
サービサーについての詳しい解説はここでは省略します。過去にあちこちで何度も書いてきました。
サービサーに債権譲渡された場合、条件がうまく揃い、かつ交渉を上手にやれば、信じられないほど債務を圧縮できます。中には、昨年5月頃に当ブログで和解書の現物コピーを掲載したように、1億円の債務を「5万円」に圧縮し、差額を全部、免除してもらえた例まであるほどです。 しかもそれは、自己破産や民亊再生などといった法的整理を使わず、またプロの代理人も立てず、完全なる自力交渉で勝ち取ったものです。
さすがに1億円を5万円にというのはレアケースですが、1億円を50万とか100万にまけてもらえた事例なら、そこらじゅうに掃いて捨てるほどあります。
フィクションでも都市伝説でもありません。ちっとも珍しくない話なのです。
ただ、それは、決して簡単ではありませんし、無傷で済むものでもありません。
そこは勘違いしてはいけません。
なにしろ、借金を話し合いだけで免除してもらおうというのですから、何かしらの代償がつきものです。
担保の処分とか、差押とか。 覚悟が必要です。
前述の 「1億円が5万円に免除された」 ケースもそうでした。
そこに至るまでに、この方(連帯保証人として全債務を背負った大変気の毒な方)は、数え切れないほどの督促状や電話だけでなく、訪問も何度もありました。訴訟を起こされて敗訴したこともありました。敗訴が確定すると差押の権利(債務名義)を取られますから、その権利をもとに、預金口座などの差押をされたこともありました。これら全てを、ノーガードで受けたのです。 そういう険しい道のりを経て、やっと辿り着いたのが、「1億円→5万円」だったのです。
無傷では済まない、覚悟がいると書いたのは、そういう意味です。
覚悟の暁には、きっといいこともある。
さて、冒頭で 「統計が出ている」 と書きましたが、これは、法務省(サービサーは金融庁が監督しているのではなく法務省が監督している)のホームページの片隅に載っています。
◆H26年 債権回収会社(サービサー)の業務状況について(概要)
http://www.moj.go.jp/housei/servicer/housei08_00043.html
◆H25年 債権回収会社(サービサー)の業務状況について(概要)
http://www.moj.go.jp/housei/servicer/housei08_00037.html
◆H24年 債権回収会社(サービサー)の業務状況について(概要)
http://www.moj.go.jp/housei/servicer/housei08_00030.html
この統計を見ると、担保つき債権の「競売」による回収は、H26年で8.9%となっています。
また、無担保債権の強制執行(預金や売掛金などの差押)による回収は、0.6%となっています。
思ったより低いと思いませんか?
ただ、これより2年前の、H24年の統計を見てみると、担保つき債権の競売による回収が7.7%、無担保債権の強制執行による回収が0.4%となっていますので、2年前より現在のほうが、不動産担保の競売による回収が1.2%ほど上がっており、また無担保債権の強制執行(預金差押や売掛金差押など)が0.2%ほど上がっていますので、やはりナメてかかれません。
注意というか、覚悟が必要です。
ちなみに、預金口座の差押についてはメルマガや本などでさんざん解説したことがあるので省略しますが、
売掛金の差押は、金融機関やサービサーがしてくることは非常に稀でしたので、今まであまり解説してきませんでした。
(売掛金を差し押さえてくる可能性が高いのは税金と社会保険だけだった)
しかし、ここ1-2年、 「サービサーに売掛金を差し押さえられて、取引先の信用を失い、商売できなくなった・・・」 という声を時々耳にするようになってきました。 (あまり嬉しくないニュースですね・・・)
しかもそれが、わかりやすい売掛先だけではないのです。
わかりやすい売掛先としては、たとえば決算書類の「売掛先の内訳」のページに載っている売掛先がその筆頭でしょう。次に、帝国データバンクや東京商工リサーチなどの調書に記載されている主要取引先の欄もわかりやすいですね。 また、サービサーに債権譲渡される際に、譲渡人(銀行など)は、契約書類なども一式そろえて譲渡しますから、借入申込書に手書きで書いた売掛先の一覧なども参考資料になるかもしれません。などなど・・・
わかりにくい売掛先、というか、プロでも見落としがちな売掛先としては、たとえば「入札」で取った公共工事などは、その入札結果が役所のホームページで公表されており、そこに業者名も落札金額も詳しく書かれていることが多いと思います。そこをサービサーに狙い撃ちされて、ヒトケタ単位で正確な金額の売掛金を差し押さえられた方もいました。
やはり注意というか、覚悟が必要ですね・・・。
尚、売掛金差押という最悪の目にあっても、打開策はまだまだあります。
それも、ナニワ金融道ばりの法律裏ワザ系ばかりではありません。
もっとシンプルに、社長さんご本人が、素人丸出しで、体当たりで交渉しても効き目があるのです。
(ヒントは「交換条件」かな・・・?)
法律的に考えるのはいいことです。
金融サイドから考えてみるのも、いいことです。
でも、それだけではありません。
「自分本位に考えてみること」 も、時として有効だし、
私が昔からよく書いているように、「商店街でおばちゃんがネギやダイコンを値切る」 ような、もっとシンプルな交渉のほうが効果的な場合もあります。
頭を柔らかくすればするほど、こういうピンチは切り抜けられるものです。
少し休み、リラックスし、多少のこと(差押など)はされてもいいやとユルく構えるほうがいいでしょう。
交渉、交渉、法律、手続き、交渉、交渉、と、あまり囚われてはいけません。
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