吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員のブログ

中小企業再生や敗者復活に関する投稿が主ですが、ホームページとブログを区別し、ここでは幾分ユルめの内容になっています。

 

新たなるグレーゾーン問題。「カードのショッピング枠で現金化」が急増中。


Category: 個人の多重債務問題   Tags: ---
「貸金業法改正で借りるところがなくなりヤミ金が増える」という論調には今も昔も「それはない」と異を唱えている私ですが、以下に解説する「カードで現金」の業者は、これから当分の間、増えると思います。

これはヤミ金ではありません。ヤミ金とは明確に区別すべきです。
理由は後述します。


まず最近のニュースを引用。

2010年11月14日の産経ニュースより。

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≪ 手口はこうだ。資金を必要としている人に対し、クレジットカードのショッピング枠を使って安価な雑貨などの購入を勧誘。1個10万円前後で購入させ、手数料を引いた残りの8割前後の金額をキャッシュバックする- といったものだった。
「福場氏の場合、現金化の勧誘をインターネットサイト上で行っていた。ゴルフボールを乗せるティーなどを10万円前後で販売し、8~9割をキャッシュバックしていたようだ」(関係者)
17年ごろまでヤミ金業を営んでいた福場氏は、警察当局の取り締まりが強化されるなどしたため、18年ごろからクレジットカードを使った現金化商法にシフトしたとみられる。

(中略)

クレジットカードを使った現金化は利用規則違反であり、発覚するとカードが利用できなくなるが、それでも男性はこう言う。
「事業が難航すると銀行はなかなか金を貸してくれない。補助金申請も時間がかかる。そういう中で、クレジットカードの現金化は、すぐ必要な生活資金や事業のつなぎ資金を調達するのに便利。生きていくにはとにかく金が必要なんです」
こうした業者は貸金業法改正後、資金調達が困難となった人々の需要の受け皿となっているようだ。
現金化業者は全国に200業者以上いるとされ、1万以上のサイトを運営しているとみられる。
東京情報大の堂下浩准教授の調査によると、消費者金融大手7社の貸付残高は今年8月現在、3兆7千億円でピーク時の半分以下に縮小。18年12月の貸金業法改正後、その傾向は鮮明となっている。
一方、総量規制などで借り入れができなくなった人々はどこに資金を求めたのか。
堂下准教授は
「親族や知人からの借り入れに頼る傾向が強くなっている。また、クレジットカード現金化の利用も増えている」
と話す。

(中略)

返済できるうちは問題ないが、何らかの事情で滞ると、損をかぶるのは現金化業者ではなく、買い物の立て替え払いをするクレジットカード会社となる。
「いうなれば、現金化業者によるクレジットカード会社への詐欺行為。利用者はそこに加担しているともいえる」
社団法人「日本クレジット協会」(東京都中央区)の担当者は不正行為の横行にいらだちを募らせる。
クレジットカードの現金化はカード会社との加盟店契約違反であり、利用者にとっても規約違反である。
それでも、ネット上から勧誘サイトが消えていく兆しはない。中には還元率の高い“優良店”を比較するサイトまで登場している。
勧誘サイトの氾濫(はんらん)状況について、同協会の担当者は「サイトに出ているメールアドレスやフリーダイヤルは本物だが、代表者名や店舗住所は偽名で、本当の経営者までたどり着くことができない」と頭を抱える。
法律でも現金化業者の取り締まりは現状では難しい。
まず、現金化業者は貸金業者ではないので、貸金業法は適用されない。貸し付けではなく、あくまでもクレジットカード利用に伴う特典としてのキャッシュバックなのである。
「放置すべきでないことは分かっているが、貸金業法の対象外なので何ともならない」と金融庁関係者も
匙(さじ)を投げる。
可能性として残るのは、詐欺罪の適用だが、これも容易ではないようだ。
カード業界関係者は「クレジットカード会社をだます目的で利用したのを立証することに加え、
そもそも利用者が“加害者”として名乗り出てくることはまずない」と摘発の難しさを指摘するが、
「ただ、このまま野放しにしていてはいけない。業者が荒稼ぎした金は暴力団の資金源になっている可能性も
十分ありえる。関係省庁の間で法整備などを進めてほしい」と対応策の必要性を訴えた。

資金需要がある限り、法律の穴を見つけてビジネスを行う業者は必ず出てくる。
法律のグレーゾーンに浸透するクレジットカード現金化業者への対応は急務といえる。 ≫

引用元: sankei Biz 2010年11月14日
 http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/101114/cpb1011140700000-n1.htm
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一部のメディアでは、このような業者を「ネオヤミ金」とか「新手のヤミ金」などと呼んでいますが、それはちょっと違うと思います。

ヤミ金の明確な定義なんてものはありませんが、昔からヤミ金と言われていた業者は、

1.「違法」な暴利を取っている。(トイチ、トニ、トサン)
2.「違法」な取り立て行為を行っている。(時として暴力もあり)
3.「カネ貸し」である。
4.借り手側も「恐ろしいところから借りてしまった・・・」という罪悪感や後悔の念があった。

という共通点がありました。

私が11年前に散々お世話になった?ヤミ金も、利息はトイチ・トニ・トサンで、年利に換算すると360~1080%という完全な違法金利でした。これは法律上、民事で無効になるのはもちろんのこと、刑事罰も科せられる犯罪的な利率です。
取り立ても、5分おきにかかってくる電話や、黒いスーツに黒いシャツを着た怖そうな兄ちゃんの訪問、恫喝、果ては拉致監禁など、明らかに貸金業規制法や刑法などに触れる犯罪めいたものでした。
また、彼らは「カネ貸し」でありながら、多くは貸金業免許を持っておらず、あるいは持っていても偽名や偽りの住所電話番号で誇大広告をバラまいており、それも完全な違法でした。
このように、昔ながらのヤミ金は、明らかに違法な行為と知りながら、暴力的に暴利を貪っているという特徴がありました。
こういう業者を「ヤミ金」と呼ぶのであって、冒頭で記事引用した「カードで現金化」のような業者は、断じてヤミ金と呼ぶべきではないと私は思います。これをヤミ金とゴッチャにしてしまうと、問題点がはっきりしてこない。

「カードで現金化」の問題点(および特徴)を要約すると、次のようになると思います。

1.「違法な暴利」を取っていない。暴利には違いないだろうが、それは違法ではない。
2.「違法な取り立て」がない。(取り立てするのはあくまでカード会社にすぎない)
3.「貸金業者」ではない。よって「貸金業法」では規制することができない。
4.借りている人もいわば共犯者になるから、借り手から刑事告訴されることは少ない。つまり表面化しにくい。
5.借り手にあまり罪悪感がない。貸し手にもあまり罪悪感がない。

つまり、法律上グレーゾーンであり、暴力的でもなく、感覚的にも手を出しやすいのです。
これがヤミ金との決定的な違いです。
上記のヤミ金の1.2.3,4と比較してみて下さい。


この問題はどちらかといえば、今年6月にやっと法改正され決着がついた「利息制限法」と「出資法」のグレーゾーン問題に似ているかもしれません。

つい数年前までは、大手クレジットカードのキャッシングも大手消費者金融のキャッシングも(いずれも上場企業)、年利25%~29%で平気で貸し付けていました。というのは、当時はこれは「違法」ではなかったからです。
利息制限法では年18%までが上限と定めていましたが、これには罰則がなく、しかも法43条で定める一定の要件を満たせばそれ以上の利率でもOKという解釈があったので、出資法(=厳しい罰則つき)で定める29.2%の上限金利だけを厳守していたのです。この18~29.2%までの利率のことを「みなし弁済」「グレーゾーン金利」と呼ばれていました。
グレーゾーン金利は裁判(民事)で争えばほとんどの場合無効となり、利息制限法に引き直されましたが、それでも大手貸金業者の多くが「43条みなし弁済」を守っていると主張して、平然とグレーゾーン金利を取り続けていました。
平成18年1月に最高裁判決が出て、その年の暮れから貸金業法の大幅な改正が始まってから、徐々にグレーゾーン金利を取る所が減っていき、今年6月の法改正完全施行になってから完全にいなくなりましたが、それまでは大手のイメージの良い会社でも、平気でグレーゾーン金利を取っていました。大手が無人契約機を導入したりCMでイメージアップを図ったりしはじめた90年代後半からは借り手にも罪悪感がなくなっていき、不景気とも相まって爆発的に増えていったのです。それと似ているように思います。

「カードで現金」も、きちんとした法整備の動きがない限り、まだまだ増え続ける可能性が高いと思います。
借り手にも貸し手にも罪悪感がなく、完全な違法とも言い切れず、潜在需要もかなりあり、さらには借り手も非があるため(共犯)表面化しにくいという新たな要素を含んでいます。

いっぽう、「ヤミ金」のほうは間違いなく減るでしょう。貸金業法改正の現在では、ヤミ金の特徴であったトイチ・トニ・トサンの暴利は、最大で懲役10年という厳しい罰則が科せられます。無免許で貸金業を営むのも同様に懲役最大10年です。取り立ての規制も厳しくなりました。身分証明書の携帯なども義務付けられていますから偽名をを名乗って法外な取立てをすることも難しくなりました。警察もすぐに動きます。借り手側も情報が増えて賢くなっていますから、返済が苦しくなるとすぐに警察や弁護士に駆け込みます。
つまり「ヤミ金」側にとっては、逮捕されるリスクがより高まり、貸し倒れのリスクもより高まり、商売としてやってられなくなっていったのです。
冒頭のニュース記事を読んでみて下さい。この「カードで現金」業者も、「ヤミ金」ですっかり儲からなくなってしまって平成18年頃に「ヤミ金」を辞めています。

このように、「ヤミ金」と「カードで現金」は全く異なる性質を持っています。
「新手のヤミ金」などと呼んではいけません。


しいて言うなら、これは「ネオ・グレーゾーン問題」とでも言うべきでしょうか?



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Comments

罪悪感が無いっていうのは 
借金ってある意味 麻薬みたいなもんですから、その罪悪感のなさって本当によくないと思います。

ちなみにワタクシ・・・10年くらい前にトナナ借りたことあります。
はい10日で7割(苦笑)

・・・でも元気に生きてる!
 
改正割賦販売法 
引き算が不得手なあっしには何だかよくわからないですが、
与信が厳格化されるようですね。
来月施行されるとか。
今度は、「買えなくなった人たち」というのが出るのでしょうか。
やっぱり貧乏革命ですe-264
 
これですね 
12月17日施行。
日本クレジット協会のホームページに詳しい解説があります。
http://www.j-credit.or.jp/customer/sales_law/index.html

 

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プロフィール

吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員

Author:吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員
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【NEKO-KEN】
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。東京都中野区。
経営革新等認定支援機関(認定支援機関)。
末期症状の会社の倒産回避(生き残りのための応急処置)から、原因究明、デューデリジェンス、再生スキーム策定、金融機関向け経営改善計画策定支援、資金繰り改善、PL改善(黒字化)、実行支援、最後の出口へのお手伝いに至るまで、事業再生コンサルタントとしては一通りの経験と実績があります。
ミッションは「ヒト・モノ・カネの再生」。


【吉田猫次郎】
(株)NEKO-KEN代表取締役。
本名よしかわひろふみ。1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。
著書12冊。講演300回以上。テレビ出演15回くらい。
20代のサラリーマン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利、多重、ヤミ金、怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はせず)。その体験記を、2001年に猫次郎と名乗ってホームページに公開したところ、思いがけずヒットしてしまい、2003年に書籍化。以後、事業再生コンサルタントに転身し現在に至る。
最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)から現在までにトライアスロンに8回出場、全て完走。フルマラソンも2回出場、2回完走。
嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。

【相談員】
須田幸雄: CTP認定事業再生士。資金繰り改善、財務体質改善、労務、管理等に強い。

廣田守伸: CTP認定事業再生士。関西地区担当。事業再生コンサルタント歴16年以上の大ベテラン。

金久保 健: 中小企業診断士歴20数年。マーケティング、事業性評価、PL改善に強いが、事業再生コンサルタントとしても10年近い実績がある。

 
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