吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員のブログ

中小企業再生や敗者復活に関する投稿が主ですが、ホームページとブログを区別し、ここでは幾分ユルめの内容になっています。

 

スポンサーサイト


Category: スポンサー広告   Tags: ---
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「借りたカネを返したい。だけど返させてくれない」 という事例


Category: 企業再生・事業再生関連   Tags: ---
まあ、比較的よくあるケースなのですが、先週また、目の当たりにしました。

・相談者: 地方のサービス業 (年商ウン億円)

・借入先: 地方銀行2行(プロパーと協会つき両方あり)+政府系1行+サービサー1社

・借入金総額: ウン億円(年商とほぼ同じくらい)

・資産と負債のバランス: 店舗が土壌汚染されているので、評価する人によって大きく異なる。
 売却しないことを前提に簿価ベースで甘く見積もれば、資産と負債がトントンかもしれない。
 しかし不動産担保価値としてシビアな見立てたら、資産と負債の差は「1:3」くらいの大幅な債務超過状態。

・返済状況: リスケジュールを数年間してきた。延長や再延長もあった。 また、一時的に長期の利息延滞が続いた時期があり、このときに銀行借入の一部が事故扱いになり、サービサーへ債権譲渡されたという経緯もある。 しかし元金の返済も約定通りではないものの実行してきた。 また、半年ほど前から急速に業績が改善しつつあり、今後ますます元金の返済ピッチを早めることができそうだ。

・銀行との交渉経過:  春に銀行側から事業・財務のデューデリジェンスの要望あり。財務デューデリは公認会計士が、事業デューデリは私(猫次郎)が担当した。 夏にバンクミーティングの要望あり。 いずれも誠意をもって対応したが、バンクミーティングの結果は、残念なものだった。(以下)

・社長さんの希望: 「事業を継続したい!」「借金を返したい!」「この仕事が好きだ!」

・銀行側の見解: 「もう返済はできないでしょう?民事再生法の適用か、もしくは事業譲渡などをされてはいかがですか?」

・私の見解:

① うーむ。銀行さんの言い分もわからなくはない。いや、よくわかる。銀行さんはこういうとき、「過去」「現在」を判断基準にする傾向が強く、「未来」の話はあまりアテにしない。確かにこの会社は、半年前なら借金を返し切るのに単純計算で80年以上かかる状態だった。黒字体質ではあったが、それ以上に借入金過多だったのだ。土地建物設備を多く必要とする業種で、ROAが低かったのだ。 しかし銀行はそんなに待てない。80年かかって全額回収するよりも、今のうちに何らかの形で「処理」するほうが得策なのだろう。おそらく債務者区分(5段階評価のようなもの)も、「実質破綻先」か、良くて「破綻懸念先」に位置しているのだろう。だとすれば、貸倒引当金も相当かかっており、このままでは管理コストがかさむ。

② しかし、金融機関の常識にとらわれず、もっと「普通」の考え方で見たらどうだろう? 社長さんは 「今まで銀行さんに返済猶予してもらって、約束の返済期日より大幅に延びてしまいました。本当にご迷惑おかけしました。 でも、血のにじむような自助努力により経営改善し、ようやく業績が回復してきました。これからはもっと早いピッチで返済できそうです。ですから、どうかこれからもお付き合いを継続して、返済を続けさせて下さい!」 という至極まともな感覚の持ち主なのである。 それを銀行に主張したら、「いやいや、無理でしょう?」 と断られてしまった。 借り手は返したがっているのに、貸し手はもう諦めるという。 何だかなあ・・・。

③ しかし、モノは考えようだ。 今回、銀行さんが、バンクミーティングによる複数の金融機関の総意で、「もう全額返済は無理でしょ?」「民事再生(=裁判所を通じて借金が大幅にカットされる)」 か、「事業譲渡など(=裁判所は使わないかもしれないが担保価値&事業価値以上の回収は困難なのでかなりの貸倒損失が出る可能性が高い)」 のどちらかをしたらいかがですか?と提案してくれているのである。 これを平たく言えば、「もっとうまく立ち回れば、借金を全額返さなくても済みますから、そういう合理的な選択をしたほうがいいですよ!」 という大変ありがたい提案を、銀行のほうからしてくれているのである。

④ まだ交渉の余地はありそうだが、主役は社長さんだ。どうするかは社長さんが決めればいい。
私はどっちでもいいと思う。
あえて銀行の提案を退けて無理にでも全額返済するようゴリ押しすることも(計画書の描き方次第で)不可能ではない。 
あるいは、素直に銀行の提案に乗って、合理的に借金を減額する方法を選んでも事業継続は可能だ。 

⑤ 先月は、似たような事例で全く逆のケースを見た。先月ブログで紹介した、ある製造業だ。この製造業は、重度の債務超過で、リスケの延長年数も長く、過年度の数字で見れば、借金を全額返済することなど100年かかってもできない状態だった。2年前までは銀行の支店長に 「民事再生か事業譲渡しかないでしょう・・・」 とサジを投げられていた。 しかしその後、予想以上に業績が上がり、銀行の対応も大きく変化していった。 しまいには、「もう民事再生や事業譲渡など考えないで下さい。異例中の異例ですが、原材料の仕入れ資金を融資します。これで存分に収益を伸ばして下さい!」 と提案されるに至り、つい最近、無事に融資が実行された。
こんな結末もあるのである。
これなら銀行も損しないし(むしろトクをする可能性のほうが高い)、会社側も、借金免除のような旨みはないが、「自分の会社」として堂々と経営を続け、収益を伸ばし、逆境をはねのけ、借りたカネを全額返済できるという「ドラマ」を描くことができる。これなら両者ともハッピーエンドではないか。


・・・・ 結論は、まだ出ていません。

昨今は、「借金を全額回収できるまで執拗に取り立てる」 という時代ではなくなり、このケースのように、債権者側のほうから 「もうあきらめたらいかがですか?ウチは構いませんよ」 と親切に(?)提案してくれることも増えました。

2012年頃から、国が金融機関に対し「コンサルティング機能の強化」を要求しはじめ、「支援すべき先」と「様子見」と「見捨てる先」を、より明確に区別するようになり、現在に至っています。 しかも、ありがたいことに(?)、上手な整理・廃業の仕方まで教えてくれることも珍しくなくなりました。

なので、本件のようなケースも、全く珍しくないのです。
「またか・・・」 という感じです。

しかし、一方で、同じ2012年あたりから徐々に出てきた、新しい潮流もあります。
それは「定量分析だけでなく、定性分析でも見てみよう」 という金融機関の動きです。
1999年の金融検査マニュアル改定以降、久しく、決算書や試算表のような「数字化できる」「過去のデータ」による「定量評価」が金融機関の判断目安でしたが、最近では、そういった財務情報だけでなく、「非・財務情報(知的資産など)(定性評価)も吟味してみよう」 という動きにもなりつつあります。 これはまだまだ浸透しているとは言い難いですが、先月ブログで取り上げた「重度の債務超過の製造業への追加融資」のように、債務超過&リスケ中にもかかわらず、将来に期待をかけて真水の運転資金を融資してくれるようなケースも出てきています。

銀行さんの「コンサルティング機能の強化」に、「定性分析」が加わるようになれば、かなり面白いことになりそうですが、現実には、銀行の従来の役割を大きく超える大変なことなので、あまりきめ細かなコンサル機能や定性分析を求めるのは酷でしょう。 銀行さんも国もそのへんは重々承知しているようで、そのような分析は、外部のコンサル(認定支援機関など)にアウトソーシングするような仕組みになりつつあり、それが徐々に良い形になってきているというのも現場で肌で感じています。

このように、中小企業と金融機関のカネの貸し借りの関係も、価値観や評価基準も、刻一刻と変化してきています。



スポンサーサイト


Comments

Leave a Comment



10 2017
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

09

11


 
プロフィール

吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員

Author:吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員
----------------------

【NEKO-KEN】
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。東京都中野区。
経営革新等認定支援機関(認定支援機関)。
末期症状の会社の倒産回避(生き残りのための応急処置)から、原因究明、デューデリジェンス、再生スキーム策定、金融機関向け経営改善計画策定支援、資金繰り改善、PL改善(黒字化)、実行支援、最後の出口へのお手伝いに至るまで、事業再生コンサルタントとしては一通りの経験と実績があります。
ミッションは「ヒト・モノ・カネの再生」。


【吉田猫次郎】
(株)NEKO-KEN代表取締役。
本名よしかわひろふみ。1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。
著書12冊。講演300回以上。テレビ出演15回くらい。
20代のサラリーマン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利、多重、ヤミ金、怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はせず)。その体験記を、2001年に猫次郎と名乗ってホームページに公開したところ、思いがけずヒットしてしまい、2003年に書籍化。以後、事業再生コンサルタントに転身し現在に至る。
最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)から現在までにトライアスロンに8回出場、全て完走。フルマラソンも2回出場、2回完走。
嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。

【相談員】
須田幸雄: CTP認定事業再生士。資金繰り改善、財務体質改善、労務、管理等に強い。

廣田守伸: CTP認定事業再生士。関西地区担当。事業再生コンサルタント歴16年以上の大ベテラン。

金久保 健: 中小企業診断士歴20数年。マーケティング、事業性評価、PL改善に強いが、事業再生コンサルタントとしても10年近い実績がある。

 
★ 「相談」をご希望の方は、ホームページのほうに申込方法等を記載していますのでご覧下さい。有料と無料があります。 → 吉田猫次郎ホームページ

★ 取材、講演、執筆依頼は、直接メールまたは電話またはFAX下さい。 ooneko@nekojiro.net TEL(03)5342-9488 FAX (03)3229-8329

★ このブログは長い間、吉田猫次郎ひとりで書いておりましたが、2017年8月より、3名の相談員と共同作業で投稿していきます。お楽しみに。

 
 
 
 
吉田猫次郎メルマガ有料版
 
 
吉田猫次郎 著
震災後に倒産しない法
 
吉田猫次郎 著
「連帯保証人」ハンコ押したらすごかった。でもあきらめるのはまだ早い!
 
吉田猫次郎 著
借金なんかで死ぬな!
 
吉田猫次郎 著
働けません。
 
猫研バナー
リンクフリーです。
猫研
 
 
ブログ内検索
 


Archive   RSS   Login

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。