吉田猫次郎ブログ

事業再生、倒産回避、資金繰り改善、連帯保証人問題、借金自殺防止 ・・・などが専門ですが、ここはブログなので、もっと気楽にいろいろ書きます。

 

震災関連の資金繰り相談


Category: 企業再生・事業再生関連   Tags: ---
以下、地名や業種は伏せますが、こんな相談がありました。


【相談1】
 借入金が返済できなくて銀行に競売をかけられている最中だった自社ビルが、地震で半壊しました。直すと1000万円以上かかるそうです。政府系の補助金等がないかどうか役所に問い合わせてみましたが「ない」との冷たい返事・・・。いろいろなことがたてつづけに起こり、冷静な判断ができなくなっています。どうしたらいいでしょうか?

(私の答え)
 自分で判断せずに、債権者(担保を競売にかけている銀行)にゲタを預けて、あなたは特に何もしないでいいんじゃないでしょうか。修築もしないで。
 いいですか?ここで無理して1000万円払って修築しても、そのお金はあなたの負担(=新たな借金)になってしまうでしょうし、そこまでやっても今の状態だと、いつかは競売で他人に持っていかれてしまうんですよ。死に金になっちゃうじゃないですか。
 それよりもあなたが優先すべきは、そのビルを出て行った後の事業再建や、そのための運転資金(手元に資金を残しておくこと)や、目の前の生活費じゃないですか?
 ただ、債権者にはその旨ハッキリ告げたほうがいいでしょう。「自分には修築費を捻出する余裕もなく、どうすることもできません。ビルの処分は一切お任せします」と。それだけで今はいいと思います。


【相談2】
 家賃収入で生計を立てている者です。震災により町全体が崩壊状態なうえ、放射能汚染の噂も流れていますので、これから賃料収入が激減することが考えられます。いま賃貸で貸しているマンション(1棟)は10年前にローンで買ったものです。もうローンは返せなくなるでしょう。終わりでしょうか?

(私の答え)
 そんなことはありません。確かに事態が事態なのであなたの地域に家賃を払って住もうと考える人は減るかもしれないし、家賃相場もガタ落ちになるかもしれない。それは覚悟しなければならない。
 でもね、それはあなただけではない。みんな同じです。ヘタすりゃ日本中の不動産賃貸業者が多かれ少なかれ同じ目にあうかもしれない。だから自分を特別視しちゃいけない。
 被災者がこれだけ多ければ、政府もこれから何らかの支援策を打ち出す可能性が高いから、その手の情報収集も怠らないこと。また不動産賃貸業だけにしがみつかないで、この激動の時代に合わせて自分も激動すること。変化に対応すること。あるいは変化に対応できなければ開きなおってデーンと居座ってもいい。選択肢はいろいろあります。大ピンチは大チャンスといいます。復興に向けてのプラス作用も必ず動きますから、それに敏感に反応して、一緒に考えていきましょう。
 今すぐ結論を出すのは早計です。銀行への返済なんか(この事態ですから)ちょっとやそっと遅れても気にしないことです。銀行にも返済が難しいときは難しいと告げましょう。地震のせいで家賃収入が下がったのに、その差損を全てあなた個人が背負うなんて考えちゃいけません。開き直りの精神で。


【相談3】
 銀行への借入金返済が25日に迫っています。やはりキチンと返すしかないのでしょうか?私は小売業なのですがこの地震で売上がゼロに近くなり、返済どころか生活費もままならなくなりつつあります。銀行には自宅を担保提供しています。その自宅も地震でボロボロに近い状態です。埋立地に家があり、土地が液状化で大変なことになっています。

(私の答え)
 金融機関にそのまま伝えてみて下さい。「この地震で売上がゼロに近くなり、返済どころか生活費もままならなくなりつつあります」と。多分それだけで道は開けます。
 基本は「1.生活費優先」「2.次に店の運転資金優先」「3.その次に借入金返済」、です。この順位を誤らないことです。これを3の返済を優先してしまって1と2がおろそかになってしまうと、建て直せるものも建て直せなくなります。
 何より重要なのが、「手元にキャッシュを残すこと」です。手元にキャッシュを残しておく習慣をつけないと、今回の震災のような不測の事態に対応できませんから、キャッシュを残すためにも、ここは返済を止めなければ自己防衛はできないと思います。


【相談4】
 お話しはよく理解できました。でも、私は返済を止めたことがないのでちょっと怖いのです。もし止めたらブラックリストになり、担保の自宅が競売にかけられないか不安です・・・。

(私の答え)
 絡んだ糸を解きほぐすように考えてみましょう。あなたの地震でボロボロになった家(しかも土地は液状化)は、競売で高く売れると思いますか?銀行が担保価値を見出してくれると思いますか?この非常事態に、情け容赦なく、返済を遅れたからって事故情報を載せたり競売を申し立ててくると思いますか?私はそうは思いません。
 もちろん理論的には競売になるでしょう。返済を遅れたら理由を問わず期限の利益を喪失し、一括請求され、一括で払えなければ担保処分となるという解釈に。
 でも現場はもっと柔軟に運用されています。何ヶ月遅れても競売にならないこともあるし、それどころか返済猶予を特別に長引かせてくれることだって多々あります。まずは恐れず、銀行にありのままの窮状を伝えることです。そのうえで、勇気を出してストップするのです。自己防衛のために。
 今あなたが考えるべきことは、ブラックとか競売とかそんなことじゃありません。そんなことは小さな問題です。もっと大事なのは、商売の建て直しです。商売は柔軟に考えれば、その土地、その建物、その商品にしがみつかなくても、いろいろなことができます。戦後の復興期をイメージしてみてください。ボロボロになっても這い上がれます。いや、誤解を恐れずにいえば、ボロボロになってしまったほうが、そこから這い上がるエネルギーは大きくなるものなのです。とらわれてはいけません。


 その他、ここ数日で震災関連の相談が結構ありました。

 政府も次々と中小企業向け&個人向け救済策を打ち出していますので、後日時間をみつけて、メルマガやブログ等でアップしたいと思います。

 ハッキリ言えることは、このような事態に陥ると、金融機関対策はさほど重要ではないということです。そんなものは比較的簡単な部類に入ります。それよりも、これから日本中のあらゆる業種が激変を強いられますから、「商売」「メシの種」について、今まで以上に柔軟に、創意工夫して、変化に対応して、考えなければなりません。

 精神が不安なときは不安なままでいい。無理して気丈にふるまうことはありません。だけど、一呼吸おいて少し落ち着いたら、前を向いて下さい。どんな過酷な環境に変わっても、そこでやれることは沢山あります。


 猫
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Comments

 
なんといいますか、いつもながら、弱者へのやさしさに満ち溢れた文脈ですね。恐れ入ります。
 
有難うございます。 
売上激減で心が折れそうな中にいつも猫次郎さんのブログで元気が出ます。時にはウッチャリの精神も大切ですね。日々資金繰りに追われていると、つい視野が狭くなって食事も喉を通らなくなってしまいまう事も度々あります。そんな時今回の記事にも勇気を頂きました。
 

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プロフィール

吉田猫次郎

Author:吉田猫次郎
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。認定事業再生士(CTP)。経営革新等認定支援機関(株)NEKO-KEN代表取締役。
本名はホームページや書籍に記載。
著書多数。講演・メディア出演多数。
1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。

20代の商社マン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利の連帯保証人、ヤミ金の怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はしなかった)。

趣味は釣り、アウトドア全般、ほか。

最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)でトライアスロンのオリンピックディスタンスに初挑戦&完走。2014年(45歳)でフルマラソン初挑戦&完走。2015年(46歳)にはトライアスロンのアイアンマン70.3に初挑戦&完走。2016年も完走。徐々にメタボ解消。だがすぐにリバウンド。

嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。

 
★ 「相談」をご希望の方は、当ブログではなく、ホームページのほうに申込方法等を記載していますのでご覧下さい。有料と無料があります。 → 吉田猫次郎ホームページ

★ 取材、講演、執筆依頼は、直接メールまたは電話またはFAX下さい。 ooneko@nekojiro.net TEL(03)5342-9488 FAX (03)3229-8329

 
 
 
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