


≪ 約束手形の不渡りの現場に立ち会った。非常に荒れていた。
と言っても、暴れていたのは債権者ではなく、親族だった。
これをもし映像化するとしたら、テーマは「不渡りの修羅場」ではなく「同族経営の醜態」のほうが合っていると思った。
しかし、どんなに同族間で罵り合っていても、第三者(特に経験者か専門家)の言う事には耳を傾けてくれるものだ。最後は笑いながら収束した。
2回目の不渡り(=銀行取引停止処分)は回避できそうだ。
これからが再起だ。
笑う門には福来る
(笑いがないと福はやってこないヨ) 》
あれから2週間。
事態が良い方向に向かってきたので、当事者の方から同意を得て、ここに書きます。
手形を振り出した先は、仕入先でした。
社長一人による自力交渉(但し経営改善計画書の計数計画は私がお手伝いしました)により、仕入先の理解を得ることができ、すべての手形をとりあえずジャンプ(手形を数枚に分けて支払いを先送り。応急処置ですね)させてもらい、ひとまず2回目の不渡りは回避することができました。
この会社、税金や社保や給料の滞納はありません。そこは大変立派です。
金融機関にはリスケしていますが、私にいわせれば、リスケ程度ならまだ「軽症」です。
財務内容は、表面上は軽度の債務超過(実バラベースでも軽度の債務超過)、PLは役員報酬を従業員並みに下げてその他の経費もとことん切り詰めても営業赤字。要は損益分岐点を下回る売上高です。資金繰りもそれに比例して窮しており、3年間リスケをしているのに、現預金残高はいつも月商の0.2ヶ月分を下回っています。これでは手形を落とすのは困難でしょう。手形を切ってはいけない状態です。
よって、再起に向けての最大の課題は、コストカットなどよりも、「売上を伸ばすこと」に尽きると思います。
また、売上が伸び悩んでいた原因のひとつとして、私は、外部環境の変化などに加えて、内部要因(営業マンが勤続40年以上になる親族で、既存の得意先しか回っていない、社長は資金繰りばかりしている、等)もあると感じました。ここを変えれば、ビジネスモデル自体は悪くないので、損益分岐点を上回る売上高ぐらいまでは伸ばせるのではないかと。
いつも思いますが、会社は、「債権者に潰されるケース」は驚くほど少なく、「内部から崩壊して自滅するケース」のほうが圧倒的に多いです。 そうならなければ、倒産はかなり防げると思います。
猫