吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員のブログ

中小企業再生や敗者復活に関する投稿が主ですが、ホームページとブログを区別し、ここでは幾分ユルめの内容になっています。

 

ヤミ金(システム金融)との闘い方 (長文)(保存版)


Category: 企業再生・事業再生関連   Tags: ---
だいたい2003年頃をピークに、ヤミ金が減少していきました。

それ以前は、貸金業登録の要件や罰則がユルかったこともあり、10日で1-3という超暴利で貸し付けているヤミ金業者が、優良会社を装い、「東京都知事(1)第xxxxx号」といった貸金業登録をして、しっかり事務所を構え、親切そうなDMを送付して顧客獲得していました。
「1億円まで無担保無保証!」「借入件数の多い方でもOK!」「独自審査!」「必ず貸します!」といった甘いおとり広告を打って、いざ申し込みに行ってみるとトイチ以上の暴利だったといった具合に・・・。

一説によれば、2000年頃は、貸金業登録しているヤミ金業者が東京都内だけで推定1万社以上いるとも言われていました。

しかし、2003年以降、貸金業登録の要件が非常に厳しくなったことや、出資法違反の罰則強化、貸金業法改正など、次第に法規制が厳しくなっていったおかげで、こういったトイチ型のヤミ金業者はゆるやかに減少。2007年頃からは警察もある程度積極的に動くようになり、さらに減少しました。
2010年の改正貸金業法完全施行以降は、もう本当に激減しました。

そんなわけで、我がNEKO-KENにおいても、ここ数年はヤミ金関連の相談がほとんどありませんでした。
(相談の多くは銀行系ですね)


ところが・・・!

たまたま偶然でしょうか。
ここ2-3ヶ月、ヤミ金関連の相談が、少し増えてきています。
ちょっと気になりますね。

ヤミ金にも多くのタイプがありますが(東京都1番などの貸金業登録を取って事務所を構えている「トイチ型」、無登録で事務所も不明で電話と小切手と振込でやりとりする「システム金融」型、一口5万円以下の小額融資で週1-2割の利率で個人向けに貸し付けている「090金融」系、融資を口実に保証金名目で50万円くらい先取りしてそのまま逃げてしまう「融資詐欺」系、などなど)、
最近相談を受けるのは、すべて、「システム金融系」ばかりでした。

その「システム金融」の手口は、私個人的には、ちょっと懐かしさがこみ上げてくるほど、10年前と寸分違わぬ古典的な手口でした。

以下、その手口と対処法を紹介しましょう。


【システム金融の手口】

・対象となる融資先(カモ)は、手形や小切手を切ることができる中小零細企業・自営業者。

・最初の勧誘は、FAXで来ることが多い。

・社名は「xxサポート」「xxx信販」「ライフxxxx」などといった普通の名前が多い。

・貸金業登録番号は、DMのどこを探しても書かれていない。(無登録)

・融資の金額は、1回あたり50万~100万未満が多い。

・担保代わりに、先付けの小切手を切らせることが多い。(約束手形を切らせることもある)

・例えば、30万+30万+40万、計100万の先付け小切手を切らせて、そこから1~3割の利息を天引きした、70-80万円を融資(銀行振込)するというようなやり方。

・小切手のサイトは「10日ごと」が多いから、実質的な利率は、「10日で1~3割」であることが多い。
 年利に換算すると360%~1000%以上!

・終始、顔を見せないことがほとんど。融資実行は銀行振込。小切手の渡し方も郵送。回収は小切手で。

・郵送先の住所は、銀座、新橋、新宿、渋谷など東京の一等地のほか、大阪、札幌、福岡も多い。
 これらのほとんどは、実態がなく、「秘書代行サービス」のようなものを使っていたり、他人名義でマンションの一室を借りていたりということが多い。

・電話は携帯番号を多用。その携帯電話の名義人も、債務者から巻き上げた他人名義のものが多い。

・銀行の口座番号も、債務者や倒産会社から巻き上げた他人名義の口座がほとんど。

・返済(回収)は、だいたい10日おきに小切手を銀行に回すという形で回収する。このときも顔を見せない。

・中小企業経営者の、「小切手や手形を不渡りにしたら倒産してしまう!」という心理を巧みに使って、システマチックに回収しているわけである。

・大抵の債務者は、資金繰りが限界にきた零細企業であるから、苦しそうな時期を見計らって、仲間内で、別の金融業者名を名乗って、「ウチでも借りませんか?安くしますよ」などとDMや電話で勧誘する。ここで、多くの社長さんは金策が限界にきて冷静な判断ができなくなっている(感覚も麻痺している)から、また借りてしまう。

・こうして、ごく短いうちに、少ない時で3-4社、多いときで50-60社も借りてしまう。
(50-60社借りていても、実際はほとんどが裏でつながっている。一人のシステム金融担当者が3役も4役もこなしていることも多い。グループでシステマチックに貸し付けているわけである。)

・小切手が不渡りになったら、多くはそこで回収を諦める。といっても、不渡りを出した数日後までは、何十回、何百回と電話をかけてきて、あらゆる暴言を吐く。

・でも実際に訪問はしてこない。仮に訪問してきたとしても、正面から堂々と取り立てることは滅多になく、もっと姑息な嫌がらせ、たとえば寿司の出前を沢山呼んだり、真夜中に石を投げてガラスを割ったり、壁に落書きをしていったりと、子供じみた嫌がらせしかできないことがほとんど。

・弁護士が介入したり、警察に相談していることがわかると、比較的サッサと手を引く。こういう割り切りの早さもシステマチックである。

・担当者の多くは、ヤクザではなく、水商売風や無職風の一般人である。(元債務者が、脅されて強制労働さながらに働かされていることもある)


【簡単な理論武装】

・システム金融のやっていることは、犯罪である。

・トイチ、トニ、トサンの超高金利は出資法第5条に違反し、その利息は無効になる上、懲役10年、罰金3000万、あるいはその両方などの重い刑罰が科せられる。(ちなみにこの法律は、貸し手が貸金業者の場合は年利20%を超えたらアウト。貸し手が貸金を業としていない場合は年利109.5%を超えたらアウト。)

・利息どころか、元金も返さなくていいという解釈もある。(民法708条「不法原因給付」)

・いくら「約束した」とはいえ、この手のカネの貸し借りは、義理人情ではなく、「契約行為」である。契約行為とはすなわち、法律行為である。我が国は法治国家である。契約内容に法律的な不備があれば、法律的に修正されるべきである。

・このような暴利の契約は、出資法違反、貸金業法違反のほかに、公序良俗に反する契約ともいえるので、契約自体を無効にすることも可能であるという解釈もある。(民法90条)

・無登録で貸金業を営むことも、罪が重い。~懲役10年。

・貸金業者が取立ての際に、身分証明書を携帯していないだけでも、最近は罰則がある。(懲役何年か忘れましたが)よって、名前も名乗れない、貸金業登録もないような取立ては許されない。

・架空名義の銀行口座を利用することは、今では厳しく規制されている。架空名義であることを銀行が察知したら、その口座はすぐに凍結される。

・単なるカネの貸し借りなら「民事」だが、超高利、無登録、暴力的な取立てをするヤミ金に対しては、「刑事」の扱いでもあるから、最近は警察もそれをよく理解しており、民事不介入であしらうようなことも減り、親身になって相談に乗ってくれる。動いてくれる。

・暴力的な取り立てはまずないと思うが、もし暴力をふるわれたら「傷害罪」、営業時間中に騒がれたりしたら「営業妨害、業務妨害罪」、差押えと称して裁判所の命令もないのに勝手に家財道具や商品在庫などを持って行ったりしたら「窃盗」や「強盗」、変な書類に署名捺印することを強要したりそれを元にカネを要求してきたりしたら「強要罪」「恐喝罪」など、まあ、詳しいことは警察や司法が判断してくれるが、とにかくここでは、「借金の取立てでもやっていいことといけないことがある。暴力的な取立ては犯罪!」と覚えておくだけでも、だいぶ知識武装できる。

・いくら「100万円払え!」と請求されていて、同額の小切手を渡していても、法律解釈上、債務がなく、また相手が犯罪者なのであれば、「この小切手は犯罪に巻き込まれたものだから、決済したくありません!」と支払い異議を申し立てることができるし、小切手の返却を求めることもできる。



【システム金融の弱み】

・犯罪者だから、自分の正体を知られたくない。

・犯罪者だから、自分の顔も見せたくない。コソコソやりたい。

・犯罪者だから、あまり長く同じ場所で営業できない。1年前後で逃げなくては。

・いくら虚勢を張っても、やっぱり警察は怖い。捕まりたくない。

・暴力団との関係も否定できないが、暴対法で罪がより重くなってしまうから、組の名前は出せない。

・多くは暴力団系ではなく、小金持ちの一般人が金主(スポンサー)だったりする。どちらにしても、金主には迷惑かけられない。



【対処法】

・王道は、やはり弁護士に介入してもらうこと。これが最強かつ確実。

・金額が140万円以下の場合は、認定司法書士に代理交渉を依頼できる場合もある。

・但し、現実にはヤミ金交渉を嫌がる先生も多いから、人の紹介や、法テラスで先生探しをして、それでもどうしても見つからなければ、以下のような別の手を考えなければならない。

・警察に相談するのも、やはり効き目がある。(但し警察は刑事事件を取り締まるのが役目だから、被害届の受理やヤミ金の逮捕などはしてくれても、借金を減らす交渉のような民事的なことには干渉してくれないので、民事的なことは期待しないように。) とはいえ、「警察に相談しています!」とヤミ金に告げるだけで、かなりの抑止効果があることは確か。

・自力交渉の場合、弱々しく交渉するよりも、毅然とした態度で交渉したほうが効果が高いことが多い。
 (但し不必要に虚勢を張る必要はない。自分の言葉で、自分らしくていい。)

・電話交渉もいいが、同時に、何か要点を押さえた文書をFAXなどで送るのも効果的。両方やると尚ベター。

・自力交渉の場合、穏便に無傷で済むとは考えてはいけない。そんなに甘くはない。借りたあなたにも半分以上の責任があるのだ。痛みは覚悟しなければならない。

・小切手が銀行に回ってないかどうか、毎日(朝11時頃?)に銀行に確認すること。いつ回ってきてもおかしくないから。

・回ってきたら、すぐに交渉を始める。その際、連絡手段や情報源は限られているから、不渡りを回避するためには、スピード感と情報力がものをいう。(例:回ってきたことを確認したら、すぐに裏書人の住所氏名や回ってきた銀行支店を銀行に問い合わせ、足取りを掴む。次に、その情報をメモしたうえで、システム金融の携帯に電話する。用件はストレートに、「小切手を依頼返却かけてください!」と。)

・警察にも、ダメ元でもいいから、相談だけでもする。すぐに!(でないと、「警察に相談しています!」という言葉がウソになってしまい、説得力がない)

・理論武装の内容も思い出す。交渉の際に、「出資法違反」「不法原因給付」「懲役10年」などの言葉を出しても構わない。

・さらには、心理的プレッシャーを与えるために、相手のフルネーム、出身地、本拠地の住所、系列、自宅、生年月日などを根掘り葉掘り訊いてもいい。

・「一度お会いしたい」と切り出してもいい。会う場所はなるべく、人の多いところで。2人以上で。デジカメを用意して。実際にはなかなか会えないと思うが、もし運良く会えたら、撮影、録画などしておいたほうが良い。

・小切手が回ってきて、交渉が難航して、不渡りになりそうになっても、2時59分ギリギリまであきらめてはいけない。3時までに相手が小切手を「依頼返却」にかけてくれれば、不渡りは回避できる。

・資金が多少でもあれば、もっとスマートな不渡り回避方法は、銀行に支払い異議の申し出をすることである。小切手を同額の預託金を銀行に預け、「この小切手は犯罪行為に使われているので決済したくありません」と届け出るのである。この手続きは、当日でもできる。

・3時過ぎの入金も、銀行との信頼関係ができていれば、イレギュラーな措置として、3時過ぎに裏門から銀行に入れてもらって入金できることもある。(中には夜間に入金して不渡り回避できた猛者もいる)但しこれはかなりイレギュラーなやり方なので過信しないように。

・自力交渉で不渡りを回避できそうな感触を得られたら、法律的視点ばかりを前面に押し出さず、「人間対人間」、「商売人どうし」といった視点も重視して、柔軟に交渉する。ゼロか100万かではなく、「10万円なら払えるから、10万円で和解してくれませんか?残りの90万円は泣いてくれませんか?それで小切手を返してくれませんか?」など。

・運悪く不渡りを出してしまったら、気持ちを切り替える。「しょうがない。でも事業は続けるぞ!」と。そして、「もうシステム金融には払わないぞ」と。

・現実のやりとりは、かなりエネルギーを使うが、何ヶ月も続くものではないので、「インフルエンザ」や「三日はしか」にかかったようなつもりで、短期間の苦労だと思って割り切ること。

・心が折れないように、友達を話したり、家族で食事に出かけたり、軽くビール飲んだり、よく寝たり、リラックスも怠らないこと。



とまあ、そんなところでしょうか。


他にも、このネタだけで1冊の本が書けるくらい、細かいノウハウがありますが、だいたいこのくらい書けば、あとは現場で機転をきかせてどうにか切り抜けられるでしょう。頑張って下さい。




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プロフィール

吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員

Author:吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員
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【NEKO-KEN】
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。東京都中野区。
経営革新等認定支援機関(認定支援機関)。
末期症状の会社の倒産回避(生き残りのための応急処置)から、原因究明、デューデリジェンス、再生スキーム策定、金融機関向け経営改善計画策定支援、資金繰り改善、PL改善(黒字化)、実行支援、最後の出口へのお手伝いに至るまで、事業再生コンサルタントとしては一通りの経験と実績があります。
ミッションは「ヒト・モノ・カネの再生」。


【吉田猫次郎】
(株)NEKO-KEN代表取締役。
本名よしかわひろふみ。1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。
著書12冊。講演300回以上。テレビ出演15回くらい。
20代のサラリーマン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利、多重、ヤミ金、怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はせず)。その体験記を、2001年に猫次郎と名乗ってホームページに公開したところ、思いがけずヒットしてしまい、2003年に書籍化。以後、事業再生コンサルタントに転身し現在に至る。
最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)から現在までにトライアスロンに8回出場、全て完走。フルマラソンも2回出場、2回完走。
嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。

【相談員】
須田幸雄: CTP認定事業再生士。資金繰り改善、財務体質改善、労務、管理等に強い。

廣田守伸: CTP認定事業再生士。関西地区担当。事業再生コンサルタント歴16年以上の大ベテラン。

金久保 健: 中小企業診断士歴20数年。マーケティング、事業性評価、PL改善に強いが、事業再生コンサルタントとしても10年近い実績がある。

 
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★ このブログは長い間、吉田猫次郎ひとりで書いておりましたが、2017年8月より、3名の相談員と共同作業で投稿していきます。お楽しみに。

 
 
 
 
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吉田猫次郎 著
震災後に倒産しない法
 
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