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吉田猫次郎のブログ(2005年~2020年分)

事業再生コンサルタント・吉田猫次郎の旧ブログです。恥ずかしいけど残しておきます。2021年からは別の場所に移転しました。

 

ささやかなことでいいから「達成感」を感じること!


Category: 借金苦による自殺問題   Tags: ---
久しぶりに借金自殺問題のカテゴリーで書きます。

震災後は借金苦で死にたいという相談がめっきり減りました。明らかに激減したと感じます。

以前、どこかのニュースで「3月の自殺者、2割減~震災の影響か?」という記事を読んだことがあります。4月以降の統計は未だどのニュースでも見かけませんが、もしかしたら、これは私の仮説に過ぎませんが、震災によって生存本能のスイッチが入り、逆境にもめげずに生き残ろうという意識が芽生えた人が(以前と比較して)増えてきたのかもしれませんね・・・?

そういえば、これと無関係でないかもしれませんが、「震災後に結婚したいカップルが急増」といった記事も随分よく見かけます。また、私の知人で「ひきこもり」問題を抱えた親のNPOに属している人がいますが、彼いわく、「ひきこもっていた子が、震災を境に、積極的に外へ出るようになった。そういう話が周囲でかなり増えた」と言っていました。

どうやら、人間は自分の意思だけでない、何か大いなる自然の力によって動かされているのかもしれませんね。


さて本題です。

今でも、借金苦や倒産危機で「死にたい」と漏らす人からの相談は、少なくありません。
減ったとはいえ、決して少なくはないのです。
(そもそもウチの事務所は普通の会社向けのコンサルタントではなく、どこからも見放されたような「倒産寸前」の「末期症状」の「零細企業・自営業」を主な対象としているので、宿命的にその手の相談の比率が高い・・・)

そんな相談を受けたとき、私はどう答えているか?

私は、おもに次のポイントを意識して、話を進めています。

1.まず「大丈夫ですよ」と言い切る。(だって本当に大丈夫なのだから)
2・具体的な解決策を、最低3通りは明示する。(1つでは選択の余地がないのでダメ)
3.あなたにはまだまだ選択肢が残されているのだ、と諭す。
4.自分を特別視しちゃいけない、あなたよりヒドい症状の人はいっぱいいると、実例をいくつか話す。
5.ついでに私自身の不幸話もいろいろ引き合いに出す。
6.どの方法を選ぶかは、ご自身に判断させる。「ドラマの主役はあなただ!」
7.同じ話が何度も何度も堂々巡りになることもよくあるが(多いときは同じ人から1週間に10回以上も同じ相談が来ることがある)、徐々に突き放しながらも、とにかく話を聴く。まあ、ここまで食いついてもらえれば、ほぼ大丈夫。
8.勉強会などにもお誘いし、同じ境遇の人たちと実際に会ってもらう。ここまでいけば、かなり明るくなる。自分の問題がちっぽけに感じるようになる。
9.最後は突き放す。一人で泳いでもらう。(だけど溺れそうになったときにはいつでも私につかまってくださいねと念を押しておく)


続けます。


相談を継続的に受けていると、どうしても「心の波」が出てきます。
私は医者ではないので医学的な「躁」と「鬱」についてはわかりませんが、実に多くの社長さんが、あるときは「そう状態」、またあるときは激しい「うつ状態」のようになります。一喜一憂。
常に平常心を保てる社長さんなんて、いません。

社長さんが弱りきっているとき、やはり時々、「死にたい」という言葉が出てきます。
あるいは、言葉こそ出さないものの、突然行方をくらましたり、自暴自棄になることもよくあります。

そういうとき、私はつとめて「ユル~い」態度で接します。
ラフな格好で、条件が許せば一緒に酒などを飲み、
教科書どおりの具体策を示しつつも、最悪に備えて、
「大丈夫ですよ、最悪、そんなのうっちゃっといても何とかなるって!」
と、少々乱暴な意見も飛ばします。
(実際、何とかなるのですから)

そして、こういいます。

「こういう問題は、いっぺんには片付きません。長い取り組みになるでしょう。
ですから、くれぐれも潔癖になってはいけません。
問題を完全排除しようとしてはいけません。
借金なんてあったっていいじゃないですか。
借金ゼロの会社のほうが気持ち悪いですよ。
さしあたって、5年以内に債務超過が解消できるくらいの目標が立てられれば上出来です。
債務超過解消ってわかりますよね?借金をなくすことじゃないですよ。
資産/負債のバランスがトントンになれば、まあ上出来ってことですよ。
とにかく、長期戦です。
登山や旅のように、焦らず、苦難を嫌がらず(楽しんで)、ゆっくり進みましょう。
ひとつひとつの小さなハードルを越えることに達成感を感じましょう。
月末の支払いが遅れずにできたぜヤッターとか、酒を飲まなくてもぐっすり眠れるようになったぜヤッターとか、あなたなりの、ささやかな達成感で構いません。
ささやかな達成感を連続的に味わえるようになると、生きるのが楽しくなってきますよ。
私もそうやって生きてきました。」

と。

そしてまた突き放します。
ひとりで泳いでもらいます。
溺れそうになったときだけ、また相談に来てもらいます。

この繰り返しをしているうちに、「死にたい」などと考えなくなり、それどころか苦労を楽しめるようになってきます。

決して屈強な精神力が身につくのではありません。

2011/5/19の記事で書いたとおり、ほどよい「ユルさ」「大らかさ」が身につき、変化に適応できるようになってくるのです。



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Comments

 
江戸しぐさ に出てくる商売人の心得に、
①やる気 ②根気 ③吞気 というのがあります。
猫さんの仰る言葉は江戸時代の商売人心得と同じですね。
他にも江戸しぐさには、素晴らしい作法があり
勉強になります。
 
 
>まついよしひろさま


深いコメント、恐れ入ります。

 

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プロフィール

吉田猫次郎

Author:吉田猫次郎
【NEKO-KEN】
中小・零細企業・自営業向け事業再生コンサルタント。
事務所所在地は、東京都三鷹市下連雀3-31-4-206 (2021年4月現在)
経済産業省認定・経営革新等認定支援機関(認定支援機関)。
2003年開業。末期症状の会社の倒産回避(生き残りのための応急処置)から、原因究明、デューデリジェンス、再生スキーム策定、金融機関向け経営改善計画策定支援、資金繰り改善、PL改善(黒字化)、実行支援、事業承継、補助金、最後の出口へのお手伝いに至るまで、事業再生コンサルタントとしては一通りの経験と実績があります。
企業理念は「ヒト・モノ・カネの再生」。


【吉田猫次郎】
本名よしかわひろふみ。(株)NEKO-KEN代表取締役、CTP認定事業再生士、認定支援機関、著述業、ほか。
1968年東京生、乙女座、A型、申年、五黄土星。
著書13冊。講演300回以上。テレビ出演15回くらい。
20代のサラリーマン時代に高額の連帯保証人になり、その後、1998-2000年の脱サラ時に、借金苦・倒産危機で考えられる最悪の事態をほぼ全て体験したことがある(高利、多重、ヤミ金、怖い取立て、手形不渡り、ブラックリスト、強制執行など・・・だが自己破産はせず)。その体験記を、2001年に猫次郎と名乗ってホームページに公開したところ、予想外にヒットしてしまい、2003年に書籍化。以後、事業再生コンサルタントに転身し現在に至る。
最近はスポーツらしいこともするようになり、2012年(44歳)から現在までにトライアスロンに12回出場、全て完走。フルマラソンも2回出場、2回完走。
嫌いな食べ物は、ダイコンと漬物。特に「たくあん」が大の苦手で、あれを食うのは、どの拷問よりも苦痛だと思う。
2020年8月に脳梗塞発症。3週間ほど入院。しかし現在こうして文章を書いているし、手足も自由に動く。

★ 「相談」をご希望の方は、ホームページのほうに申込方法等を記載していますのでご覧下さい。有料と無料があります。お急ぎの方はお電話でもOKです。 → 吉田猫次郎ホームページ

★ 取材、講演、執筆依頼は、直接メールまたはお電話下さい。 ooneko@nekojiro.net TEL(0422)46-9480

 
 
 
 
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