吉田猫次郎ブログ

事業再生、倒産回避、資金繰り改善、連帯保証人問題、借金自殺防止 ・・・などが専門ですが、ここはブログなので、もっと気楽にいろいろ書きます。

 

強さより知識。知識より知恵。知恵より「一歩踏み出す行動力」。


Category: 企業再生・事業再生関連   Tags: ---
「強靭な精神力」がないと苦難を乗り越えられない ?

私はそうは思いません。

少なくとも、中小企業の倒産回避・再生においては、「強靭さ」なんて大して必要としません。


中小企業の倒産回避、再生において、最も苦労するのは、はやり「債権者対策」と「資金繰り」と「漠然とした恐怖心」ではないかと思います。この3つにとらわれて、もっと大事なことである「本業で利益を上げること」などがおろそかになってしまうのです。

しかし、この3つは、べつに強靭な精神力なんかなくても乗り切れます。

強靭さがなければ、それを補うべく、知識(情報)、知恵(機転)、行動力(僅かな行動力でいい)の3つがあれば、大抵は乗り切れます。 (あとは程よいユルさでしょうか・・・)


「知識」と「知恵」は違います。 算数ドリルの基本問題と応用問題よりも違います。
知識の集大成が「知恵」とは限らないのです。
知恵は、どちらかというと、「おばあちゃんの知恵袋」などに近いものです。
おばあちゃんは、知識を積み重ねて知恵を身につけたのではありません。
経験の積み重ねや、限られた厳しい環境の中から、必要に迫られてそれを編み出したのです。


ひとつ、「知恵」で乗り切った人の例をあげましょう。


極端に口下手な人がいました。

彼は、去年から病気で失業し、内職のアルバイトで生計を立てているため、住宅ローンの返済が困難になり、今年3月から2ヶ月半ほど延滞していました。

銀行からは催告書、督促状などが頻繁に来て、電話も何度もあり、訪問も一度ありましたが、極端に口下手のため、こちらの置かれている状況や伝えたいことが全く伝えられないまま月日が経過していました。
このままでは3ヶ月に達し、一括請求→競売になりかねません。

私は彼から相談を受け(相談時も確かに口下手で、話だけでは状況がよく理解できませんでした)、なるほど、これは別の方法が必要だなと思いました。なあに、簡単なことです。

彼の場合、住宅ローンの残りがあと200万しかなく、正常返済(月12万円)すればあと2年ちょっとで完済になる状態でしたので、競売や任意売却など一切必要ありませんでした。
だけど内職収入しかないので、月12万の約定返済はムリです。
だとすれば、方法論的には答えはただ一つ。
リスケジュールです。
リスケ交渉して、月12万円の返済を、月3万とか5万とか、自力で返せる金額にしてもらうようお願いするのです。
これだけです。簡単ですね。

だけど、彼は極端な口下手なので、それがうまく伝えられないまま2ヶ月半も過ぎてしまった。
問題はここですね。

でも、考えてみてください。

人間には、口だけでなく、手も足もついているでしょう?

口がうまく使えないなら、手や足を使えばいいじゃないですか。



そうです。「お手紙」です。

あまり身構えず、リラックスして、銀行さんに「お手紙」を書けばいいのです。

内容も、便箋1-2枚に要点をまとめるだけで充分でしょう。


私が彼の立場だったら、こう書きます。


「返済が遅れて大変ご迷惑おかけしております。
実は私、昨年病気で失業しまして、現在は内職で収入を得ている身です。
このため、月12万円の住宅ローン返済をする金が捻出できず、また、
私は極度な口下手であがり症のため、それをうまくお伝えできずにいました。
現状では、月12万円の返済はできませんが、月3-5万の返済なら何とか可能です。
延滞分も、少しお時間をいただければ解消できると思います。
つきましては、どうかこのような返済条件に緩和していただけないでしょうか?」


その後、彼はこれと似たお手紙を、督促状に書かれていた銀行の担当部署へ郵送しました。

そしたら、すぐに電話がかかってきて、銀行の担当の方も事情を理解してくれて、
その後は書面でのやりとり中心で、月35,000円ずつの返済に仕切り直ししてもらうことができ、
そのくらいならどうにか彼も払えるので、家を失わずに済みました。
めでたしめでたし。



この話における要点は、

1.解決方法そのものは、ちょっとした「知識」で容易に導き出せるレベルだった。
2.ただ、それを行動に移すのが、ご本人にとっては大変だった。
3.でも、ちょっと機転をきかせて、「口がダメなら代わりに手を動かそう」 と決め、
 それを行動(一歩踏み出すだけの僅かな行動力)に移した。


たったそれだけのことです。

誰にでもできるでしょう?


「強靭さ」など必要ないのです。
ゴリゴリに押す交渉力もいらないし、高度な法律知識などもここでは不要です。


これに当てはまりそうな事例は非常に多く、たとえば、保証協会に代位弁済になった後の交渉や、サービサー(債権回収会社)に債権譲渡された後の免除交渉なども同様です。


あまり身構えず、ニュートラルに構えましょう。



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プロフィール

吉田猫次郎

Author:吉田猫次郎
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。認定事業再生士(CTP)。経営革新等認定支援機関(株)NEKO-KEN代表取締役。
本名はホームページや書籍に記載。
著書多数。講演・メディア出演多数。
1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。

20代の商社マン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利の連帯保証人、ヤミ金の怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はしなかった)。

趣味は釣り、アウトドア全般、ほか。

最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)でトライアスロンのオリンピックディスタンスに初挑戦&完走。2014年(45歳)でフルマラソン初挑戦&完走。2015年(46歳)にはトライアスロンのアイアンマン70.3に初挑戦&完走。2016年も完走。徐々にメタボ解消。だがすぐにリバウンド。

嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。

 
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