吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員のブログ

中小企業再生や敗者復活に関する投稿が主ですが、ホームページとブログを区別し、ここでは幾分ユルめの内容になっています。

 

事業再生士という資格について(その2)


Category: 企業再生・事業再生関連   Tags: ---
1年半ぶりになりますが、事業再生士(CTP)という資格の試験について書きます。
2009年8月に書いた記事の続きです。

あれから沢山の事業再生士の方と知り合いました。専用の名刺入れには、ATP、CTP、あわせて50人以上の名刺が入っています。Facebookのお友達(現在62名)の中にも、10人ほどいます。

今回久しぶりにこの資格について書いてみようと思ったのは、最近、この「試験」についてよく相談を受けるようになったからです。(2011年度の試験は6月にあり、そろそろ準備にとりかかる人も多いようですが、相変わらず情報が少ないようなので・・・)

この1年、知り合ったCTP仲間たちから、どうやって試験を受けたのかという話もいろいろ耳にしましたので、ある程度傾向が見えてきました。そこで、さしつかえのなさそうな範囲で、ここで書いてみようと思ったわけです。

でははじまりはじまり。


◆CTPとATPの(試験の)違い: 
 ざっくり言ってしまえば、ATP(事業再生士補)は「知識を問う」試験です。選択式の問題です。TACやTTMなどの予備校で講座も開いています。比較的とっつきやすいでしょう。
 いっぽうCTP(認定事業再生士)は、「その知識をどう応用し、実践に役立てることができるか」を問う試験です。学科試験と面接審査があり、学科のほうは全科目とも論述式です。予備校の講座は今のところ皆無のようです。つかみどころがないと感じる方も多いでしょう。(ちなみに私は暗記やマークシートや予備校の受身の授業が苦手で、独学で読書のようなノリで勉強して思いのままを文章に書くほうが好きなので、ATPは一切受けず、無謀にもいきなりCTPから入りました。実務経験も長かったですし)

◆人数:
 この資格がアメリカから上陸して、今年で5年になります。現在、ATPのほうは1000人近くいるようです。CTPはまだまだ非常に少なく、150名ほどです。

◆試験官・採点基準:
 運営側と採点側が明確に分離されており、コネやカネは通用しません。試験に受からなければいくら講習を受けてもダメです。税理士試験や司法試験の採点委員、大学院教授などがじっくり時間をかけて採点にあたっているようです。

◆どんな人が取っているのか?
 後で一番ビックリしたのがこれです。現職でいうと公認会計士や税理士や有名コンサルティングファームの人が多く、弁護士さんやメガバンクや大手商社のM&A担当者も結構います。言ってみればエリートさんです。Facebookのプロフィールを見ると圧倒されます。北大→メガバンク海外支店とか、東大→弁護士とか、MBA→外資コンサルとか、慶応→公認会計士とか、そういうクラスの方がやたら多い。(正直、受ける前まではもっと普通の人が多いと思っていました・・・) これと比べると私なんか相当アホな部類に入りますね。漢字よく間違えるし。猫次郎とか名乗ってるし。
 あと、「意識の高い」方が多い。事業再生コンサルタントを名乗るには資格なんかいらないし、この資格には何の独占権もないのですが、それをあえて、自分の能力向上のため、はたまた自分の客観的能力を試すために受ける人が多い。独りよがりではいけない、と。

◆みんなどうやって取ったか?
 多くの方は、まずATP(士補)を受けて合格して、次にCTPを受けて、たいていは1科目か2科目落として、足掛け2-3年かけて合格に至っているようです。(中には一発全科目合格の超人もいますが、ごく少数です)
 年に1回、協会が主催する1日がかりのセミナ-があります。これはCTP既得者の研修会も兼ねているのですが、この試験の傾向と対策を知るには非常に良いと思います。今年は4月3日に開催されます。(私も研修のために参加する予定です。)
 あと、TTMという予備校のようなところが開催する対策セミナー(やはり1日コース)も年1回くらいあり、これにも参加したことがありますが、やはり傾向と対策を知る上で大変役に立ちました。

◆試験の傾向:
 CTPは全科目とも論述です。解答用紙は白紙同然です。よって当然ですが、論述することに慣れないといけません。
 また、設問が異常に長いので(長文の設問文、プラス5年分のBS,PL,CSなど補足資料、あわせてA4x10ページ以上を読みこままなければならないと思って下さい。とてもYahoo知恵袋に投稿なんてできる量ではありません)、たぶん設問を読むだけで1時間はかかるでしょう。文章の速読術だけでなく、財務諸表の速読術(?)のようなものも必要です。膨大な数字から、重要な指標や異常値などを速く正確に見出す能力を。とにかくスピード感が意外に大切です。

◆取得した後の研修、単位:
 研修自体はそれほど多くありませんが、取得後も年に1回、単位を取得しないと継続できないようになっているので、一度取ったら安泰というわけではありません。

◆取ると役に立つか?
 個人的には、この資格を取ったからって何か目に見えてトクしたという実感はありません。
そもそもこの資格自体、まだ知名度が低いですし、何か独占業務が与えられているわけではありませんから。
 ただ、思いがけない所(中小企業再生支援協議会や米国系コンサルファームなど)から、とんでもなく高い評価を受けることがあります。
 あと、私から見て、他のCTPホルダーの先生方は前述のようにスゴい人が多く、接していて大変刺激になり、得るものが多いので、そういう意味でも役には立っています。

◆その他:
 日本の事業再生の歴史は浅く、アメリカより10年位遅れているといわれています。うちのスタッフにICU大学院で米国の企業再生を研究していた松田という者がいるのですが、彼からその手の話をよく聞きます。
 わが国の事業再生はいわば、発展途上の段階にあります。仕組みもまだまだ出来上がっていないし、周辺関係者の意識もまだまだ低い。コンサルのレベルの差も非常に大きい。
 そんな中で、一匹狼で小さくまとまっていると、停滞してしまいます。どんどん取り残されてしまうでしょう。私が取得しようと思ったのもそのためでした。知名度ばかり上がって、井の中の蛙、裸の王様、臆病な自尊心と尊大な羞恥心(山月記で有名な言葉)にとらわれたくなかった。
 なにしろ発展途上なのですから、我々一人一人、もっと意識を高めていかないといけません。同業者(広い意味での同業者。法律系、会計系、不動産系、企業診断系などなど)同士で切磋琢磨し合わないと。
 「この資格を取れば独占業務の特権が認められて生涯安泰」というような類の資格ではありません。認定事業再生士の「認定(Certified)」とは、能力が認められたに過ぎないのです。
 そういうことをふまえた上で、この資格は、事業再生の「プロ」を志す方に、自信をもってお勧めできる唯一の資格といっていいでしょう。

 * 協会ホームページ:http://www.actp.jp/


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プロフィール

吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員

Author:吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員
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【NEKO-KEN】
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。東京都中野区。
経営革新等認定支援機関(認定支援機関)。
末期症状の会社の倒産回避(生き残りのための応急処置)から、原因究明、デューデリジェンス、再生スキーム策定、金融機関向け経営改善計画策定支援、資金繰り改善、PL改善(黒字化)、実行支援、最後の出口へのお手伝いに至るまで、事業再生コンサルタントとしては一通りの経験と実績があります。
ミッションは「ヒト・モノ・カネの再生」。


【吉田猫次郎】
(株)NEKO-KEN代表取締役。
本名よしかわひろふみ。1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。
著書12冊。講演300回以上。テレビ出演15回くらい。
20代のサラリーマン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利、多重、ヤミ金、怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はせず)。その体験記を、2001年に猫次郎と名乗ってホームページに公開したところ、思いがけずヒットしてしまい、2003年に書籍化。以後、事業再生コンサルタントに転身し現在に至る。
最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)から現在までにトライアスロンに8回出場、全て完走。フルマラソンも2回出場、2回完走。
嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。

【相談員】
須田幸雄: CTP認定事業再生士。資金繰り改善、財務体質改善、労務、管理等に強い。

廣田守伸: CTP認定事業再生士。関西地区担当。事業再生コンサルタント歴16年以上の大ベテラン。

金久保 健: 中小企業診断士歴20数年。マーケティング、事業性評価、PL改善に強いが、事業再生コンサルタントとしても10年近い実績がある。

 
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★ 取材、講演、執筆依頼は、直接メールまたは電話またはFAX下さい。 ooneko@nekojiro.net TEL(03)5342-9488 FAX (03)3229-8329

★ このブログは長い間、吉田猫次郎ひとりで書いておりましたが、2017年8月より、3名の相談員と共同作業で投稿していきます。お楽しみに。

 
 
 
 
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