吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員のブログ

中小企業再生や敗者復活に関する投稿が主ですが、ホームページとブログを区別し、ここでは幾分ユルめの内容になっています。

 

サービサーは値切れる。その根拠。


Category: 企業再生・事業再生関連   Tags: ---
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↑ 法務省のHPより。http://www.moj.go.jp/content/000097844.pdf



先日、「サービサーに債権譲渡されたら1/10以下に値切れるなんて、ウソでしょ? ありえないですよ。ウソ言わないでくださいよ!」 という方がいました。

どうも頭が固くていけませんね。

頭が固いうえに、経験不足、情報不足です。

机の上と違って、日々の現場には、生きた情報が溢れているんですよ。

いいですか。 物事は「額面通り」に決まるとは限らないのです。

定価1000円と表示されているモノでも、700円にまけてもらったり、399円にまけてもらったり、何かと交換条件でタダにしてもらったりということは、いくらでもありますよね。

借金だって同じです。
借金だけが特別だと思ったら大間違いです。

また、法律的に解決する(例: 裁判で契約無効を争うとか、自己破産で免責にしてもらうとか)だけが全てではありません。

冒頭のサービサーなんかいい例です。

銀行から1億円の債権譲渡を受けたサービサーが、あなたに残元金1億円を全額請求してきたら、普通は、法的にはまず勝ち目がありません。
ほとんどの場合、訴訟で争っても無駄です。
債権譲渡を受けたサービサーを相手に「法律的に」減免を求めようとしたら、やはり、自己破産や民事再生といった手続きを選ぶことになってしまうでしょう。

しかし、「法律じゃない方法」、すなわち、オバチャンが商店街でネギやダイコンを値切るような戦法なども組み入れれば、選択肢はグッと広がってきます。
中には、法律的にどう見ても「自己破産しかない」ような人でも、サービサーと自力で交渉して、権利だの義務だの難しい法律解釈などしないで、もっとシンプルに「カネがないからまけて!」と交渉したら、自己破産も何もしないで自力交渉だけで1億円が5万円になったというようなケースもあります。(これは去る5月のブログで実例を紹介したばかりですね)


型にはまった考え方にとらわれるのはもったいない。

いや、型にはまって考えてもいいけど、それなら、もっと違った側面も勉強してほしい。


そこでひとつ、興味深い資料をお見せしましょう。

法務省が発表している、サービサーの業務状況についてです。
http://www.moj.go.jp/housei/servicer/housei08_00030.html

こんな資料は、もう10年近くも前から存在しています。(いやもっと古いか?)

少し抜粋しましょう。

--------------------------------------------
第1 サービサーの状況(H23.12.31現在)

 1 営業会社数           92社 【表1-1】[PDF]
    前回調査時(H23.6.30現在)は94社で,2社減少

 2 累積取扱債権数     1億938万件 【表1-2】[PDF]
   前回調査時は1億381万件,当期(H23.7.1~H23.12.31)取扱債権数は557万件

 3 累積取扱債権額       328兆円 【表1-3】[PDF]
前回調査時は320兆円,当期取扱債権額は8.7兆円

 4 累積回収額    37兆657億円 【表1-4】[PDF]
   前回調査時は35兆7,421億円,当期回収額は1兆3,236億円
--------------------------------------------



・・・さあ、ここから何が読み取れますか?

2.3.4の資料を掛けたり割ったりすると、何が見えてきますか?
ごく大雑把に単純計算すれば、次のようなことが言えそうですね。

(A)「累積回収額 37兆657億円」を「取扱債権数 1億938万件」で割ると、1件あたりの平均回収額は、33万8870円になりますね?

(B)「累積取扱債権額 328兆円」を「累積回収額 37兆657億円」で割ると、取扱債権に対する平均回収率は、11%になりますね? 


他にも、このページを開くと、興味深い資料がたくさん書かれていますね。


これを読んでも、「サービサーと値切れるわけがない!」なんて言えるのでしょうか?


私は、実際の現場でも、私自身の過去の借金整理の経験においても、たくさんの実例を見てきました。
ケースバイケースなので一概に言えないのはモチロンのことですが、中には請求額の1%未満で決着した人もいました。10%以上の人もいました。

これには法則性があります。詳しくは過去に書いたメールマガジンなどを読んで頂きたいのですが、理詰めで細かく説明することもできます。

ざっくり言えば、「不良債権の"不良"の度合いが強ければ強いほど値切れる」と言えます。
但し、「債権譲渡された場合に限る」とも言えます。 同じサービサーでも、「債権譲渡」じゃなくて「回収委託」のみだったら容易には値切れませんし、また、不良債権じゃなくて、担保や保証人や遊休資産のたっぷりある優良債権だったら、まず値切れません。
バカのひとつ覚えみたいに「サービサーに回ったら値切れる」などと考えないことです。
法則性を学ぶことです。

ともあれ、クソマジメに額面通りにとらえないこと。
額面というのは、物事のごく一面にすぎません。
サービサー交渉は、考え方、取り組み方に、自由度が高いのです。
型にはまった考え方しかできない人は、うまくいきません。
自由に考えられる人だけが、上手に減額交渉できるのです。



* * * * * * * * * * * * * * *


尚、これを読んで「借金を値切るなんてけしからん!」と思う向きもあるかもしれません。

バカ言っちゃいけません。

ここで論じているのは、「借りたカネ」ではないのです。

サービサー(債権回収会社)は、「債権者」には違いありませんが、「カネを貸してくれた相手」ではありません。

サービサーとのお金のやりとりは、「返す」ものではなく、「払う」ものなのです。

それどころか、統計から推察できるように、「定価よりもだいぶ安く仕入れている」のです。

その意味でも、クソ真面目に考えることなく、ビジネスの駆け引きや商店街での値引き交渉のように、「カネがないからもっとまけてよ~」 と粘ってもよいものなのです。

経営者にとって、サービサーに債務弁済することよりももっと大事なことは、「事業を存続し、会社に少しでもカネ(運転資金)を残し、雇用や仕入支払いや納税などを守ること」であるはず。

よって、よほど余裕資金がある場合を除けば、サービサーに債権譲渡されたような性質の債務は、「真面目に」というよりも、「したたかに」立ち回るべきではないかと思います。 

(少しでも余裕資金ができたら、従業員の給与や賞与、家族サービス、本業の建て直しに充ててください!)


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Comments

助かってます 
ここの情報のおかげでサービサーとの交渉が楽しくて、助かってます。
向こうはいやがってるみたいで、もう担当が何人も変わりました。
でもこちらもまとめて支払う能力がまだないので、悔しいけど少しずつ
払い続けています。でないとすぐ保証人のところに電話がいって迷惑かけるので。いつかまとめて支払えるようになったら、うんと値切ってやろうと
思ってます。
 

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プロフィール

吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員

Author:吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員
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【NEKO-KEN】
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。東京都中野区。
経営革新等認定支援機関(認定支援機関)。
末期症状の会社の倒産回避(生き残りのための応急処置)から、原因究明、デューデリジェンス、再生スキーム策定、金融機関向け経営改善計画策定支援、資金繰り改善、PL改善(黒字化)、実行支援、最後の出口へのお手伝いに至るまで、事業再生コンサルタントとしては一通りの経験と実績があります。
ミッションは「ヒト・モノ・カネの再生」。


【吉田猫次郎】
(株)NEKO-KEN代表取締役。
本名よしかわひろふみ。1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。
著書12冊。講演300回以上。テレビ出演15回くらい。
20代のサラリーマン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利、多重、ヤミ金、怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はせず)。その体験記を、2001年に猫次郎と名乗ってホームページに公開したところ、思いがけずヒットしてしまい、2003年に書籍化。以後、事業再生コンサルタントに転身し現在に至る。
最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)から現在までにトライアスロンに8回出場、全て完走。フルマラソンも2回出場、2回完走。
嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。

【相談員】
須田幸雄: CTP認定事業再生士。資金繰り改善、財務体質改善、労務、管理等に強い。

廣田守伸: CTP認定事業再生士。関西地区担当。事業再生コンサルタント歴16年以上の大ベテラン。

金久保 健: 中小企業診断士歴20数年。マーケティング、事業性評価、PL改善に強いが、事業再生コンサルタントとしても10年近い実績がある。

 
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