
Q1:中小企業の定義を教えて下さい。
以下のとおりです。
中小企業者の定義
業種:従業員規模・資本金規模
製造業・その他の業種:300人以下又は3億円以下
卸売業:100人以下又は1億円以下
小売業:50人以下又は5,000万円以下
サービス業:100人以下又は5,000万円以下
小規模企業者の定義
業種:従業員規模
製造業・その他の業種:20人以下
商業(※)・サービス業:5人以下
※商業とは、卸売業、小売業(飲食店含む)を指します。
Q2:中小企業の定義は何で定められているのか。
中小企業基本法第2条において定められています。
(以下略)
・・・・・・これを見て、皆さんはどう思われますか?
私は「中小企業」と「零細企業・自営業」という分けかたをしています。
(ちなみに「小規模企業者」という言葉は新聞雑誌でもあまり見かけない馴染みのない言葉なので使いません。もっと実態を反映している「零細企業」「自営業」という言葉を多用します)
先日、ツイッターでこんなことを書きました。原文のままコピペします。
> 中小企業と零細企業を分けて考える事は重要だ。なぜなら100人規模の中小企業と比べ、10人未満の零細企業は基礎体力がないばかりか、優秀なブレーンを高い金で雇う金もなく「良い治療」を受けられないからだ。国もマスコミもこの格差を認識しておらず中小企業と一括りに論じてしまっているし。
> 自殺者もしかり。資金繰り難で自殺してしまう社長さんの多くは負債総額1億円未満の「零細」だ。額が大きくなるほど自殺などしなくなり、50億超の「中小企業」では全くといっていいほど聞かない。しかしこういう真実は、統計にすらなっていない。中小と零細の大きすぎる格差。
> 私が普段相談に乗っているのは中小企業ではない。零細企業や自営業だ。資金調達面では最も過酷な環境に置かれ、厳しい現実と日夜戦ってる人たちだ。金融支援的な解決方法だけを追い求めるとどうしても無理がある。生き残るためには発想を変える必要がある。金融に頼らない、自己防衛的な生き残り策を。
続けます。
私が大企業(商社)のサラリーマンだった頃は、確かに取引先で資本金3億円/従業員数300人程度の製造業などがあると「中小企業」として見ていました。「300人しかいない中小企業か、大丈夫かな・・・?」と。
これはけっしてバカにしているのではなく(規模が小さくても素晴らしい会社は沢山ありますからね)、「与信管理」という、どうしても避けられない尺度があったからです。
末端の担当者である私がいくら熱心にその会社と取引したくても、独断では進めることはできません。必ず稟議書(りんぎしょ)を上げて、審査部や上層部が帝国データバンクの調査レポートと財務諸表などを入念にチェックして、信用限度(=上限いくらまでなら取引していいか)を決裁します。相手が上場企業だと億単位の取引をしても比較的安全(=倒産して焦げ付く心配がない)ですが、未上場の「中小企業」になると、はっきり言って倒産のリスクが高まりますから、どうしても上限が低くなってしまいます。このため、目の前に10億円の成立しそうな商談があっても、審査部から条件をつけられたりNGをくらうこともよくありました。「前金ならいくらでもいいが、掛売りは上限5000万円まで」とか・・・。
その後、29歳のときに大企業を辞めて実家の零細企業を継ぎました。資本金1千万、売上2千万以下、家族以外の従業員0人の、自営業といったほうがいいような本当に小さな弱い会社です。ここで私は、大企業のサラリーマン時代と全く逆の立場に立たされました。つまり「極小規模」で「審査される側」です。
ここで少々つらい目にあいました。大企業はもとより、従業員数50-100人規模の「中小企業」と商談しても、受付で軽くあしらわれたり小馬鹿にされることなんて日常茶飯事でした。何かモノを仕入れる際も「前金」でないと相手にされないことのほうが多かった。
若かった私は、内心、「なんで俺がこんな中小企業の中間管理職のオヤジに軽く見られなきゃいけないんだよ!」と悔しく感じることもありましたが、それが現実です。大企業より中小企業のほうが信用がない。中小企業より零細企業や自営業のほうが信用がない・・・。
大企業と中小企業の、大きな格差・・・。
中小企業と零細企業の、大きな格差・・・。
資金調達においても、大変な格差があります。
大企業は直接金融・間接金融ともに多種多様の資金調達手段があります。調達コスト(利息など)も比較的安い。社長個人が連帯保証することもありません。自宅を担保提供することもありません。
中小企業の「中」のあたり(だいたい資本金1億-3億円規模)になると、間接金融(=金融機関からの借入など)による資金調達が主になりますが、やはり資金調達コストは比較的安く、個人保証は社長個人のみ、自宅担保などはあまり求められません。(先日お会いしたこの規模の社長さんも、借入金が10億円あるのに、無担保、代表者個人保証のみで全ての融資を受けていました。)
小~零細企業や自営業になると、資金調達手段はほとんど借入のみになり、選択肢が非常に狭くなります。金融機関から借入の際は都道府県の信用保証協会の保証がつかないとあまり貸してもらえません。代表者個人の連帯保証は当たり前。自宅を担保提供していることもザラです。最近は減りつつありますが第三者の連帯保証人を何人もつけたり、兄弟親戚の自宅まで担保提供しているようなケースもまだまだ見かけます。資金調達コストも高くなりがちです。やや高めの利息、保証協会に保証してもらう際の保証料など・・・。
危機に瀕したときの環境も、大きな格差があります。
分子/分母の関係で、規模の大きい会社は、優秀な専門家に何百万円、何千万円のフィーを払っても全く負担にならないでしょう。たとえば販売費一般管理費が年間3億円かかっている「中小企業」にとっては、年間300万円のコンサルタント料を払っても1%にすぎません。これなら当然、優秀な専門家をブレーンとして雇うことができ、解決への道のりも開けやすくなります。会社が病気になったときも、良いドクターがついて、「良い治療」を受けることができるでしょう。
いっぽう零細企業や自営業は、何十万のお金を支出するのも一苦労です。危機に陥った零細企業などは、1万円のお金も満足に出せないことが多々あります。当然、「良い治療」がなかなか受けられません。
これが現実です。
私が長い間こだわってきたのは、「零細企業・自営業」に「良い治療」を施すことです。
猫


新刊本の話。
ぼんやりとした構想やラフな下書きは実は半年くらい前からあったけど、
3月の震災を機にそれを少し変えて、
骨組み(企画書&もくじ)が出来上がったのが3月下旬。
今回は私のほうから出版社に話を持ち込んだ。
この企画はこの会社しかない!と思える、相性の良さそうな、
熱いハートとバランス感覚と力を持った出版社が1社あったからだ。
そして「これでいきましょう!」とGOサインをもらえたのが3月末。
執筆開始が4月1日。
書き上げたのが4月11日。
猛ダッシュで書いて(wordで)、指が腱鞘炎になりそうになった。
4月14日に初校ゲラが刷り上ってきて、1回目の間違い探し。
誤字脱字などよりも、前後の論理の矛盾などをくまなく探す。
その後、弁護士の先生にもゲラを法律監修して頂いて、
赤ペン添削されたものと照らし合わせて、
4月19-23日位までかけて再校ゲラの手直し。
23日の夜にすべての修正作業を終えて、軽い興奮と脱力感の中、
あとがきをサラッと書いて、編集者に渡した。
これで私の仕事は終わった。
ありがたいことに、出版業界は紙不足&インキ不足で大変な状況なのに、
緊急出版のような扱いで、企画当初から紙をあらかじめ確保して優先的に進めてくれている。
あとはGW明けに発売されるのを待つのみ。
猫

5月9日大阪、5月11日東京中野、6月4日東京両国です。
http://www.nekojiro.net/study.html
・ ゴールデンウィーク中のNEKO-KEN事務所は、スタッフ各自ばらばらに予定を組んでおり、祝日中でも随時、相談受付可能です。但し用事がない限り事務所に誰もいない日が多いので、相談予約につきましては電話でなくメールでお申し込み下さい。メールアドレスはこちら参照→ http://www.nekojiro.net/soudan.html
・ GW明けに新刊本が出る予定です。詳しくは来週アップする予定です。
猫

被災地域の事業者向けに、無料相談窓口を開設しました。
その名も「TMAssist」。
相談員は、当番制などではなく、TMA会員の中から有志を募り、
量・質ともにかなりのメンバーが集まったようです。
詳しくはこちら。
◆公式HP http://www.tmajapan.org/jp/assist/index.html
◆公式ブログ http://ameblo.jp/tmassist/entry-10857485315.html
被災地域で深刻な被害を受けている社長さんは、一度相談されてみてはいかがでしょうか?
猫
(ちなみに私も志願したメンバーの一人ですが、出番が回ってくるかどうかは不明・・・)

「事業再生とはすなわち、①債務超過を解消し、②黒字化し、③キャッシュフローを安定・最適化させることにより、倒産の原因になるものを短期・中期・長期的に排除し、事業を揺るぎないものにしていくことだ。 そして、社長さんが倒産危機に怯えず、家族を養い、雇用を守り、税金を納め、社会貢献度の高いやりがいのある仕事を持続していけるようになれれば、それだけで立派な事業再生といえるのではないだろうか。」 (C)吉田猫次郎,2011
私は「事業再生」を、以上のように定義している。
なにも、夢のようなV字回復なんかできなくたっていい。売上が上がらなくても、黒字が維持できれば立派なものだ。
借金がゼロにならなくたっていい。そんな稚拙なことを目指す必要はない。どんな優良企業にだって借金はある。債務超過を徐々に解消して、ゆくゆくは自己資本比率を上げていくことができればそれで十分。
猫

住宅修築ローン、事業の運転資金など。
ハッキリ言って、これらは非常に借り易いと思います。
でもちょっと待ってください。
基本的には、借りたら返さないといけないんですよ。
儲かっても儲からなくても、毎月、固定的に返さなければならないんですよ。
しかも、従来の借金に加えて、新しく借金が増えるのですから、
ダブルローンのような状態になってしまうんですよ。
そりゃ、金利優遇とか元本据置とかいろいろな特典もついているかもしれませんが、負債として将来重くのしかかるという点では変わらないどころか、もっと苦しくなる可能性だってあるんですよ。
神戸の震災でマイホームが半壊して、震災対策の特別融資を借りて、家を直した人からの相談を何回も受けたことがあります。震災から10年以上が経過しても、まだ重い借金に苦しんでおられました。しかもその家は、価値(実勢価格)が半減しており、売却しても多額の借金が残るような状態でした。
まあ仕方なかったのかもしれませんが、こういう話を聴くと、私はとても「新しく借金して家を直したほうがいい」とは言い切れません。他の選択肢も提示しないわけにはいきません。
こういうばあい、「輸血」が全てではありません。輸血するかわりに「止血」したほうがいい患者さんもいます。
止血とはすなわち、返済を止めることです。
止血の方法はいろいろあります。ちょっと止血するだけなら金融円滑化法を適用してリスケジュールのお願いをしてもいいし、がっちり止めるなら弁護士に法的整理や清算を依頼してもいいし、あるいはもっとドロ臭いやりかたなら、開き直って放置するという手もあるかもしれません。
とにかく、柔軟に考え、「借りること」ばかりにとらわれないようにしましょう。
家が半壊したのは誰のせいですか?あなたのせいではありませんよね?
でも、半壊した分をローンで組んでしまうと、ローンの債務者はあなたになってしまうんですよ。
あなたが全ての負債を背負うんですよ。
あなたは、あなたのせいでないないものを、一生かけて背負うのですか?
そういう視点からも、借りるべきかどうか、慎重に考えて下さい。
* やや過激発言をすれば、輸血と止血をどちらもやってしまうというしたたかなやり方もありますが、ここでは省略します。
猫

政治家でも、有識者でも、身近な人でも。
私もよく人と話していて、その人の話がコロコロ変わっていくのを目の当たりにすることがよくあります。
そういうとき、私が怒ったり突っ込んだりするかというと・・・、あまりそういうことはしません。
その人の言葉の単語だけを額面どおりに受け取めず、前後の文脈や、背後にある言葉に出ないものからできるだけ想像力を働かせて、「真意」を読み取るよう、自分なりに努力しているからです。(但しまれに真意そのものがふらふら変わる人や、その真意が悪意に満ちているような人もいて、そういう人にはがんがん突っ込んで怒ることもありますが、まあ少ないですね・・・)
私は自分のホームページのプロフィール欄に、座右の銘というか、日頃自分に言い聞かせている言葉をして、「寛容と想像力」ということを書いています。そのまま引用します。
≪ 人に歴史ありです。どんなに憎たらしい相手でも、よく知り合えば打ち解けあえるかもしれません。そしてそのときには、自分の世界もより広がっているでしょう。 つまり、他人を思いやるための「寛容と想像力」であると同時に、自分を成長させるための「寛容と想像力」なのです。≫
三浦綾子の『氷点』」という長編小説に、「想像力のない者には、愛がない」という言葉があります。
私は17歳か18歳のときにこの本を読んで、ガツンとやられてしまいました。
以来、なるべく想像力を働かせるよう自分にいいきかせています。
この仕事をしていると、いろいろ問題のある人と触れ合うことが多い。
莫大な負債を背負って精神的に極度に不安定になっている人、自暴自棄になっている人、疑心暗鬼になっている人、情報を消化理解しきれずに情報難民になっている人、悪循環のドツボにはまって自分の能力の1割も出し切れていない人など・・・。彼らと会話をすると、かなり我慢を強いられることも少なくありません。堰をきったように何時間も喋り続ける人や、話すことが二転三転したり、話を小出しにして何だか要領を得ない人なんて日常茶飯事です。でもその程度では怒りません。でないと、この仕事は務まりませんから。
そういえばある日、相談者の方からこんな話が出ました。
「ねえねえ猫さん、聞いてくださいよ。もうね、ひどいんですよ。ある弁護士に受任してもらったんですが、3-4回相談して、毎回言うことがコロコロ変わるんですよ。最初は任意整理がいいんじゃないかってとりあえず受任してくれたんですけど、2回目のときは債権回収会社の分は受任しないから自力交渉してみて下さいって言われて、3回目には事業を譲渡して会社を清算したほうがいいですねって言うんですよ。もう何が何だかわからなくて。すっかり信用できなくなってしまって。猫さん、何かいい解決方法はないですか?」 と。
私はこう答えました。
「その弁護士さんはいい弁護士さんです。いいですか、よく聴いてください。そもそも、弁護士の役割は、依頼者を弁護することです。弁護する士だから、弁護士っていうんです。
で、弁護士さんの発言が毎回変わる理由としては、1回目の相談のときは資料不足だった。全体像はだいたい掴めたけど、詳細なあなたの会社の事業価値や資産価値や抵当権内訳や保証債務の有無などは完全に掴みきれていなかった。だから、とりあえず任意整理の方向で受任しましょうという話になったんだと思います。で、2回目にはその詳細がわかりかけてきた。そこで債権回収会社(サービサー)に債権譲渡された債務があることがわかった。サービサーだけは法律の土俵で戦うよりも自力でシンプルに値切り交渉したほうが効果的なことが多いですから、それを勧めてくれたわけです。なかなか良心的な弁護士さんではありませんか! そしてさらに、3回目の相談時には詳細資料がさらに揃って、複雑な権利義務関係を精査(ディーデリジェンス)したところ、これは個々に対処するよりも、もっと大掛かりな外科手術的な方法がいいぞ、という結論になり、旧会社は清算、第二会社へ事業を譲渡して、会社よりも事業を守ることに絞りましょうという結論になっていったのだと思います。私もあなたの資料を一読してそう思いました。その方法があなたにとって一番だと・・・。 この弁護士さんは事業再生にも相当長けた、いい弁護士さんだと思いますよ。あなたの利益を守るという本来の役割にも忠実だし。少しもブレていないと思います。決して、言葉の上っ面にだけとらわれて、あの弁護士はコロコロ変わるなどと評してはいけませんよ。もう私のところには来なくていいから、その弁護士さんを信頼しきっていいんじゃないでしょうか?」 と。
そんな、まるで通訳みたいなことをしなければならない場面も、よくあります。
まあ、この仕事は面白いです。
猫

いちいち挙げたらキリがないので、詳細はここでは省略します。
皆さん、ご自身で探してみて下さい。
ヒントは次のとおりです。
・中小企業向けの緊急融資: 都道府県庁や市役所の産業振興課窓口、金融庁のHP、日本政策金融公庫のHP、信用保証協会のHPなどを参照。
・助成金: 経済産業省、厚生労働省、中小企業庁、労働局のHPを参照。
・無料法律相談: 日弁連、各都道府県の弁護士会のHPを参照。
猫

今まで安定しているとされてきたものが、ことごとく不安定になりつつあります。
電力も、飲み水も、不動産も、物流も、すべてが不安定です。
為替も、株価も、雇用も、大企業も、国債も、国家も、どんどん不安定になっていく可能性があります。
> 「誠に残念ですが、日本は貧しい国になるでしょう」。米国家経済会議(NEC)前委員長のローレンス・サマーズ米ハーバード大学教授が23日、ニューヨーク市内の講演で断言すると、会場が静まり返った。
(2011/3/30産経ニュースより)
こういうときは、「大局観」や「五感」を大切にしましょう。
既成概念などにとらわれている場合ではありません。
つまり、国全体がどのような動きをしているか、自分が身を置いている土台(職場や資格や土地など)がこれからどのようになっていくか、その中で自分はどのような位置づけになるか、どうあるべきかを、五感を研ぎ澄まし、見て、聴いて、嗅いで、感じ取ることです。
居心地の良い安定した場所であぐらをかいていられる時代は終わりました。
これからは、いつ不安定になっても困らないよう、準備を整えましょう。
知識、知恵、人間関係、行動範囲などを広げることです。
極論すれば、何が起きても「食っていけない」ということはありません。
命さえあれば、たとえ全てを失っても、屋根つきの場所で寝て「食う」ことだけはできます。
(だから私は「〇〇したら食っていけなくなる」という言葉がキライです)
あとはどれだけ変化に順応し、這い上がれるかです。
失業して就職先がなくなっても、自営業はできます。
日本で稼げなくなっても、海外へ行って稼ぐことはできます。
(その点フィリピンパブのお姉さんたちは立派です)
土地や設備を失っても、技術は失っていないはずです。
そういう柔軟さ、精神的たくましさを、これからはすごく求められてきます。
今日から新年度です。
気持ちを切り替えて頑張りましょう。
猫