 解決方法についても、大サービスで解説しましょう。

(1)に該当する場合は、ずばり、消滅時効の援用です。
(2)に該当する場合は、破産をお願いした弁護士さんにお願いして、該当する貸金業者に訂正をお願いするのが一番ではないかと思います。

 消滅時効の援用については、私は法律家ではないので詳しい解説はできません。
わかる範囲でいえば、「借金の時効は5年が基本」「債務名義(確定判決や調停調書など)を取られている場合の時効は10年」「5年でも10年でも、その起算日が大切。ざっくり言えば、最後に支払った日か、ハンコなどを押して債務承認した日が起算日になるjことが多い」「つまり、最後に支払った日から数えて5年あるいは10年。最後にハンコなどを押して債務承認した日から数えて5年あるいは10年」「時期がきたら自動的に時効になるわけではない。必ず債務者自身が、内容証明郵便などを用いて、時効の援用をしなければ成立しない」 と、そんな理解で概ね間違っていないと思います。 (但し高度な法律判断なので、安易な独断はオススメしません。安易じゃない独断ならいいかもしれませんが・・・)

 消滅時効の援用がうまくいくと、「その借金が消滅する」「その契約がなかったことになる」というような解釈になり(?)、ひいては、「契約がなかったことになるのだから、信用情報を消してくれ」 と言えなくもないと言えそうです。 (但しくどいようですが私は法律家ではないので詳しい理論はわかりません。鵜呑みにしないでください)

 最後に事実のみを書きますが、この画像の人 (残債72,797円、CICに成約残しあり、JICCに異動情報あり) は、消滅時効を援用して、その後、1ヶ月と経たないうちに、ブラックが消えました。形跡すら残っていません。 (そのうち消えた後のキレイな信用情報をここで画像掲載します。)


つづく


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プロフィール

吉田猫次郎

Author:吉田猫次郎
【NEKO-KEN】
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。
事務所所在地は、東京都三鷹市下連雀3-31-4-206 (2021年4月現在)
経済産業省認定・経営革新等認定支援機関(認定支援機関)。
2003年開業。末期症状の会社の倒産回避(生き残りのための応急処置)から、原因究明、デューデリジェンス、再生スキーム策定、金融機関向け経営改善計画策定支援、資金繰り改善、PL改善(黒字化)、実行支援、事業承継、補助金、最後の出口へのお手伝いに至るまで、事業再生コンサルタントとしては一通りの経験と実績があります。
企業理念は「ヒト・モノ・カネの再生」。


【吉田猫次郎】
本名よしかわひろふみ。(株)NEKO-KEN代表取締役、CTP認定事業再生士、認定支援機関、著述業、ほか。
1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。
著書13冊。講演300回以上。テレビ出演15回くらい。
20代のサラリーマン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利、多重、ヤミ金、怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はせず)。その体験記を、2001年に猫次郎と名乗ってホームページに公開したところ、予想外にヒットしてしまい、2003年に書籍化。以後、事業再生コンサルタントに転身し現在に至る。
最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)から現在までにトライアスロンに12回出場、全て完走。フルマラソンも2回出場、2回完走。
嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。
2020年8月に脳梗塞発症。3週間ほど入院。しかし現在こうして文章を書いているし、手足も自由に動く。

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