吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員のブログ

中小企業再生や敗者復活に関する投稿が主ですが、ホームページとブログを区別し、ここでは幾分ユルめの内容になっています。

 

債権回収会社から1億円請求 → 自力交渉で5万円に!(残りは債務免除)


Category: 連帯保証人問題   Tags: ---
50000wakai



昨夜の勉強会に、拙著『借金なんかで死ぬな!』(朝日新聞出版,2009年)の275~281ページにご自身の体験談を寄稿してくださった幸村大助さん(仮名)が、はるばる関西のほうから来てくださいました。

そこで幸村さんからお聞きした近況がスゴかったので、ご本人承諾のもと、当ブログで少し紹介させていただきます。

幸村さんのお父様は、ある会社の連帯保証人になっていました。
幸村さんは、そのことを知らないまま、お父様が亡くなった後に、普通に「相続」をしてしまいました。

ご存知の方も多いと思いますが、相続は「プラスの財産」だけでなく「マイナスの財産」まで相続されてしまいます。それも、借金のようなわかりやすいマイナス財産だけならいいのですが、「他人の連帯保証人になってしまった」というような、実態が見えにくいマイナス財産まで相続されてしまうのです。(皆さんも気をつけましょうね)

数年後、亡きお父様が連帯保証していた会社が、破産しました。

青天の霹靂。
ある日、幸村さんのところに、銀行から「5億円返せ」と請求が来ました。
聞けば、亡くなったお父さんが連帯保証人になっていた。幸村さんはその相続人だから、連帯保証も相続されるから、あなたに5億円払って欲しい、とのことでした。
幸村さんは、ここで初めて、連帯保証債務の存在に気づいたのです。

もちろん、一個人に5億円も払えるわけがありません。
幸村さんは、弁護士さんに相談して、「相続放棄」の可能性などを探りましたが、いろいろあって放棄はできませんでした。そうなると残された方法は、普通に考えたら「自己破産」しかないでしょう。
しかし幸村さんは自己破産しませんでした。「法律的な経済合理性の高い解決方法でなくてもいい。時間がかかってもいい。自力でやる!」 と。

途中経過は省略します。

数年経った最近では、銀行の債務は何口かに分かれ、あるものは債権回収会社(サービサー)に債権譲渡され、またあるものは信用保証協会に代位弁済されて、それぞれから請求が来続けていました。

信用保証協会には話し合って月ウン千円ずつだけ払っています。

債権回収会社のほうは、直近では、元金と遅延損害金あわせて1億1千万円以上を請求されていました。
もちろん一括では払えません。分割でも一生かかっても払えません。
そこで幸村さんは、「少ない金額で一括で払うことで、残りを債権放棄してもらえれば・・・」と考えていました。

法律的根拠はありません。裁判をやっても100%勝てないでしょう。
権利だの義務だのという次元では、幸村さんは、1億1千万円以上を、債権回収会社に払わなければならない義務があるのです。

でも見方を変えれば、それはあくまで法律上の権利義務云々の話であって、それ以外の見方や考え方、たとえば、オバチャンが商店街で値札に100円と書いてあるネギやダイコンを50円にまけてよというのに近い感覚で、柔軟に、型にはまらず、額面通りにとらえず、値切り交渉をすることだってできます。(但しそれが可能かどうかは状況判断が非常に難しいので、鵜呑みにしないように!)

とにかく、幸村さんはこの戦法でいくことにしました。


そして、その結果が、冒頭の写真です。

残債務114,953,672円が、50,000円の1回払いで和解成立しました。
差額の114,903,672円は、一切、免除されました。
ご丁寧に、「これで完済とする」とまで書かれています。



すごいですねえ。

私も、1億円が50万になったとか40万になったとかそのくらいまではよく聞くので珍しいと思いませんが(相手が債権回収会社の場合、この程度のことはよくあることです)、さすがに5万円というのは記録的です。初めて聞きました。


でも、幸村さんの債務はこれで終わりではありません。まだ何億円も残っています。

幸村さんはサラリーマンです。マイホームも持っていません。貯金もほとんどありません。
ご自身では、借金をしたことがほとんどありません。この5億円の債務も、お父様が他人の連帯保証人になっていて、その連帯保証債務が幸村さんに相続されたという、なんとも不条理なものです。 そんなもののために、自己破産したくなかったという意地のようなものも、少なからずあったのでしょう。


ここではその交渉術のようなものは省略しますが、とにかく、ひとつの事実として、法的整理などに頼らず、柔軟な発想と行動力で、完全な自力で、ここまでこぎつけた方がいるのだということを、このブログに記録しておきたいと思います。






借金なんかで死ぬな!借金なんかで死ぬな!
(2009/06/19)
吉田 猫次郎

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Comments

おどろきました。 
吉田様 ブログ記事拝見しました。凄いですね。おどろきました。相続に絡んだ債権回収になったんですね。債権回収会社も、善意の第三者的な扱い方として、これはもう余計な経費をかけるよりも、手数料で済ましてしまう、という判断だったのですね。借金回収に時間を掛けるかどうかの決め方で決定したんでしょう
プロの割り切り方なんでしょうね。

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プロフィール

吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員

Author:吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員
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【NEKO-KEN】
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。東京都中野区。
経営革新等認定支援機関(認定支援機関)。
末期症状の会社の倒産回避(生き残りのための応急処置)から、原因究明、デューデリジェンス、再生スキーム策定、金融機関向け経営改善計画策定支援、資金繰り改善、PL改善(黒字化)、実行支援、最後の出口へのお手伝いに至るまで、事業再生コンサルタントとしては一通りの経験と実績があります。
ミッションは「ヒト・モノ・カネの再生」。


【吉田猫次郎】
(株)NEKO-KEN代表取締役。
本名よしかわひろふみ。1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。
著書12冊。講演300回以上。テレビ出演15回くらい。
20代のサラリーマン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利、多重、ヤミ金、怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はせず)。その体験記を、2001年に猫次郎と名乗ってホームページに公開したところ、思いがけずヒットしてしまい、2003年に書籍化。以後、事業再生コンサルタントに転身し現在に至る。
最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)から現在までにトライアスロンに8回出場、全て完走。フルマラソンも2回出場、2回完走。
嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。

【相談員】
須田幸雄: CTP認定事業再生士。資金繰り改善、財務体質改善、労務、管理等に強い。

廣田守伸: CTP認定事業再生士。関西地区担当。事業再生コンサルタント歴16年以上の大ベテラン。

金久保 健: 中小企業診断士歴20数年。マーケティング、事業性評価、PL改善に強いが、事業再生コンサルタントとしても10年近い実績がある。

 
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★ このブログは長い間、吉田猫次郎ひとりで書いておりましたが、2017年8月より、3名の相談員と共同作業で投稿していきます。お楽しみに。

 
 
 
 
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