吉田猫次郎ブログ

事業再生、倒産回避、資金繰り改善、連帯保証人問題、借金自殺防止 ・・・などが専門ですが、ここはブログなので、もっと気楽にいろいろ書きます。

 

「約束手形」は、体力のない会社にとっては麻薬、あるいは劇薬。


Category: 企業再生・事業再生関連   Tags: ---
先週、ツイッターでこんなことを立て続けにつぶやきました。


>> 約束手形は撲滅したほうがいい。あれこそまさに、日本の常識は世界の非常識。ジャンプ、裏書き、手形保証、手形訴訟、台風手形、出産手形、融通手形、不渡り…これらに泣かされ、振り回され、死んでいった人がどれだけいることか。

>> 大企業にとって手形は便利かもしれない。だが中小零細企業にとっては麻薬のような作用をもたらす。資金が枯渇すると割引や裏書譲渡を始め、さらに悪化するとジャンプや融通手形、そして最後には不渡り。内包リスク無限大。制御不能。ソフトランディング困難。

>> ちなみに手形の裏書人は、連帯保証人と同様の責任を負う。ふつうの保証人と違い、催告の抗弁権も検索の抗弁権も分別の利益も認められない。さらには手形訴訟は迅速にできてしまうので、振出人が不渡りを出したら裏書人はすぐ訴えられる。手形がアブナイ奴に回ったらもう地獄。(経験者は語る)

>> などなど、手形は債権者にとっては飛び道具のように便利な面もあるが、債務者とりわけ素人の中小企業には内包リスク無限大なので、扱わないほうがいい。撲滅したほうがいいとさえ思う。印紙代も高いし。

>> 以上、やんわりと書いたけど、最後にあえてキツい書き方をすれば、「数字にも法律にも駆け引きにも弱い中小零細企業のオヤジは、危なっかしいのでむやみに手形を扱うべからず!」と言い換えることもできる。受取手形も支払手形も。


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以下、補足です。マニアックな用語説明。
(教科書的な定義はネット検索すればいくらでも出てくるので、ここでは私の独断と偏見による解説をします。)


・融通手形:
 倒産寸前の中小企業のオヤジが、もはやどこからも借りられないために、同じ境遇の取引先のオヤジに話をもちかけ、同じ金額の手形を切って取り替えっこする行為。たとえば(株)ネコネコ商事が1000万円の手形を切り、取引先である(有)ワンワン実業に渡す。ワンワン実業はこれと引き換えに、自社で切った1000万円の手形をネコネコ商事に渡す。決済期日はどちらも同じ。お互い、手にした手形は、手形割引業者で現金化する。割引料を差し引かれた900ウン万円のキャッシュが即時手に入る。但し融通手形は多くの場合、見破られやすい。(金額が異様にキリの良い金額だったり、不釣合いな高額だったり、期日がありえないほど長期だったり、どこか異様なので) それに、どちらかが不渡りを出したら、共倒れになる可能性が極めて高い。末期症状においてよく行われる行為である。

・台風手形:
 サイトが210日と異様に長い手形のことを、昔はこう呼んだ。(ちなみに210日は正月から数えて9月1日頃にあたるため、台風の襲来日にちなんでこう呼ばれるようになったとか) 大手ゼネコンなどと取引していると、このくらいのサイトの手形は決して珍しくない。受け取った中小企業の多くは金庫にしまっておく資金的余裕がないため、途中で割引に出して現金化することが多い。

・出産手形:
 ど忘れしたが、確かサイトが10ヶ月(300日)くらいの手形。ここまでくるとほとんどイジメである。昔は建設業や製造業で時々見かけた。

・裏書き: 
 手形の裏にサインすること。万一その手形が不渡りになったら、裏書人のところに請求がいく。連帯保証人のようなものと思っていい。ただの保証人ではなく、「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」のどれも認められない、まさしく連帯保証人と同等の重い責任を負う。

・手形保証:
 裏書きとよく似ているが、裏ではなく、オモテに「保証します」と書く。そんな恐ろしいものにサインする人が本当にいるのかと思われるかもしれないが、たまにいる。

・手形訴訟:
 普通の訴訟より手っ取り早くできる。昔、商工ファンドは、この手形訴訟の利便性を巧みに利用して、債務者および連帯保証人から迅速にガッチリ回収した。まさに「飛び道具」のように使いこなしていた。債務者側にとっては、不渡りを出して裏書人が手形訴訟されるともう大変。事態は一刻を争う。

・ジャンプ:
 手形の約束の期日までに資金が用意できないときに、債権者(受取人)に泣きついて、期日を延長させてもらう行為。たとえば、12月末期日の1000万円の手形が落とせそうにない場合、その1000万円の手形を、12/末400万円、1/末300万円、2/末300万円+利息分とか、そんなふうに延長させてもらったりする。もちろん信用は低下する。

・不渡り
 1回目の不渡りは「片目」、2回目の不渡りは「両目」などとも呼ぶ。6ヶ月以内に2回不渡りを出すと銀行取引停止処分になる。が、これは別の見方をすれば、「銀行取引停止処分にしかならない」とも言える。もちろんそれに付随して取立てがきたり、信用を失ったりするので重い事態であることは間違いないが、少なくとも法律上の倒産手続きとイコールではない。2回不渡りを出しても自動的に裁判所で破産開始決定がなされるわけでもないし、法務局で自動的に会社が解散登記されてしまうわけでもない。あと、銀行取引停止処分といってもそれは当座預金や融資の話であって、普通預金口座は開設できるから、降り込みや預金などはできる。不渡りを2回出しても事業継続している人は結構いる。私も沢山みてきた。その際に必要なのは、気合いや根性などよりも、「ユルさ」だったりする。

・不渡り回避法:
 ヒントになりそうな単語をずらりと並べると・・・、ジャンプ、依頼返却、供託、3時過ぎの入金、翌朝一番の入金、仮処分、調停前の事前措置、0号、1号、2号、お百度参り、などなどなど。



手形は恐ろしいですね。




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プロフィール

吉田猫次郎

Author:吉田猫次郎
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。認定事業再生士(CTP)。経営革新等認定支援機関(株)NEKO-KEN代表取締役。
本名はホームページや書籍に記載。
著書多数。講演・メディア出演多数。
1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。

20代の商社マン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利の連帯保証人、ヤミ金の怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はしなかった)。

趣味は釣り、アウトドア全般、ほか。

最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)でトライアスロンのオリンピックディスタンスに初挑戦&完走。2014年(45歳)でフルマラソン初挑戦&完走。2015年(46歳)にはトライアスロンのアイアンマン70.3に初挑戦&完走。2016年も完走。徐々にメタボ解消。だがすぐにリバウンド。

嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。

 
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