吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員のブログ

中小企業再生や敗者復活に関する投稿が主ですが、ホームページとブログを区別し、ここでは幾分ユルめの内容になっています。

 

海外の取引先の信用調査


Category: 企業再生・事業再生関連   Tags: ---
海外取引をしている会社からの相談も時々あります。
れっきとした輸出入貿易会社もあれば、製造業や小売業で商社を通さず直接輸出入している会社もあります。


さて、今回のテーマは「信用調査」です。

日本国内の取引でさえも、取引先が倒産して売掛金を回収できなくなることが多いのに、
海外取引で万一そうなったら、それこそ一大事です。
海を隔てているので容易に回収できません。
国が違えば法律も違ってきます。
とにかくいろいろ大変です。
未然に防げるなら、それに越したことはありません。

また、海外との決済方法はL/C(信用状)が多いと思われていますが(貿易実務入門書を読むとそういう錯覚に陥る)、実際にはそうでもありません。特に中小企業においては・・・。

L/C決済だとすごく安心ですが、実際にはL/Cも開設手数料が高かったり、開設できるほど信用がなかったり、長年の信頼関係や習慣やコスト意識などが相まって、D/P(手形支払書類渡し)T/T remittance(普通の海外向け銀行送金)で済ませてしまっている中小企業のほうが多いのです。それも、船積み前の前金(in advance)によるT/Tなら安心なのですが、取引年数が長くなると、船積後何ヶ月か経ってからT/T送金ということも少なくありません。これでは何の担保もありません。

では、L/Cなら回収確実かというと、そうとも言い切れません。レアなケースですが、L/Cを開いてもらっても相手方銀行が支払いを拒否することがあります。(ここ参照 ←ネット検索で発見)

「売り」だけでなく、「買い」のほうも安心できません。

たとえば私が現在相談に乗っているある日本企業(製造業)は、海外の提携工場で安くモノ作りをして輸入していましたが、その工場がある日、倒産しました。そして、そこに預けていた原材料も何もかも凍結され、商品の出荷ももちろん停止され、日本国内の得意先に指定期日までに納品すべき商品が納品できなくなり、得意先から多額のペナルティを課せられました。それが原因で、多額の損失が発生し、信用を失い、売上までもが大幅にダウンしてしまいました。生産拠点もゼロから開拓しなければならなくなりました。(日本国内での生産では全く採算が取れない商材なので海外生産は必須でした・・・)

そうなってから慌てて代わりの工場を見つけるのは至難の技です。というか、海外でのモノ作りの仕込みには大変な時間がかかります。
価値観も何もかも違いますから、メールやFAXや数回程度の現地指導で「こういういの作ってよ!」と頼んだだけではまず上手くいきません。何ヶ月、へたすると何年も現地指導しなければ日本の基準を満たすモノ作りはできないことが多いし、生産に必要な機材や金型や原材料や副資材などを日本から送り込まなければなりません。
そこまでやっても、要求どおりのクオリティで作ってくれないことも珍しくありません。

以上のようなことから、海外取引においては、「リスクを分散してくこと」「リスクをあらかじめ承知しておくこと」に加え、「あらかじめリスクの有無を調べておくこと」も欠かせなくなります。

ところが、中小企業の社長さんの多くが、それをしていません。
売りも。買いも。

国内企業相手なら「帝国データバンク」や「東京商工リサーチ」のような信用調査会社が身近にあり、比較的簡単に調査できることはよく知られていますが、海外企業はそれができないと思っている、いや、できることさえ知らない社長さんが実に多いのです。

試しに、私が最近相談を受けた貿易会社の社長さん(全部で7-8名)に、「D&Bレポート」「ダンレポート」って知っていますか?と尋ねたところ、知っているのは2名だけでした。

これを機に、海外与信についても是非知ってほしいと思います。

大手商社のサラリーマンなどは、新入社員のときから、この手の教育を受けます。
「回収して、はじめて商売だぞ!」
「<売り> は代金を回収できるかどうかを、<買い> は安定供給できるかどうかをよく調べろ!」
「与信が青天井(無制限)なんて考えられない!相手が上場企業でも、信用限度額はちゃんと定める!」
などなど。

で、せっかく新規の取引先を開拓して舞い上がっても、審査部から
「帝国データの点数は何点だった?ん?低い?そんな会社ダメだ!」とか、
「ダンレポートは取ったか?」
などと釘を刺されることもしばしばです。


海外の会社を調べるのに、最もメジャーかつ幅広く利用されているのが、「D&Bレポート」「ダンレポート」です。
これは米国の Dun & Bradstreet, Inc.という会社によるレポートですが、日本では東京商工リサーチが、このD&B社と提携して窓口になっています。

参考:

◆ 東京商工リサーチ D&Bレポートのページ
 http://www.tsr-net.co.jp/service/research/overseas/dnb_report/

◆ ジェトロ「輸出を始める際に取引相手先の内容や財務状況を把握する方法」
 http://www.jetro.go.jp/world/japan/qa/export_13/04A-A10828


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プロフィール

吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員

Author:吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員
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【NEKO-KEN】
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。東京都中野区。
経営革新等認定支援機関(認定支援機関)。
末期症状の会社の倒産回避(生き残りのための応急処置)から、原因究明、デューデリジェンス、再生スキーム策定、金融機関向け経営改善計画策定支援、資金繰り改善、PL改善(黒字化)、実行支援、最後の出口へのお手伝いに至るまで、事業再生コンサルタントとしては一通りの経験と実績があります。
ミッションは「ヒト・モノ・カネの再生」。


【吉田猫次郎】
(株)NEKO-KEN代表取締役。
本名よしかわひろふみ。1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。
著書12冊。講演300回以上。テレビ出演15回くらい。
20代のサラリーマン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利、多重、ヤミ金、怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はせず)。その体験記を、2001年に猫次郎と名乗ってホームページに公開したところ、思いがけずヒットしてしまい、2003年に書籍化。以後、事業再生コンサルタントに転身し現在に至る。
最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)から現在までにトライアスロンに8回出場、全て完走。フルマラソンも2回出場、2回完走。
嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。

【相談員】
須田幸雄: CTP認定事業再生士。資金繰り改善、財務体質改善、労務、管理等に強い。

廣田守伸: CTP認定事業再生士。関西地区担当。事業再生コンサルタント歴16年以上の大ベテラン。

金久保 健: 中小企業診断士歴20数年。マーケティング、事業性評価、PL改善に強いが、事業再生コンサルタントとしても10年近い実績がある。

 
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★ 取材、講演、執筆依頼は、直接メールまたは電話またはFAX下さい。 ooneko@nekojiro.net TEL(03)5342-9488 FAX (03)3229-8329

★ このブログは長い間、吉田猫次郎ひとりで書いておりましたが、2017年8月より、3名の相談員と共同作業で投稿していきます。お楽しみに。

 
 
 
 
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