吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員のブログ

中小企業再生や敗者復活に関する投稿が主ですが、ホームページとブログを区別し、ここでは幾分ユルめの内容になっています。

 

ピンチのとき、思考停止になってはいけない!


Category: 連帯保証人問題   Tags: ---
久々に「連帯保証人問題」のカテゴリーで書きます。


連帯保証で悩む人の数は、だいぶ減少したと感じます。(但し私の実感ベース)
これ自体は、大変喜ばしいことです。

私が連帯保証人として最も苦しんでいた2000年頃までは、まだ法律や救済制度が整備されておらず、もう「何でもあり」の状態でした。暴力的な取立てあり。利息は年40.004%まで合法。契約書だけでなく公正証書作成嘱託委任状(公正証書を取られると裁判で争わずに給与差押などができてしまう)や根抵当権設定承諾書(自宅に根抵当権仮登記を設定されてしまう)まで取られるのも当たり前。ひとつの契約に連帯保証人が4人も5人もつくことも珍しくありませんでした。

救済制度も少なく、個人再生手続きはまだ誕生していなかったし、特定調停もできたばかりでほとんど知られていなかったし、任意整理も受任してくれる弁護士さんも多くはありませんでした。銀行のリスケジュール交渉も情報が少なく、試行錯誤の繰り返しでした。

このため、主債務者はソフトランディングが難しく(「正常に返す」か「破産」かの二者択一しか選べないのが普通でした)、ちょっと経営不振に陥ると即自己破産になりやすかったし、また主債務者が自己破産すると、連帯保証人も一緒に自己破産せざるを得ないという過酷な環境でした。
(それでも私は第三の選択を必死になって模索したのですが・・・)


しかしその後、徐々にですが、債務者保護のための法整備などが進んでいきました。

2000年には「特定調停法」が施行され、高金利を低金利またはゼロ金利の長期分割払いに仕切り直して和解させてもらうことが容易にできるうようになりました。また同じ2000年には出資法の「上限金利」が40.004%から29.2%に引き下げられ、いくぶんマシになりました。

2001年には民事再生法の個人版である「個人再生手続き」という制度ができ、住宅ローンつきのマイホームを守りながらそれ以外の債務(連帯保証人として背負ってしまった債務も含む)を大幅に減額することが可能となりました。

2003年には「認定司法書士」が誕生し、従来なら弁護士しかできなかった裁判事務および代理交渉(任意整理など)が、簡易裁判所で扱う規模(だいたい140万円)までの事件に限り、認定司法書士でも取り扱えるようになり、これにより、相談先が飛躍的に増加しました。

2005年には「破産法」が改正され、破産しても残せる財産(自由財産)が少し増えたり、手続きが幾分簡略化されたりして、破産がいわゆる懲罰制度ではなく救済制度であるとの色合いがより強くなりました。また個人再生手続きの上限金額も上がり、利用できる幅が広くなりました。

2006年には「法テラス」が誕生。法律家が町にほとんどいない過疎化地域にも、徐々に法律家が増えていったほか、無料相談なども急増し、相談が格段にしやすくなりました。また同年、「信用保証協会」が第三者の連帯保証人を取らない方針に切り替えました(自主的に)。

2007年からは「改正貸金業法」が国会で討論されはじめ、2010年までかけて段階的に施行されました。これにより、グレーゾーン金利は完全に撤廃され、過剰貸付などもなくなりました。取立て規制などもより厳格化され、怒鳴ったり大勢で押しかけたり第三者へ請求したりする業者は今まで以上に厳しいペナルティを受けるようになりました。

2008年は法改正とは関係ありませんが、高利商工ローンの最大手がバタバタと倒産しました。

2009年には「中小企業金融円滑化法」(通称モラトリアム法)が施行。金融機関からの借入金返済に苦しむ中小零細企業が「リスケジュール」で一息つきやすくなり、会社が突然死することも随分減ってきました。(ちなみに最近の中小企業の倒産は、「突然死」よりも「衰弱死」のようなパターンが多いです・・・)

2011年には、金融庁が「第三者の連帯保証人」を原則として取らないよう、各金融機関に通達を出しました。これは法律ではありませんが、一定の効き目はあったと思います。


以上、自分の記憶を頼りにダーッと書いてみましたが(もしかしたら少し間違いがあるかもしれませんが、大筋では合っているはず)、このように、債権者と債務者の関係はここ10年で急激にフェアになり、債務者の救済方法も「100か0か?(約定返済か破産か?」のような二者択一でなく、いろいろ選択肢が考えられるようになり、現在に至っています。



・・・とはいえ、現在でも連帯保証人として苦しんでいる人は少なくありません。
一昔前の異常な時期よりは減ったというだけです。

2010年以前に銀行の連帯保証人になってしまった経営と関係のない第三者は、今もその連帯保証をなかなか外してもらえません。
2006年以前に信用保証協会の連帯保証人になってしまった人も同様です。滅多なことでは外してもらえません。
その数、おそらく全国で数万人~数十万人に達するでしょう。(数千人ということは絶対にありえません)


連帯保証人として苦しんでいる皆さん。
大変でしょうけど、決して自暴自棄にならないで下さい。
あなたには、まだまだ解決策があります。

それも、ひとつやふたつではありません。
柔軟に考えることさえできれば、最低でも2つ3つの選択肢があるはずです。

具体的な解決方法は省略しますが(今までにも本やホームページやブログ等でさんざん書いてきましたのでそちらをご参照下さい)、ここでは、自分に合った解決方法を見つけるためのコツというか、予備知識というか、心構えのようなものだけ少し書いてみましょう。以下。


1.「法律」だけが全ての解決方法とは限らない。法律的解決方法とはすなわち弁護士さんに依頼して自己破産、個人再生、訴訟(例:連帯保証債務無効の訴え)を申し立てることなどを意味するが、そういう法律的な手続きだけでなく、自分の言葉で、ちょうどオバチャンが商店街でダイコンやネギを値切るように「お金がないからまけて!」と値切るような柔軟な交渉もある。また、その柔軟な交渉の中身も、「月1万円ずつの長期分割払い」のような返済長期化交渉や、「1000万円の残元金を200万円に免除してもらう」といった債務免除的な交渉、はたまた「元金は1000万円払うけど、利息や遅延損害金は免除。また支払方法は10年間の分割払い」といったような複合的なものまで、いろいろなパターンが考えられるし、実際にうまくいった例も多い。

2.「額面どおり」にとらえないこと。請求書や督促状が来たぐらいでうろたえるな。請求書や督促状だけなら強制執行をするほどの法的強制力はないし、話し合いの余地も十分ある。それに、債権者の言い分にどこか間違いがあることもありうる(例:グレーゾーン金利とか、保証の範囲が不透明とか)。また、利息や遅延損害金などは実質的に免除してくれる場面も多い。こんなものは知恵と行動力でどうにでもなるのだ。「このままでは天文学的な数字に膨れ上がってしまう・・・」と考えるのは生真面目すぎ。額面通りにとらえずぎ。

3.「合理的な解決方法」が「最良な選択」であるとは限らない。たとえば、あなたが連帯保証人として信用保証協会から1億円請求されていたとする。信用保証協会は法律的には争いの余地がないことがほとんどだから、いくら裁判で争っても無駄。また1億円もあると個人再生手続きは使うことができない。となると、最も経済合理性の高い法律的な解決方法は「自己破産」になるだろう。だが逆にいえば、経済合理性の高さにこだわらず、連帯保証債務がゼロになることにこだわらなければ、自分で保証協会と交渉して毎月1万円ずつのんびり払うという選択肢もある。借金や連帯保証債務は、無くすのが全てではない。上手に共存するという選択をしたっていいはず。解決までの道筋だって、最短距離の直線道路が全てではない。曲りくねった脇道を選んでもいいはず。


4.自分を「特別視」してはいけない。同じような悩みを抱えている人は、他にもゴロゴロいる。いちどうちの勉強会や、連帯保証人制度改革フォーラムの定例会に来てみてほしい。参加者のおよそ7割以上が、億単位の借金や倒産危機に瀕しており、他所のどの専門家に相談に行っても「自己破産しかありませんねえ~」とアドバイスされた重症患者ばかりだ。それでもあえて、自分の意思で自己破産を選択せず、それ以外の生き残り方法を懸命に考えている。そしてそれなりの成果を出している。これがもし、「こんなに悲惨なのは自分だけだ」自分を特別視して塞ぎ込んでいたら、道は開けなかっただろう。自分以外にも同じような境遇の人がいると知っただけでも、だいぶリラックスできるはず。そして「三人揃えば文殊の知恵」というように、同じ境遇の人が寄り集まると、思わぬ知恵が生まれる。知識だけでなく、知恵が。


5.ピンチのとき、「思考停止」になってはいけない。高額の督促状がきても、遅延損害金がどんどん膨れ上がっていっても、裁判を起こされても、自宅が差し押さえられても、それぞれ個別に打てる手はある。慣れればどうってことのないことばかりである。「差押」とか「法的手続」という言葉には独特の恐ろしさがあるけど、必ず打開策はあるから、とにかくそこで思考停止にならないように!


以上、少しでもヒントになれば幸いです。

あとはあなた次第です。
あなたが主役なのです。




スポンサーサイト


Comments

 
先生の書かれた連帯保証人は傑作だと思います。借金で悩んでない人にこの本が広がればと願ってます。
 
 
ありがとうございます。
 
怖い思考停止・・ 
当方・・世間の企業さんの借金額にくらべたら、恥ずかしいくらい
雀の涙ほどの額ですが、これがなかなか返済できず
2度の任意整理をしてなんとか粘っています。

金額が大きくても、小さくても・・お金に切羽詰って
思考停止になるのは誰しも一緒だと思うこの頃・・
今月もまた切羽詰って思考停止状態です。
稼がなくてはいけないのに稼ぐ行動がとれなくなり
もんもんとするばかり・・時間だけが流れて行きます。
自営業ゆえまったくもってこの思考停止は怖いです。

そんな中、久しぶりにお邪魔してこの記事を
読ませていただきました。
なんとか思考停止を解除してまた稼がねば・・
私だけが特別じゃないし・・ってね・・

あと、この前の記事・・参考になりました!

またお邪魔いたします。
 
ありがとうございます 
震災から1年半が過ぎ、夫がちょっとしたピンチを迎えておりますが、乗り切ります!こんな時、猫さんに相談した日のことを夫婦で思い出し、勇気づけられるのです。もう、あの時のような悲壮感はありません。昨日は美味しいものを食べました(笑)後日、ご報告したいと思っておりますm(_ _)m
 
もう無理そうです 
以前、失礼を承知で我が家の置かれた状況をコメントしてしまった者です。主人は生きてくれています。脳の障害に苦しみながらも家族のために生きてくれているのに 私は完全に思考停止でここ数ヶ月を過ごしています。打つ手がありません。行きるのが辛いです。
 
 
猫の目くるくる様、シロップ様、嬉しいコメントありがとうございます。
YK様、申し訳ありません、私はブログのコメント欄を普段ほとんどチェックしておらず、せっかくコメントを入れて下さっても回答できない場合が多々あります。もし私に何かお役に立てそうなことがあれば、毎月第2水曜日の無料相談会をご利用下さい。この日だけは中小企業の経営者の資金繰り相談だけでなく、他のいろいろなご相談にもほぼ無制限でお受けすることができます。
 
有難うございます 
眠れずにまた朝を迎えるのか…と思いながら
たった今猫次郎様のコメントを読みました。何度も何度も読み返して涙が止まりませんでした。
勇気を出して電話相談をさせて頂こうと思います。本当に有難うございます。
 
思考停止にならないように 
自営業で食品の製造販売をしている者です。
開業して4年。少しずつですが売上が伸びているのですが、現金商売ゆえ毎日資金繰りに苦労しています。
パートさんのお給料と仕入の支払い光熱費、家賃を優先させる為、税金は滞納です。
支払日が近くなると本当に思考停止状態になってきます。
でも、このブログを読んで行動を起こさないといけないと思いました。
税金を滞納している以上銀行融資は無理だろうと窓口にいけませんでした。
断られるのが怖いのです。
そこで商工会にパンフレットがあったのを思いだし、相談してみました。
無料で企業診断士さんを紹介して頂き、銀行融資のための戦略を考えます。
診断士さんは、元信金の融資担当、支店長経験がある方です。
ダメかもしれませんが、とにかく行動しようとしています。

家賃も滞納していますが、大家さんと交渉して毎日封筒に入れて1万円づつ納める事で同意していただけました。

もしかしたら行き詰るかもしれない恐怖と闘いながら。

時々このブログに勇気をもらいにまたきます。
ありがとうございました。
 
 
税金滞納はなんとしても解消しなければいけませんが、それさえクリアできれば、そのような事情なら、銀行(保証協会付き)で融資がおりそうですね。私はその手のお手伝いも何件かやったことがあります。家賃などの延滞歴があっても融資してくれた例は沢山あります。このブログのコメント欄では(あまりチェックしていないので)これ以上のアドバイスはできませんが、ぜひ無料相談会や商工会などを活用して、行動してみて下さい。その行動も、1度や2度断られたくらいでメゲて諦めてはいけません。(女性を口説くのと同じです!)
 

Leave a Comment



09 2017
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

08

10


 
プロフィール

吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員

Author:吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員
----------------------

【NEKO-KEN】
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。東京都中野区。
経営革新等認定支援機関(認定支援機関)。
末期症状の会社の倒産回避(生き残りのための応急処置)から、原因究明、デューデリジェンス、再生スキーム策定、金融機関向け経営改善計画策定支援、資金繰り改善、PL改善(黒字化)、実行支援、最後の出口へのお手伝いに至るまで、事業再生コンサルタントとしては一通りの経験と実績があります。
ミッションは「ヒト・モノ・カネの再生」。


【吉田猫次郎】
(株)NEKO-KEN代表取締役。
本名よしかわひろふみ。1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。
著書12冊。講演300回以上。テレビ出演15回くらい。
20代のサラリーマン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利、多重、ヤミ金、怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はせず)。その体験記を、2001年に猫次郎と名乗ってホームページに公開したところ、思いがけずヒットしてしまい、2003年に書籍化。以後、事業再生コンサルタントに転身し現在に至る。
最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)から現在までにトライアスロンに8回出場、全て完走。フルマラソンも2回出場、2回完走。
嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。

【相談員】
須田幸雄: CTP認定事業再生士。資金繰り改善、財務体質改善、労務、管理等に強い。

廣田守伸: CTP認定事業再生士。関西地区担当。事業再生コンサルタント歴16年以上の大ベテラン。

金久保 健: 中小企業診断士歴20数年。マーケティング、事業性評価、PL改善に強いが、事業再生コンサルタントとしても10年近い実績がある。

 
★ 「相談」をご希望の方は、ホームページのほうに申込方法等を記載していますのでご覧下さい。有料と無料があります。 → 吉田猫次郎ホームページ

★ 取材、講演、執筆依頼は、直接メールまたは電話またはFAX下さい。 ooneko@nekojiro.net TEL(03)5342-9488 FAX (03)3229-8329

★ このブログは長い間、吉田猫次郎ひとりで書いておりましたが、2017年8月より、3名の相談員と共同作業で投稿していきます。お楽しみに。

 
 
 
 
吉田猫次郎メルマガ有料版
 
 
吉田猫次郎 著
震災後に倒産しない法
 
吉田猫次郎 著
「連帯保証人」ハンコ押したらすごかった。でもあきらめるのはまだ早い!
 
吉田猫次郎 著
借金なんかで死ぬな!
 
吉田猫次郎 著
働けません。
 
猫研バナー
リンクフリーです。
猫研
 
 
ブログ内検索
 


Archive   RSS   Login