吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員のブログ

中小企業再生や敗者復活に関する投稿が主ですが、ホームページとブログを区別し、ここでは幾分ユルめの内容になっています。

 

住宅ローン「6月危機」について ~ 返せなくなっても大丈夫!


Category: 個人の多重債務問題   Tags: ---
皆さんよくご存知のとおり、最近、「6月危機」なるものが話題になっています。
夏のボーナス払いを境に、住宅ローンの返済ができなくなる世帯が急増するのではないかと危惧するものです。ボーナスどころか収入激減のサラリーマンも増えていますからね。

そこで今回は、住宅ローンが返せなくなったときの基礎知識を、時系列的にごく簡単に述べたいと思います。


(1) 1日遅れたらどうなるか? - 特に何も起こりません。一括請求にも差押にもなりませんので安心してください。せいぜい、引き落とし不能になったことで銀行から電話かお手紙が来て、早めの入金を迫られる程度です。もちろん暴力的な取立ても皆無です。

(2) 1週間遅れたらどうなるか? - 同上。

(3) 1ヶ月遅れたらどうなるか? - おおむね同上。但し、電話とお手紙の頻度、ならびにその内容は少々厳しくなります。期限の利益喪失(=一括請求)になるまで、まだ少し猶予があると思っていいでしょう。

(4) 3ヶ月以上遅れたらどうなるか? - この頃から「期限の利益喪失」(=一括請求)が現実味を帯びてきます。 尚、契約書には1ヶ月遅れただけで期限の利益喪失になっている銀行があったり、3ヶ月のところがあったりしますが、こと住宅ローンに関しては、銀行さんは契約書どおりに一切の猶予もなくキチンと一括請求してくるところはごく少数なのが現状です。 それよりも「損得勘定」で柔軟に決めていることのほうが多いものです。 期限の利益喪失になるまでの期間が人によって3ヶ月のこともあれば6ヶ月以上のこともあるのは、そのためです。

(5) 一括請求されたらどうなるか? - 民間銀行の場合は保証会社に代位弁済になることが多いですが、代位弁済になって、保証会社が銀行に残債全額を肩代わりしてくれても、その後、保証会社からあなた宛てに「うちが立替えた分を全額払って下さい。さもなくば競売ですよ」と言ってきますので(これを求償権請求といいます。民法で、保証人は主債務者に対して自分が肩代わりしたお金を返せと請求する権利が認められているのです。それが求償権です。保証会社はあなたの保証人代わりというわけです・・・)、結局のところ、一括請求されるという点は同じです。
 ちなみに「期限の利益喪失」とは、噛み砕いて意訳すれば、「分割払いのメリット(期限の利益)を喪失する」という意味ですので、要するに一括請求となるわけです。
 ここまでくると、もう元の返済条件には戻せません。戻せるとしたら個人再生手続きくらいです。(個人再生手続きでは期限の利益を喪失してから6ヶ月以内なら回復を認められている。) 個人再生が使えない状態の人は、この段階まできたら、任意売却や競売などを駆使した解決方法を模索することになります。

(6) 競売になるまでの間に起こること - 一括請求に応じられないからといって、交渉の余地もなくただちに競売になってしまうことはほとんどありません。 だいたい一括請求されてから早くても半年近く、遅いときは1年以上かかって、やっと競売開始になります。その間、任意売却やら何やらと交渉の余地があります。
 多くの場合(十中八九)、競売開始になる前に、銀行さんは「任意売却」を勧めてきます。(ここに解決のための大きなターニングポイントがあります)

(7) 競売になるとすぐに追い出されるのか? - なりません。競売開始決定(ペラペラの封筒が裁判所から来る)から入札(オークション開始)までだけで、軽く半年近くはかかるのが普通です。その間、家はあなたのものです。赤紙を貼られたりロープで閉鎖されたりしません。堂々と住めます。

(8) 売却後に残った借金は請求されるのか? - 請求は必ずされます。請求はね。必ず。
 でもわたしは言いたい。 「請求が来たぐらいでガタガタ騒ぐな!」 と。
 担保の家を処分したうえ、残債を請求しても支払いがないとなると、銀行はそれを「不良債権」として位置づけます。文字通り、不良な債権です。そして、不良債権は「処理」される運命にあります。「回収」じゃなくて「処理」です。
 民間銀行の場合、処理のしかたの多くは、サービサーへの債権譲渡です。もちろん二束三文です。
(以後説明省略)
 公庫など公的金融機関の場合はそう簡単に債権譲渡しませんが、これはこれで傾向と対策があります。


 結論。住宅ローンが返せなくなっても、たいして怖くない!


 6月危機!? 一部のマスコミさん、あまり煽っちゃいけませんよ。自殺者が増えたらどうすんですか?
 6月にローンの返済ができなくなっても、実際に家を失うのは早くても来年の下半期以降ですよ。それまでにやれることはまだまだいっぱいある!返せなくなったら、慌てず騒がず、まずは落ち着いて現状把握と情報収集すべし!

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 以上のことを詳しく書いた本が2冊あります。困っている方は是非お読み下さい。

 ひとつは手前味噌で恐縮ですが、2007年12月に出した 『働けません。』(三五館) という本です。全6章からなる共著で、そのうちの1章をまるごと住宅ローン対策に絞ってわたしが書きました。上記の時系列的な傾向と対策を詳しく書いています。
働けません。―「働けません。」6つの“奥の手”働けません。―「働けません。」6つの“奥の手”
(2007/12)
湯浅 誠 春日部蒼 李尚昭 吉田猫次郎 ほか

商品詳細を見る


 もうひとつは、故田崎達磨先生が2005年に書いた『住宅ローンで死ぬな!』(WAVE出版)という本です。これは一冊まるごと住宅ローン対策です。4年前のやや古い本ですが今でも9割以上は通用する内容です。
住宅ローンで死ぬな!―返済苦100%解決法住宅ローンで死ぬな!―返済苦100%解決法
(2005/11)
田崎 達磨

商品詳細を見る


 あと、わたしのホームページにある『不動産を守る方法』というコーナーも参考になると思います。


 たかが住宅ローンのために家庭が崩壊したり自殺したりしてしまうのは、大変悲しいことです。(実際、多いですよね・・・)

 皆さんのまわりで、住宅ローンの返済に窮してパニックになっている人がいたら、ぜひこのブログ記事を読んでもらってください。

 家を守るための方法はいっぱいありますし、また、家を守れなくても、残った借金を極力減らして生活を再建させることなら100%可能です。


 猫
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Comments

 
世の中には自殺者なんかナンボ増えてもいいから、住宅ローン返済が最優先順位っっていうような世論形成、というか、世の中の趨勢になる雰囲気が蔓延することを願っている連中が一部にいるんでしょうね。

そうすれば、自分達の債権や利益がしっかり保全されるから。

そんな奴らが一部のマスコミけしかけてこんな風にウラから煽っているんでしょうが、一体、人の命をなんだと思っているんでしょうかね。

一番許せないのが、やれ自己責任だの、努力しない奴が悪いだとかいう観念に凝り固まって、薄っぺらな正義感を振りかざし、自分を特別視していい気になっているマスコミで、たとえ住宅ローン業界にそそのかされても、自分の頭で考えた、本当の人間らしさの哲学と照らし合わせて、そんな業界の要請など蹴飛ばすのが普通だろうが。

住宅ローンに関しての、猫さんが提唱するおおらかなスタンスが世の中に広まれば、泣きをみて、犠牲になる金持ち、勝ち組は増えるけど、それで救われる健気な小市民だって増えていく。
それをバックアップするのが本当のマスコミだろうが。
 
同感です。 
トーリス・ガリーさま


マスコミ全部がそうだとはもちろん言いませんし、マスコミそのものを批判するつもりも毛頭ないのですが、まったくもっておっしゃるとおりですね。

多くの記者さんたちは、この問題について、現場の実情を知りません。基本的知識もあるようでありません。また、デスクの人たちもそんなに知りません。だからお粗末な記事が出回ってしまいます。
まあ、知らなくても無理もないのですが・・・。

また、本気でジャーナリズムを追究しようとすると、一つの問題をとことん追いかけなければならないので、それには大変な時間とコストがかかります。でもリターン(収入)はずっと後になります。だから新聞社や出版社や通信社は、なかなかそういうことに時間と労力を割けません。骨のあるジャーナリストさんの多くは、出世コースから外れるか、フリーになって苦しい生活を強いられています。

そんな構図ですので、マスコミ業界にどっぷり浸かっている人たちに多くを求めるのは難しいのでしょうね。

むしろ、マスコミ業界に携わっていない自由人のほうが、骨のある面白い論調を繰り広げていたりします。(村西とおるさんとか・・・)

 

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プロフィール

吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員

Author:吉田猫次郎とNEKO-KEN相談員
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【NEKO-KEN】
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。東京都中野区。
経営革新等認定支援機関(認定支援機関)。
末期症状の会社の倒産回避(生き残りのための応急処置)から、原因究明、デューデリジェンス、再生スキーム策定、金融機関向け経営改善計画策定支援、資金繰り改善、PL改善(黒字化)、実行支援、最後の出口へのお手伝いに至るまで、事業再生コンサルタントとしては一通りの経験と実績があります。
ミッションは「ヒト・モノ・カネの再生」。


【吉田猫次郎】
(株)NEKO-KEN代表取締役。
本名よしかわひろふみ。1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。
著書12冊。講演300回以上。テレビ出演15回くらい。
20代のサラリーマン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利、多重、ヤミ金、怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はせず)。その体験記を、2001年に猫次郎と名乗ってホームページに公開したところ、思いがけずヒットしてしまい、2003年に書籍化。以後、事業再生コンサルタントに転身し現在に至る。
最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)から現在までにトライアスロンに8回出場、全て完走。フルマラソンも2回出場、2回完走。
嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。

【相談員】
須田幸雄: CTP認定事業再生士。資金繰り改善、財務体質改善、労務、管理等に強い。

廣田守伸: CTP認定事業再生士。関西地区担当。事業再生コンサルタント歴16年以上の大ベテラン。

金久保 健: 中小企業診断士歴20数年。マーケティング、事業性評価、PL改善に強いが、事業再生コンサルタントとしても10年近い実績がある。

 
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★ 取材、講演、執筆依頼は、直接メールまたは電話またはFAX下さい。 ooneko@nekojiro.net TEL(03)5342-9488 FAX (03)3229-8329

★ このブログは長い間、吉田猫次郎ひとりで書いておりましたが、2017年8月より、3名の相談員と共同作業で投稿していきます。お楽しみに。

 
 
 
 
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