
このくらいなら、いちいち「催告の抗弁権も検索の抗弁権も認められていない連帯保証人など恐ろしくてなれません、身元保証人や民法で定めた普通の保証人なら喜んでなってあげましょう云々・・・」などとややこしい突っ込みを入れるのも野暮なので、全てを承知で、二つ返事でOKし、連帯保証人に署名捺印しました。
久しぶりに他人の連帯保証人になりました。これからどうなるか楽しみです。
もちろん、連帯保証人の恐ろしさは誰よりもよく知っています。
私は25-9歳のサラリーマン時代に、当時年利35%~40%の高利の商工ローン(商工ファンド、日栄、イッコーなど、総額4000万円以上)の連帯保証人になったことがあります。
その他、ヤミ金や、賃貸マンション、店舗開業、就職、入院などの細かいものも含めれば、保証人になった延べ回数は、20回や30回ではきかないでしょう。
連帯保証人として厳しい取立てを受けたことも何回もあります。
訴訟や差押をされたこともあります。
また、連帯保証人に関する本を出版したことも2回ほどあります。
へたな専門家よりも、連帯保証人については詳しいと自負しています。
* さて、ここからが本題です。
今朝、こんな話を聞きました。
「手術で3日間ほど入院することになった。病院から、入院時に連帯保証人を2人立ててくれと要求された。1人は妻がなってくれたが、もう一人がなかなか見つからなかった。親しい友人や同僚に連帯保証人になってくれと頼んでみたところ、みんな断られた・・・」
皆さんならどうしますか?
入院時に「連帯」のつく保証人を求める病院もいかがなものかと思いますが、それにしても、この人の場合、入院費用(自己負担分)はせいぜい5万~10万円未満のものです。人柄も問題なく、人望も厚く、金銭トラブルも皆無な人です。
それなのに、親しいと思っていた友人知人に、連帯保証人になるのをことごとく断られてしまいました。
(最終的には病院に頼み込んだら奥さん1人でOKしてくれたので良かったのですが・・・)
「連帯保証人は恐ろしい制度だ。絶対になっちゃいかん!」と親から教えられている人も最近は多いでしょう。
あるいは奥さんから「連帯保証人になんかなったら、あんた、離婚よ!」と云われている人もいるかもしれませんね。
それはそれで、否定はしません。よく知らないものにハンコを押すのは良くありませんから。
でも本当は、そういうふうに頑なに何でもかんでも拒絶するのでなく、連帯保証人という制度や、契約書に印鑑を押すことの責任の重さ等をよく熟知することが何よりも重要なのであって、熟知したうえで柔軟に決めるのが一番いいと思います。
繰り返しますが、よく知らないものにハンコを押すのは絶対良くないに決まっているので、熟知していないのなら拒絶するのが無難です。が、熟知したうえでケースバイケースでイエスかノーか決めるのが理想だと思うのです。
もし私が、この人から入院時の連帯保証人になってくれと求められたら、たぶん次のように答えるでしょう。
その際、確認すべきポイントがいくつかあります。
(1)保証する金額はいくらか?最悪、最大でいくら負担することになるか?
→ 「保証させられる危険性が低く、かつ、万一何かあっても俺の経済力で負担できる金額なら、喜んで保証人になるよ。」
(2)本当に「連帯保証人」でなければならないのか?「ただの保証人」ではダメなのか?
→ 「(金額や程度によるが)ただの保証人になら喜んでなってやる。でも、連帯のつく保証人は、できることならなりたくないな・・・」
(3)そもそも本当に2人も保証人を立てる必要があるのか?交渉の余地はないのか?
→ 「いちど病院に交渉してみたら?もしかしたら奥さん一人で大丈夫かもよ。でももしダメだったら、(金額や程度によるが)俺が保証人になってやってもいい。」
・・・ていうかそれ以前に、手術で入院するための保証人ならば、うだうだ云わずに二つ返事で「よし、わかった」と承諾してしまうでしょうね。
自己防衛は大切ですが、過剰防衛になる必要はないと、私は考えます。
友人が喜んでくれるなら、多少のリスクなど負ってもいい。
猫