吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員のブログ

中小企業再生や敗者復活に関する投稿が主ですが、ホームページとブログを区別し、ここでは幾分ユルめの内容になっています。

 

<連帯保証人>保護のため民法改正へ 説明義務規定を検討--法制審 (2010/6/2毎日新聞)


Category: 連帯保証人問題   Tags: ---
★6月2日7時19分配信 毎日新聞より

 生活破綻(はたん)や自殺の要因になるとの指摘を受けている連帯保証人制度について、法相の諮問機関である法制審議会は、保証人を保護する観点から民法改正の検討に着手した。保証人への事前説明や、債務者の資金繰りなどの情報提供を金融機関に義務付ける制度を導入する是非について議論を進める。

 連帯保証は、不動産などの担保を持ち合わせない中小企業経営者らが融資を受ける際、自身の信用を補うために第三者が連帯して債務を保証する制度。通常の保証制度と異なり、連帯保証人が債務者と同様の返済義務を負う。債務者が行方不明になった際には、貸手は債務者を捜す必要もなく、連帯保証人に返済を請求できる。金融機関などの融資の大半は連帯保証人制度が使われている。

 一方で、契約する際に必ずしも連帯保証人への説明が十分でなく、知らない間に多額の返済を迫られるケースも多い。連帯保証契約を結んだ直後に債務者に計画倒産されるような詐欺まがいの被害に遭う連帯保証人もいるとされる。

 こうしたことから法務省は、民法の債権関係条文の見直しを進めている法制審民法(債権関係)部会で「保証人が多額の保証債務の履行を求められ生活破綻に追い込まれる事例が後を絶たず、一層の保証人保護の拡充を求める意見がある」と指摘。保証契約を結ぶ際に、保証人に十分理解できるように説明することを義務付ける「説明義務」や、債務者の資金繰り情報を保証人に提供することを金融機関に義務付ける制度の導入を民法改正の論点に盛り込んだ。

 民法で説明義務の規定が創設されれば、契約時に事前説明が不十分だった場合などは、保証人側が損害賠償請求や契約無効の確認を求める訴訟が起こしやすくなる

 ただ、連帯保証人制度そのものは「制度がなければ融資が受けにくくなる」との中小企業の指摘も根強く、欧米でも同様の制度を採用しているとして、存続を前提としている。

 民主党は昨年公表した政策集で「自殺の大きな要因となっている連帯保証人制度について、廃止も含め在り方を検討する」と言及。政府の自殺総合対策会議も今年2月に決定した自殺対策緊急プランで、連帯保証制度の在り方の検討を盛り込んだ。このため法制審でも民法改正の議論が必要と判断した。

 保証制度を巡っては05年4月の民法改正で、企業が金融機関から融資を受ける際、その企業の経営者らが金額や期間の制限なしで保証人を務める「包括根保証」制度が廃止されたが、この際も中小企業経営者らの破産や自殺が相次いだことが改正に結びついた。
【石川淳一】 .最終更新:6月2日7時19分
引用元: http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100602-00000006-maiall-soci

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* 以下、猫次郎の意見です。

 今回のニュースは、大いに歓迎できるものです。去る平成17年の民法改正(このときは包括根保証が撤廃された)に次いで、大きな大きな前進といえるでしょう。(民法を改正するのは大変なことなのです。)

 ただ、ひとつ残念なのは、「連帯」という部分が撤廃されないことです。

 いつも力説しているように、個人保証という制度そのものは否定しないけど、「連帯保証人」ではない「(ただの)保証人」でいいじゃないか!

 欧米でも連帯保証人と同様の制度があると記事に書かれていますが、実際はどうなのでしょう? 私の調べた限りでは、確かに「個人保証」はあります。これは日本でいうところの「(ただの)保証人」に相当します。 でも、「連帯保証人」と同様の過酷な保証人制度は、どこを探しても見つかりませんでした。私の調査不足でしょうか?

 おさらいになりますが、「(ただの)保証人」と「連帯保証人」とでは、その責任の重さは全然違います。
ただの保証人の場合、主債務者が本当に支払不能になった時に、必要な分だけ保証すればよいのですが(法律用語でいうと「検索の抗弁権」「催告の抗弁権」「分別の利益」が与えられている)、「連帯」保証人になると、検索の抗弁権も催告の抗弁権も分別の利益もありません。つまり、主債務者にまだ返済余力が残っていても、債権者としては、順不同で連帯保証人に全額請求できてしまうのです。まさに人的担保、いや、不動産担保などよりもはるかに強い強制力をもった、「飛び道具」とでもいえるものです。

 この「保証人」と「連帯保証人」の違いについて、あまり国でもメディアでも議論されていないことが非常に残念です。議論されていないから、ほとんどの人が疑問を持っていません。ほとんどの人が疑問を持っていないから、銀行融資の際も不動産賃貸借契約の際も、契約書の書式には当たり前のように「連帯保証人xxxxx印」と印刷されており、そのことについて「連帯はいらないんじゃないの?ただの保証人でどうよ?」と異を唱える人もいないのが現状です。

 ちなみに、保証会社や信用保証協会というのがありますが、これらは私たち借り手の「保証人」代わりになってくれる機関ですが、「連帯保証人」代わりなってくれる機関ではありません。それでもじゅうぶん機能していますよね? なのに、なぜ我々一個人が、「連帯」保証人にならなければならないのでしょうか?

 「(ただの)保証人」なら、本人さえよければいいと思います。でも、「連帯」は必要ない!

 法制審議会には、ぜひ、この点についても議論してもらいたい。


 猫




(6/4追記) X 民放→〇 民法。訂正しました。

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Comments

ただの保証人だけにする 
これはいいと思います。

ただの保証人なら「債務者から取れ」とか
「債務者に財産がありそうだから探してそっから取れ」
となってかえって面倒ですから、結局ただの保証人さえ
取らなくなるなる可能性があります。

融資が受けにくくなる。。。
これだって別の見方が出来ます。
返済に若干不安があるけど連帯保証人がいるなら
貸しちゃえと企業を借金漬けにするのも防げる側面だって
あります。

市場から退出するか生まれ変わるかを早めに選択する方が
ダラダラ借金漬け経営を続けるより理にかなっています。

ただ、経営者の決断や返済できない事態に陥らないことの
支援をする態勢の整備は必要です。
「目利き能力」なんていうのは占い程度の精度しかないので
金融機関単独では対処できないでしょうv-8
加えて、市場から退出を迫られる層の生活を保障することも
考えなくてはならないのでこりゃ大変なことですがv-292
 
 
せっかく良い方向に向かっている矢先にこの政局。
うやむやにならないことを望みます。
民主党の次回選挙のマニフェストにするって話もあったけど、この問題で悩んでいる人が投票すれば、郵便局より、票になりそうなんですが・・・
 
いいですね 
タグ組みますよ。誰か組織してくれるんだったら、国会にでもデモにいきますよ。デモは団塊の世代がそろそろ暇になりそうだから、やってもらいますか。
 
 
猫さんの主張するところは諸手を挙げて賛成します。が、社会は正義で動かないのは周知のとおり。今後も弱者(連帯保証に嵌められたアホな債務者)救済はゲリラ戦でしか為しえないでしょう。
即ち、今後も民法改正による連帯保証制度の廃止は無いでしょう。なぜなら、連帯保証制度のお陰で儲けている金融機関から、代議士は献金を、退官後の法曹関係者(判事・検事)は高額の顧問料を貰うのですから。
日頃、お為後がしに正義漢ぶっているマスゴミも広告収入でホクホクですしね。(:P
もっとも、素朴な正義感を持つ判事が微力?ながらも債務者の事情を斟酌した判決をしています。
このような判例を分析した書籍として…
「保証人保護の判例総合解説」-「契約」の否定,「債務」の制限および「責任」の制限-判例総合解説シリ-ズ 平野裕之 信山社
をお薦めします。
 
Blog主への質問 
Blog主へ質問します

①諸外国の保証人制度について
日本以外の国では連帯保証人制度が基本的に無いとあります。

それは日本の銀行や信金等は債務者の事業を評価する力が無いせいであり、それを連帯保証人制度によって銀行だけ損失を回避しようとしている、諸外国はそんなことはないとのことですがそうなのですか?

アメリカでは100を超える地方銀行がこの2~3年で破綻しているとニュースで見たことがありますが。

もうひとつ、アメリカでは日本対比金利が高いと聞いております(日本が2%程度であるのに対しアメリカだと6%程度)。これは国家のインフレ率を考慮しても尚高いと思います。

査定能力が高いというよりは貸倒損失を金利収入でカバーしているのではないかと思うのですが。


②計画倒産について
私が中小企業の社長なら私的なお金を工面するために、わざと事業資金と言って銀行から金を引き出したあと、会社を計画倒産をさせてトンズラしようと思うのですが、こんなことは横行しないんでしょうか?
 
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プロフィール

吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員

Author:吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員
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【NEKO-KEN】
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。東京都中野区。
経営革新等認定支援機関(認定支援機関)。
末期症状の会社の倒産回避(生き残りのための応急処置)から、原因究明、デューデリジェンス、再生スキーム策定、金融機関向け経営改善計画策定支援、資金繰り改善、PL改善(黒字化)、実行支援、最後の出口へのお手伝いに至るまで、事業再生コンサルタントとしては一通りの経験と実績があります。
ミッションは「ヒト・モノ・カネの再生」。


【吉田猫次郎】
(株)NEKO-KEN代表取締役。
本名よしかわひろふみ。1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。
著書12冊。講演300回以上。テレビ出演15回くらい。
20代のサラリーマン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利、多重、ヤミ金、怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はせず)。その体験記を、2001年に猫次郎と名乗ってホームページに公開したところ、思いがけずヒットしてしまい、2003年に書籍化。以後、事業再生コンサルタントに転身し現在に至る。
最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)から現在までにトライアスロンに8回出場、全て完走。フルマラソンも2回出場、2回完走。
嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。

【相談員】
須田幸雄: CTP認定事業再生士。資金繰り改善、財務体質改善、労務、管理等に強い。

廣田守伸: CTP認定事業再生士。関西地区担当。事業再生コンサルタント歴16年以上の大ベテラン。

金久保 健: 中小企業診断士歴20数年。マーケティング、事業性評価、PL改善に強いが、事業再生コンサルタントとしても10年近い実績がある。

 
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★ このブログは長い間、吉田猫次郎ひとりで書いておりましたが、2017年8月より、3名の相談員と共同作業で投稿していきます。お楽しみに。

 
 
 
 
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